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- [CATEGORY]:不倫・離婚・DV
「不倫を妻にバラすぞ」と脅された。相手を脅迫で訴えられるか。[POSTED]:2018-07-10
- 不正解答え:『 C.ケースバイケース。 』
- 理由:相手から積極的に告知されていたかどうかによります。
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- 理由:相手から積極的に告知されていたかどうかによります。
- 正解!答え:『 C.ケースバイケース。 』
- 理由:相手から積極的に告知されていたかどうかによります。
「妻と別れるから自分と一緒になってほしい」
勤務医のS男は、妻子がいながら、看護師のM子との不倫の関係を五年以上、いけないと思いながらも続けていました。お決まりのパターンで、妻とは別れるつもりだと言っては、M子の気持ちをつなぎとめています。
M子も今年で三〇歳。五年も待たされて、大台前には結婚したいと思っていたところに、看護師仲間から誘われた合コンでH男と出会いました。H男もまた既婚者でした。不動産仲介業を営み、都内に複数の営業所を保有しています。
M子はS男とH男を二股にかけました。医師であるS男よりも金回りがよいH男は、S男と違って週末も相手をしてくれました。
二股生活が一年ほど続いたとき、M子の妊娠が発覚しました。S男とはけんかをしてここ二カ月ほど会っていなかったので、父親はH男に違いない。もともと妻と疎遠だったH男は、離婚してM子と一緒になることを約束してくれていました。
H男とはまだ出会って一年で、S男とは五年も付き合っています。気持ちはH男に傾いていたが、S男に対する情は絶ち難いものがありました。S男をホテルに呼び出したM子は、H男と付き合っていること、H男の子供を身ごもったことを打ち明けました。
S男は意外にも、「妻と別れるから自分と一緒になってほしい」と懇願してきました。そのうえでH男の子供を堕ろすように言ってきたのです。どうせ嘘だとわかっているのに、絶対に別れないのは知っているのに、M子はこの日、S男に抱かれてしまいました。
M子の心を支配しているつもりのS男にとって誤算だったのは、ホテルでの会話の一部始終がM子によってひそかに録音されていたことです。妻と離婚したH男は、M子の部屋で偶然に録音テープを聞いてしまいました。
S男の存在など知らずに妻と離婚して、M子との結婚の準備までしていたH男は、心を激しくかき乱されました。M子と入籍するために妻との離婚を思い切ったH男に対して、S男は何も失っていない。H男はS男をホテルに呼び出し、厳しい口調で詰問しました。
「子供がお腹にいるのを知っていて寝たのか?その気もないのに別れるなんてでまかせ言いやがって!堕ろせだと?」
H男はS男に対し、医師を辞める事とS男の妻を連れてくる事を要求しました。さもなくば、勤務時間内に病院のベッドで看護師と性行為をしていることについて、医師会や医学部のOB会に苦情申し立てをしたうえで、S男の妻に接触し、不倫の事実を知らせると言うのです。
S男にとって一番の問題は、妻にバラされることでした。妻に自分から話して家庭内で解決をし、妻の代理人として弁護士を立てて接触を拒否すればよいではないか。
しかしS男はその勇気がありませんでした。
結局、S男は誰にも相談せずひとりで悩んだ挙句、H男に解決金を支払う事を提示しました。するとH男は、2000万円を要求してきました。そんなお金を動かしたら、結局は妻にバレてしまうと考えたS男は、もはや自分一人では解決できないと観念し、刑事事件弁護士に相談しました。S男の希望は、妻には一切に知られたくない、しかしH男に支払う金額も少なくしたいというものです。刑事事件弁護士はH男と交渉を重ね、何とか支払い額を下げることに成功し、300万円を支払う代わりに、今後一切、口外しないという約束をH男から取り付けました。妻への口止め料300万円。妻に話すことができさえすれば、一銭も払う必要はなかったのですが。
性トラブルは家族に隠すと高くつく
M子がS男と最後に関係を持ったのは、H男と結婚準備に入る前。ですから、H男はS男に損害賠償を請求する法的根拠がありません。S男はM子と同意の下で性行為をしていたのですから、強姦の刑事事件となるような事例でもありません。それにもかかわらず、解決金を受け取ることになったのはなぜでしょうか。
その理由は、H男が、「S男にダメージを与えたい」という点で一貫しており、全てを覚悟していたからです。そもそも、H男もM子と不倫していたわけですから、他人の不倫を非難できるような立場ではありません。S男の妻にバラせば、名誉毀損の刑事事件が成立し、損害賠償を払うことになるかもしれません。それでも構わないから、S男の不義理を多くの人間に、ただただ知らせたい、という点で筋が通っていました。「名誉毀損の刑事事件で訴える」とH男に対して警告しても、意味をなさないのです。
では、H男の行動に脅迫罪が成立し刑事事件とはならないのでしょうか。脅迫罪とは「相手方またはその親族の生命・身体・自由・名誉または財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫すること」です。H男が積極的にS男に対して害悪を通知していたのであれば、脅迫罪は成立し刑事事件となり得ます。しかしH男は、積極的に脅迫していた訳ではありません。刑事事件弁護士が介入する前に行われたH男による交渉も、怯えるS男が自分から進んで行っていたところがあります。本件では脅迫罪が成立し刑事事件となるかどうかが微妙でしょう。
「家族にバラすぞ」と言われたら
H男がこのような法的問題をどこまで考えて行動していたかは不明ですが、S男はH男の言動に震え上がって、H男が妻に接触するのを阻止しようと奔走し、最終的には刑事事件弁護士にH男との交渉を依頼した。金持ちのH男にとって、金が欲しい訳ではありませんでした。他方S男としても、妻にバラされたらもう失うものはないという状況です。
本来であれば、H男の要求に対してS男は応じる義務はありません。不倫をしている点はH男もS男も同罪です。医師会もS男を処分するとは思えません。冷静に考えればわかるはずです。少なくとも、お金の話になる前に、刑事事件弁護士に状況を説明して対応策をアドバイスしてもらっておけば、このような事態は避けられたはずです。S男としては、妻は身内なのですから、懺悔をした上でうまく説得し、妻とともにH男に共闘すべきではなかったのでしょうか。妻に知られないことにこだわった結果、S男は法的に支払う理由のない多額の解決金を支払うことになりました。
「家族にバラすぞ」と言われたら。家族に知られないことと解決金を支払うことをてんびん皿にかけて、どちらが自分にとって有益であるか、冷静になって決めるべきです。
- 2018-07-10
- [CATEGORY]:危機管理における男女トラブル, 不倫・離婚・DV
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