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STEP1 初期対応[POSTED]:2018-07-31
有事における初期対応は、不祥事等による金銭的損害やレピュテーションの毀損を最小化し、最短で回復させるにあたって必要となる最初のアクションであり、最も重要なものです。そのため、ポイントを押さえた適切な対応が求められます。
(1)緊急対応アクション
緊急対応アクション |
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①第一報を受けたら、すぐに緊急対応アクションを
不祥事等が発生しているまたはその疑いがあるとの第一報を受けたら、すぐに、状況把握等の緊急対応アクションを実施します。一般的な緊急対応アクションの内容とそのステップは、以下のとおりです。
②「最悪のケース」を想定して動け
通常、不祥事等の第一報を受けても、「そこまでの問題ではないだろう」という期待が先にあって、最悪なケースを想定しないことが多いでしょう。
しかし、この段階で予断を持って判断すると、その後の緊急対応アクションに悪影響が及びます。例えば、「そこまでの問題ではない」との気持ちがあれば、状況把握においてバイアスがかかり、事実を正確に把握できなくなります。また、事実を目の前にしても、「これは最悪のケースではない」と無理やり事態を正当化する理由を考えようとします。これでは、迅速かつ適切な対応ができず、その結果、企業に多大な損害が発生する危険があります。
不祥事等が企業を倒産まで追い込むリスクを孕んでいることに鑑みれば、最悪のケースを想定して動くべきです。
③緊急対策本部を立ち上げる
不祥事等の第一報を受けた直後、必要な作業を実行部隊に指示し、また事態の変化に対しても柔軟に対応する実行部隊の頭脳として、緊急対策本部を直ちに立ち上げます。一般的な緊急対策本部の組織図例とその役割例を以下紹介します。
<緊急対策本部の組織図 例>
緊急対策本部の役割 |
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誰を本部長にするかで、その不祥事等に対する企業の姿勢が問われるのは言うまでもありません。社長以外が本部長に就任した場合、社長の責任逃れや隠蔽への疑念につながりやすいため、企業のトップである社長が本部長となるべきでしょう。
※1「情報マスター」:
各部門から集まった情報を、模造紙や大型スクラップブックなどに、日付・時刻まで記入して順番に張り付け、情報を一か所で管理する台帳のことです。
※2 ポジションペーパー(PP):
情報マスターにて整理した情報から、その事案全体を文章化して整理し評価を加えたものです。時系列に情報を整理したもので、その後の様々な書類を作成する際の一次資料になります。
④証拠物件の保全
不祥事等に関連する証拠(発注書、納品書、経理書類、その他重要書類)については、改竄(かいざん)や証拠隠滅を回避するため、コピーではなく現物を確保します。
一方、社内サーバー内の情報や、事件関係者の電子メールその他PC内の情報については、現時点での情報を全てコピーします。
また、ブログやネット上での書き込みが問題となっている場合、いつ削除されるかわからないため、即座にコピーします。
そして、収集した証拠物件については、一般従業員等が入室できない会議室その他スペースに保管・隔離したうえで、持ち出しを禁止します。電子データやネット上のデータのコピーについては、社内のIT技術を知っている従業員に任せてしまいがちですが、誤った操作や記録方法により後々記録を復元できなくなると、その後の原因調査、訴訟、刑事告訴等に支障が生じる可能性もありますので、信頼できるITの専門家を利用すべきです。
⑤応急措置の実施
不祥事等による被害の拡大防止のために、初期対応の段階で何かしらの応急措置が必要な場合があります。その後の原因調査等を行っているうちに被害が拡大し、ダメージコントロールが果たせなくなる可能性があるからです。
例えば、従業員が架空取引を行っている場合は、その架空取引先との取引を停止し、未払い分があれば、具体的な納品事実が確認できるまで支払手続きを止めるといった措置が考えられます。
また、原因調査前に証拠が隠滅されたり紛失したりするのを防止するため、証拠物件の保全と並行して、関係者からの供述書の取得、関係者の自宅待機命令なども実施します。
⑥死傷者がいる場合の対応
死傷者が出ている場合、通常、緊急記者会見を開くことになりますが、その際、記者から必ず「遺族や家族と会ったのか?」「どのような反応だったのか?」など質問されます。その時、自ら被害者等と接触していなければ何も答えることができません。
そのため、社長初め、発表者、工場長などは直ちに病院に駆けつけることが重要です。
また、遺族や家族に会社のお詫びの姿勢を自然な形で示す絶好の機会にもなります。
遺族や家族から激しい非難や怒りの言葉が浴びせられることが考えられますが、誠意をもってお悔やみ、お見舞い、お詫びの気持ちを伝え、企業の真摯な姿勢を表明すべきでしょう。
⑦調査と並行して方針決定を行う
迅速な初期対応が必要であることは既に述べたとおりですが、迅速な初期対応を行ったとしても、収集された情報が必ずしも正確なものとはいえず、また、到底全容を解明するには至っていないことが一般的です。
しかし、世間やマスメディアは早期の情報提供を望み、また被害者も謝罪や補償方針に関する情報を待っています。
そのため、万全ではない情報のもとではありますが、原因調査と並行して、有事の対応方針、少なくとも方向性や大枠を考え、決定しなければなりません。
⑧行政機関に早期の情報提供を
行政機関、特に監督官庁への対応も非常に重要です。企業不祥事や重大事故が発生した場合、行政機関としても、事件の早期解決や今後の被害の未然防止のために規制その他アクションを取ることが求められます。このような行政機関の立場を考えるならば、できるだけ早く正確な情報を提供して報告を行い、行政機関との信頼関係の構築を図るべきです。不祥事等の内容・規模によっては、行政機関が独自の調査を開始する場合があり、その際、行政機関の調査を優先して、社内の原因調査をストップせざるをえなかったり、行政機関による独自の証拠収集により十分な社内の原因調査ができなくなったりする可能性もありますので、注意が必要です。
また、許認可権を有する行政機関への報告・届出となると、業務停止のような処分を受けることも覚悟しなければなりませんが、決して報告を遅延したり、虚偽報告したりすべきではありません。行政機関から不誠実な企業とのレッテルを貼られると、企業の信用が失われるばかりか、行政機関による調査を本格化し、新たな不祥事が発見されるリスクを抱えることになります。
(2)緊急記者会見
初期対応の段階ではありますが、解明できている範囲で社会に対し、第一報を行う必要があります。企業のこうした姿勢が、マスコミの信頼ひいては世間の信頼を獲得し、損害の拡大防止につながります。第一報を行う手段としてよく用いられる緊急記者会見に関するポイント及びノウハウを紹介します。
事前準備 |
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会見場設営 |
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リハーサルの実施 | 記者会見のリハーサルを行います |
会見直前 |
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会見 |
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会見後のフォロー |
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ア 事前準備
① Q&A・ネガティブリストの作成
記者会見にあたっては、報道陣からの質問に対する万全な回答を準備するために、「記者であれば何を一番聞きたいのか」という視点から「Q&A」を作成します。Q&Aが完成したら、その中で絶対に言及してはならない項目だけ抜き出した、言ってはならないことリスト=「ネガティブリスト」を作成し、会見者が絶対言及してはならないことを即座に確認できるようにします。これにより、誤った発言を事前に防止するだけでなく、会見者を安心させる効果が期待できます。
② プレスリリースの準備
プレスリリースとは、ポジションペーパーをもとに、事態発生からの事実の経過、原因(原因解明状況)、事態の受け止め方、損害、対策などに関する公式見解を簡潔にまとめたもので、会見に参加する報道陣に配布します。
プレスリリースの作成にあたっては、会社側の業界専門用語を使用しないよう注意する必要があります。わからない専門用語を使用されると、記者の心の中に企業に対する反感が芽生えるおそれがあるからです。
また、会社の沿革、規模、問題となった商品の特性などリリース内容を理解するにあたって参考となる事項は、参考資料として添付するなど、報道陣に対する配慮が必要となります。
なお、リリース時点で判明していない事項は「調査中」と記載し、判明していないことを明記します。
プレスリリースの基本モデル
プレスリリース作成のポイント | |
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タイトル | ・一目でわかるものに |
本文 |
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③ トップは必ず出席
マスメディアや世間は、できるだけ企業の上層部からの発言を望み、また出席者の地位・立場によって、不祥事等に対する企業の姿勢を理解しようとします。
そのため、記者会見には、企業のトップである社長が発表者として出席すべきです。特に、死亡者が出た場合は、社長の出席は必須です。
社長が出席しない場合は、記者から必ず「どうして社長が出席しないのか?」と質問されますので、その際、記者や世間が納得できる合理的理由(いわゆる申し訳が立つ理由)が説明できなければなりません。説明できない状況であるにもかかわらず、社長が出席しなければ、マスメディアによる経営層への責任追及・糾弾がなされ、企業の二次的損害が拡大することになります。
④ 同席者とその人選
発表者を補佐する同席者は、記者会見を無事成功させるための重要な存在となりますので、人選は慎重に行う必要があります。
同席者の人選については、万全の回答ができるよう質問予測に基づき適切な対応ができる部門の管掌役員または部門長や、原因調査の責任者であった弁護士などにすべきでしょう。また、同席者の回答を補助するために、関係部門の部課長クラスや弁護士を近くに待機させると望ましいです。
⑤ 開催時間の検討
記者会見は、記者に配慮し、記者の原稿の締め切り時間とその直前を避けて、通常、午前中か、午後3時から4時ごろに行うことが多いです。
開催時間が決定したら、記者の移動時間や準備時間などに配慮して、開催時間の2時間ほど前までに、記者クラブその他マスメディアに連絡します。連絡する際には、同時にプレスリリースも送付するのが望ましいです。
イ 会見場設営
① 会見場は社内か社外か
社外と比較して、社内に会見場を設置する場合、会見者は精神的なゆとりを持つことができ、また、緊急対策本部が設置された建物内であれば、質問時の情報が入りやすく、厚いサポートも可能となります。ただ、社内の看板、掲示物、ポスターなどがしっかり見られてしまいますので、見られると不利になるものを事前にチェックし、外しておく必要があります。
一方、社外の会見場を選択することになった場合は、交通の便を考慮した質素な会場を選び、派手な印象を持たれないように注意します。
② 会見場の広さとレイアウト
不祥事等の規模にもよりますが、会見場の広さは、大きい方が望ましいです。50名から100名程度を想定して会場を選びます。
レイアウトについては、多数の報道陣が参集すれば、会見場で混乱が生じかねません。そこで、記者は中央、テレビカメラは会見場の後方、カメラマンは会見者と記者との間に配置します。
また、カメラマンが会見者の後ろに回って会見者の手元のメモなどを撮られないように会見者の両脇は企業側スタッフで固めます。
会見者の出入り口と、報道陣の出入り口は別に設定します。同じ出口にすると、会見終了後も会見者が報道陣に詰め寄られ質問攻めに合う「ぶら下がり取材」が行われ、意図せず、会見者の迷惑そうな表情などが撮られてしまうからです。雪印の社長の問題発言も、このような状況で出てしまいました。
会見場レイアウト 例
その他、室温は人の熱気とカメラ照明などで部屋が熱気に包まれるため少し寒いくらいに下げておく、会見場後方に一段高い撮影用スペース、電源ソケット、PAの出力口の準備をしておくなど、報道陣に配慮した準備をしておきます。
③ 足元を隠す
会見者のテーブルにはテーブルクロスを掛け、会見者の足元を隠すべきです。会見者が、緊張のあまり無意識にガニ股になっていたり、足を組んでいたりすることがあり、その姿を撮られてしまうと、世間からは「企業に誠意が見えない」などと評価されてしまうからです。
④ 企業側で記録を取る
会見者のテーブルには企業側のマイクを必ず用意し、また会見の模様を録画しておきます。誤った報道がなされた場合などに説明資料として使用するためです。
ウ リハーサルの実施
記者会見は、不祥事等を起こした会社にとって、その後の運命を左右する重大な場面といえます。そのような重大な場面であるがゆえに、よりスムーズな進行が望まれます。そのため、必ずリハーサルを実施すべきです。
リハーサルは、事前に準備不足な部分を明らかにするだけでなく、会見者にとって、質疑応答での回答に自信がつき、不安の解消に役立ちます。
質疑応答のリハーサルにあたっては、報道陣の記者役を演じる者は、会見者が回答に窮するように厳しい質問をしなければなりませんが、従業員では気が引けて効果的な質問ができない可能性があります。そのため、弁護士やコンサルタントなど外部の人間に担当させる方がよいでしょう。
なお、リハーサルの結果を踏まえて、Q&Aを再度見直すことが必要です。
エ 会見直前
① Q&A・ネガティブリスト・その他タブーの再確認
会見場に入る前に、Q&Aを見て質問事項の最終チェックをするとともに、ネガティブリストを確認し会場内でやってはいけないこと、言ってはいけないこと、その他禁止事項(タブー)を再度チェックします。
【タブーの例】
責任逃れとも取れる発言
被害者がいる不祥事等の謝罪会見にて、「法令順守していました」「わが社の運営に問題はありませんでした」「わが社も被害者です」など企業の責任逃れとも取れる発言をすべきではありません。マスメディアの反発を買い、会見の主たる目的であった謝罪は報道されず、企業の責任逃れとの報道がなされ、企業の被害が拡大するだけです。
記者の質問を軽蔑したと捉えられる発言
記者の質問に対し「そんな質問はこの場で必要ですか」といった質問者を軽蔑する発言をすべきではありません。記者の反感を買うだけです。
曖昧・不確かな発言
確認できていないことは「なお調査中で、確認できていない」とはっきり伝え、不確かな事実を曖昧に述べることは回避すべきです。
理由も言わずノーコメント
明言できないことは「ノーコメント」というだけでなく、その理由を具体的に述べます。何も言わないということは、後ろ暗いことがあるのだろうと勘ぐられてしまう可能性もありますし、無責任で不誠実な対応であると糾弾されるおそれもあります。
個人的見解・オフレコ
報道陣に求められても、個人的見解は絶対に伝えるべきではありません。世間や報道陣は、「会社の代表者としての見解」として報道してしまいます。もちろん、「オフレコ」を求めることもダメです。記事にされたくないことは喋らないことが重要です。
② 出席者の身だしなみ
人の印象は外観で大半が決まると言われています。緊急事態であることを考えると、「信頼感」「清潔感」がある身だしなみでなければなりません。会見前に見だしなみを必ずチェックしてください。
服装のチェックポイント | |
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スーツ | ダークスーツで、無地か細いストライプのもの シルクなど豪華に見える素材のものは避ける |
ワイシャツ | 白色の無地で、デザイン性のない襟のものがベスト |
ネクタイ | ダークカラーで、無地か細いストライプのもの |
靴下 | スーツと同じダークカラーのもの 脛が隠れるロングのものがベスト |
靴 | 黒色で、光らないものがよい |
ベルト | 黒色で、装飾のないものがよい |
腕時計 | 高級腕時計など豪華なものや、カジュアルなものでなければよい |
眼鏡 | 豪華なものでなく、普通のものであればよい |
髪・髭 | 整髪し、髭は剃る スーツの肩にふけがついてないか注意する |
その他アクセサリー | ハンカチーフ、ブレスレットなど何もつけない |
オ 会見
① 開始時間は厳守
開始時間を早めてはいけません。報道陣は、通常忙しく飛び回っており、会見開始時間直前に来る人が多いからです。
もちろん、開始時間を遅らせてもいけません。待たせると報道陣に様々な憶測を呼び、質疑応答の際に記者の質問が厳しくなる可能性があるからです。
② 会見者の紹介忘れずに
司会者は、冒頭に会見者の紹介を行う必要があります。
社長が自己紹介を忘れて謝罪を始めると、記者から「あなたは誰?」と厳しい質問が出て、記者会見が腰を折られることになりかねません。
③ 謝罪会見でのお辞儀
会見者がステートメント(声明文)を読み始める前に、会見者全員が立ち上がり、謝罪の言葉を述べながら、報道陣に対し頭を下げます。
報道陣に、社長が会社のトップとして率直に謝っている姿を撮ってもらい、その映像を世間に報道してもらうことで、世間に対し謝罪の姿勢を見せるためです。
その際、お辞儀した状態で「5秒」程度制止します。カメラマンが納得のいく映像や写真を撮るための時間を確保するためです。頭を上げた直後に緊張感から解放されてホッとし、笑っているような緩んだ顔にならないように、最後まで緊張感をもって臨む必要があります。。報道陣は、緩んだ顔を逃さず撮り、報道します。
④質疑応答での注意点
質疑応答中に、決して笑ったり怒ったりしてはいけません。間が空いたときの照れ隠し的な笑いもいけません。
ビジネスでは、相手に対する愛想のつもりで微笑んだり、軽く笑ったりすることが少なくないですが、会見の席でのそういった振る舞いは、新聞やテレビの画像を見る一般人に不信感を与え、「こんな重大なときに笑うとは、なんという経営者だ」と怒りを買うだけです。また、怒った顔をすれば、「こんな重大な事件を起こしておいて、反省の色が見えない」と捉えられてしまいます。一瞬の油断が命取りになります。
会見者は、回答に窮したり、想定外の質問をされたり、確認したいことがあると、他の同席者と顔を見合わせることがよくありますが、絶対に顔を見合わせてはいけません。
新聞やテレビの画像を見る一般人は、単に「事件の対応に追われ、困り果てた経営陣」と捉えてしまいます。確認したいことなどがあっても、堂々と正面を向いたまま行ってください。
記者会見の机上で、手を動かしたり、ペンをいじったりする類の行為は避けるべきです。新聞やテレビに、「不真面目な経営陣」と映ってしまいます。
⑤ 会社都合で記者会見打ち切らない
通常、質問が途切れたタイミングを見計らって司会者が会見を終了します。しかし、不祥事等に関係する質問が続いているにもかかわらず、途中で打ち切るのは問題です。
会社側にはステークホルダーその他世間に対し説明責任がありますので、誠実に質問に応じ、回答します。
カ 記者会見後のフォロー
①取材フォロー
記者会見後も、居残り記者からの追加質問への対応、会見時に適切に答えられず「後ほど広報から回答します」と約束した質問へのフォロー、電話での追加質問への対応などを行います。
②報道モニタリングと分析
当日のテレビ・新聞・インターネットのモニタリングから継続して報道チェックを行い、その報道内容をクリッピングして分析評価した上で、経営層に伝える記事、コメントをつける記事、ニュース速報で社内に報せるべき記事、マスメディアへのアクションが必要な記事、などに分類します。
記事の分類は、内容が正しいか否か、内容が肯定的・好意的なトーンか普通のトーンかまたは否定的・悪意的なトーン(=偏向報道的なもの)かなどの基準で行います。報道内容に誤りがありマスメディアに対しアクションを取る場合、マスメディアは重要な事実の間違いについては指摘があれば修正するが、マスメディア自身の判断に関する内容について一切修正しないという立場を堅持することが多いことを念頭に置いて、対処にあたる必要があります。
(3)反社会的勢力・クレーマー対応
ア 反社会的勢力への対応
反社会的勢力は、何ら事前の連絡もなく、突然来社することがあります。
反社会的勢力への対応 |
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① 相手の身元等を確認すること
毅然とした態度で、相手が何処の誰なのか、身元等の確認(名刺をもらうなど)をすることにより、反社会的勢力に対し圧力を与え、反社会的勢力の言葉や態度のトーンが下がることが期待できます。
相手が反社会的勢力らしいということだけで動転し、相手について何もわからないままに対応してしまうと、相手の思うつぼとなり、相手のペースに呑まれてしまいます。
② 用件・要求の確認
反社会的勢力の用件・要求がわからぬままでは対応しようがありませんので、反社会的勢力から用件・要求を具体的に言わせるよう仕向ける必要があります。
③ はっきりと要求拒否の意思表示をして断ること
用件・要求に応じられないときは、反社会的勢力に対し明確に拒否することが重要です。例えば、「考慮します」「検討します」「約束できませんが」などの曖昧な言動は反社会的勢力に期待を抱かせ、再訪の口実を与えますし、「申し訳ありません」などこちらの非を認める発言も適切ではありません。
④ 自分に有利な場所で、複数人で対応すること
対応場所は、他の従業員の助けを求めることができる自社内とし、反社会的勢力の事務所や反社会的勢力の指定する場所に出向くことは避けるべきです。反社会的勢力の思うつぼであり、また、対応する従業員に危険が及ぶ可能性もあるからです。 また、反社会的勢力より多い人数で対応し、対応担当者、記録、録音、連絡など役割を決めておくと、スムーズに対応できます。
⑤ 対応時間を区切ること
反社会的勢力は、長居をして心理的圧迫をかけてきます。そのため、対応時間(例えば20分程度)を明確に区切ることが望ましいです。
なお、湯茶等の接待は一切行ってはいけません。反社会的勢力が居座り続けることを容認することなり、また、湯呑みを投げるなど脅しの道具に使用される可能性があるからです。
⑥ 相手の要求に即答・約束せず、理由なき書類に一切署名押印しないこと
反社会的勢力は、執拗に、要求に対する即時回答を求めたり、その場で詫び状や念書を書かせたりしようとします。
ここで回答したり、詫び状等に署名押印したりしてしまうと、それを盾に後日カネを要求してくる場合があります。
そのため、一切約束等せず、反社会的勢力が提示する書類に署名押印してはいけません。
⑦ 担当者が対応し、トップに対応させないこと
トップを対応させてはいけません。最終決定権がある者が対応すると、即時回答を求められ、不利な状況に追い込まれかねません。
⑧ 対応内容を詳細に記録すること
警察への説明や訴訟で利用するため、事件の証拠として、反社会的勢力の面談記録、電話対応記録を残すことが重要です。
イ クレーマーへの対応
突然、クレーマーから電話がかかってくることがあります。
クレーマー対応 |
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① クレーマーの話を真摯に全て聞き、クレーマーの身元、主張内容を確認すること
クレーマーは何か言いたくて電話をしてきているわけですから、全て話させることが重要です。仮に途中で区切ってしまうと、二次的クレームが発生し、話が複雑になる可能性があります。話を全て聴いた上で、それを記録として残します。
また、会話をする中で必ず、クレーマーの身元を確認し、クレーマーのメインの主張内容を確認します。仮に聞き漏れがあると、クレームの背景にある事実関係が確認できず、対応策が練れないことになりかねません。
② 丁寧な言葉遣いを忘れずに
クレーマーであっても丁寧な言葉遣いで対応し、粗雑な扱いをしてはなりません。
過去に、ある企業の担当者が製品購入したお客様に対し粗雑な対応をしたところ、その音声がインターネット上に公開され、大規模なネットトラブルに発展したことがあります。
③ 誤解を招く言葉や、様々な意味にとられかねない表現は使わないこと
相手は自分の都合がよい内容に勝手に解釈し、争いが無用に大きくなりかねません。
④ 平易な言葉を使用し、専門用語は使わないこと
相手のわからない用語を並び立てると、相手の感情を逆撫でし、その結果紛争が大きくなってしまいます。
⑤ 安易に相手の要求に応じず、余計なことを言わないこと
相手は、脅しに近い言葉や挑発するような言葉を使って、自らの要求を通そうとしたり、何かしら約束させようとしたりしますが、それに何かしら応じてしまうと、それを盾に更に要求してきます。
そのため、初期対応の段階では、一切要求等には応じず、余計なことも一切言わず、クレーマーの主張を聞き取ることに徹してください。
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調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
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その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 |
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