危機管理マニュアル 危機管理・不祥事対応の弁護士相談は永田町法律税務事務所へ|危機管理.com

    [CATEGORY]:危機管理マニュアル

危機管理マニュアルの概要[POSTED]:2018-07-10

危機管理マニュアルは、危機管理検討チームによる危機管理の検討の結果を明文化したものですが、その中で定めるべき項目は以下の5項目です。
なお、ここで取り上げた項目はあくまで「必要最低限」定めるべき項目であって、対象となる企業の業種、規模、事業形態、業務プロセス、取引環境、市場動向などによって、項目を追加しなければならない場合もあります。そのため、マニュアル作成にあたっては、弁護士に相談して進めるべきでしょう。

項 目内 容
基本方針「不祥事等」の特定、基本方針、目的、行動指針
労務問題労災、過労死、自殺、解雇、セクハラ、パワハラ、マタハラ、人権問題
対応体制緊急対策本部の組織図、役割分担、緊急連絡網
不祥事等の発生直後の緊急アクションアクションリスト、チェックリスト
社内アクション不祥事等ごとのアクション項目
社外アクション 不祥事等ごとのアクション項目

(1)基本方針

  • 1. 危機管理マニュアルの対象とする「不祥事等」を特定し、読み手である役員・従業員に対し、
    マニュアルの射程範囲を明確にします。「不祥事等」の特定にあたっては、可能な範囲で具体化して、役員・従業員に『有事』を理解・認識しやすくするといった工夫したほうがよいでしょう。
  • 2. 企業としての不祥事等に対する基本方針、基本姿勢をしっかり示したうえで、危機管理マニュアルの目的、有事の際の役員・従業員の行動指針を明確にします。
    • (2)対応体制

      1. 有事の際に設置される緊急対策本部の組織図を明確にし、有事の際に逸早い対応、組織の設置を可能とします。

      緊急対策本部を構成する部門を検討するにあたって、特定の一部部門のみを危機管理担当と定めてしまうと、往々にして他の部門が危機管理に対し一切無関心となり、有事対応するにあたって大きな障害となる可能性があります。
      企業として組織的に有事対応をするためにも、できるだけ社内の様々な部門を関与させ、巻き込んでいく必要があります。
      また、緊急対策本部を設置した後、対策本部に属さない役員の中には、自ら担当する業務が緊急対策本部の業務と重なるとき、その判断や指示に口を挟もうとする場合がありますが、それは慎まなければなりません。
      緊急対策本部の権限は、迅速な対応を可能とするため、通常ラインの業務権限に優先させねばなりません。もし、口を挟もうとする役員が危機管理を遂行するに当たって必要なのであれば、その役員も緊急対策本部の一員に加える方が望ましいです。

      2. 緊急対策本部の各関連部門の役割分担を明確にします。

      事前に役割分担を明確にすることで、各関連部門による当事者意識をもった迅速な行動が期待できます。
      本部スタッフにおいては、情報調査業務、危機広報業務、顧客対応業務、財務業務などの担当部門の者がそれぞれ該当業務を担当することになり、事務局スタッフはこれをサポートすることになります。

      役割分担表 例
      対策事項主担当部門主な役割
      情報調査業務総務部社内情報の収集、一括管理、ポジションペーパーの作成
      渉外業務総務部所轄官公庁・業界・証券取引所・取引銀行等への連絡、調整
      危機広報業務広報部プレスリリース、(緊急)記者会見
      顧客対応業務お客様相談部顧客・ユーザー・被害者への対応
      財務業務財務部財務処理

      3. 緊急対策本部内の緊急連絡名簿を作成し、緊急会議を行う必要があるときなどに利用し、緊急事態が発生しても随時対応できる体制を構築します。

      緊急連絡名簿 例
      氏名自宅電話番号携帯電話番号住所通勤時間

      (3)不祥事等の発生直後の緊急アクション

      不祥事等の発生直後の初期対応として、急ぎ状況把握等を行わねばならないため、緊急アクションが要求されます。そこで、緊急対応アクションリストと、状況チェックリストを事前に作成することで、社内が慌てている中でも迅速かつ漏れなく緊急アクションを行うことが可能となります。

      緊急対応アクションリスト 例
      ステップアクション内容
      STEP 1状況把握
      事態の種別/発生時間・発生場所/被害の状況(人的・物的・金額)/障害の状況/応急措置の状況(復旧の見込み)/社会的影響
      ※情報は予め定めた担当部門のスタッフにて集約し一括管理
      STEP 2顧客・社員の生命・安全の確保
      STEP 3統括部署への報告
      STEP 4証拠物件・事故現場の保全
      STEP 5業務の正常復帰に向けた行動
      チェックリスト 例

      (4)社内アクション

      不祥事等ごとに緊急アクション後に求められる社内アクションを列挙し、各アクションの内容・ポイントなどを記述しておくと、緊急アクション後に速やかに次の対応に移ることができます。社内アクションとしては、以下に列記するものが考えられます。

      • ・不祥事等の発生原因に関する社内調査(調査チームの編成、調査の実施、調査結果の報告など)
      • ・不祥事等が企業経営へ与えるインパクトの算出
      • ・再発防止策の決定
      • ・被害者対応方針の決定
      • ・問題役員・従業員の処分・その他責任追及方法の決定

      (5)社外アクション

      不祥事等ごとに緊急アクション後に求められる社外アクションを列挙し、各アクションの内容・ポイントなどを記述します。
      社外アクションとしては、以下に列記するものが考えられます。

      • ・(緊急)記者会見
      • ・プレスリリース
      • ・お詫びCM、お詫び広告、お詫びキャンペーン
      • ・所管官公庁・証券取引所その他関係各所への連絡・調整
      • ・被害者対応の実施(被害補償、被害者問い合わせ窓口の設置など)
      • ・公表後の報道内容のモニタリング
      • ・刑事告訴・刑事告発
      • ・損害賠償請求その他民事上の請求
      ページトップへ戻る

危機管理マニュアル』のその他の記事

反社会勢力や暴力団への対応
反社会勢力や暴力団が現れたら トラブルの最中で、第三者が現れることがある。反社会勢力や暴力団が絡んできて、追い込みをかけられる。こうなってくると当初のトラブルにおける正当性などどこかに飛んでしまい、話がどんどん変わっていく。本来は正しいことをしていたはずなのに、あたかもこちらが悪いことをしているかのような心境になる。中には当事者がもともと反社会勢力や暴力団であることもある。反社会勢力や暴力団の定…
[ 反社会勢力対応 , 企業向け危機管理 , 民事責任 , 刑事責任 , 危機管理マニュアル ]
危機管理マニュアル作成におけるポイント・留意点
(1)一般論ではなく、現場の行動指針となるものにする 「事件は現場で起きています。」現場で利用できない抽象的な内容のマニュアルでは、行動指針になりえず、意味がありません。つまり、現場目線で必要な事項をマニュアルに盛り込むことが重要であり、マニュアル原案は、現場での手直しが必須となります。 (2)自社の過去事例、業界・同業他社の事例を収集・分析する マニュアルが対象とする不祥事等とは、将来発生しうる危機的状況であり、予測だけで、網羅的に不祥事等を抽出するのは、現実的に不可能です。自社の過去事例、同…...
[ 企業防衛の危機管理 , 危機管理マニュアル ]
    危機管理マニュアル作成フロー
    ...
    [ 企業防衛の危機管理 , 危機管理マニュアル ]
      危機管理マニュアル作成の意義
      (1)社内役員・従業員に危機管理の重要性を理解させる 危機管理を機能させるにあたっては、危機管理を指揮する役員と実行部隊である各従業員が、危機管理の重要性やその対応方法をきちんと認識し理解していなければなりません。役員・従業員の理解が欠如していると、危機管理がうまく機能せず、有事での対応が後手に回る危険があります。そこで、マニュアルという「危機管理の見える化」による危機管理の具体化によって、役員・従業員に危機管理の重要性を認識・理解させる必要があるのです。 (2)有事の際、混乱なく迅速かつ適切な…...
      [ 企業防衛の危機管理 , 危機管理マニュアル ]
        危機管理マニュアルとは
        昨今、企業や官公庁、地方自治体、独立行政法人あるいは大学、病院等の法人組織(以下総称して「企業等」)にとって、不正や不祥事といった危機的状況は、企業等の経営を左右するほどの大きな影響力があるため、迅速かつ適切に問題解決しなければなりません。しかし、「事が起こってから対応すればよい」と考えていると、いざ問題が生じたときに右往左往して対応できず、企業等は深刻な損失を被るだけです。これを防止するために、平時から、不正や不祥事といった有事の対応方法について事前準備をしておく必要があります。この事前準備を…...
        [ 企業防衛の危機管理 , 危機管理マニュアル ]
          ページトップへ戻る

          他にはないサービス。無料相談は原則、受け付けません。

          無料相談を掲げる法律事務所とは一線を画し、価格競争はせず、報酬に見合う良質なサービスを提供しています。他の弁護士事務所にできないミッションを達成し、紛争解決に集中してリソースを割くために、相談対象を紛争性がある危機管理事件に限定しています。
          「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している方は無料電話相談(初回15分)・無料メール相談(1往復のみ)・土日夜間の電話無料相談(初回15分)で対応します。

          来所ビデオ通話電話・メール・土日夜間
          内容証明が届いた事件1時間:
          12,000円税別
          ※来所困難な方に限り、
          1時間30,000円税別にて
          電話相談に応じます。
          1時間:
          62,000円税別
          電話:初回15分
          メール:初回1往復
          土日夜間:初回15分
          無 料
          対立当事者に弁護士が就いた事件
          調停・裁判中、調停・裁判目前の事件
          弁護士を替えることを検討中の事件
          その他、紛争性がある事件
          (潜在的なものも含めて)
          非対応
          来所ビデオ通話電話・メール・土日夜間
          内容証明が届いた事件1時間:
          12,000円(税別)
          ※来所困難な方に限り、1時間30,000円(税別)にて電話相談に応じます。
          電話:初回15分
          メール:初回1往復
          土日夜間:初回15分
          無 料
          対立当事者に弁護士が就いた事件
          調停・裁判中、調停・裁判目前の事件
          弁護士を替えることを検討中の事件
          その他、紛争性がある事件
          (潜在的なものも含めて)
          非対応

          ※お電話やメール、土日夜間の電話相談は、「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している危機管理事件に限定して、簡略なアドバイスを差し上げる限度で提供しています。メール相談電話相談または土日夜間の電話相談よりお問い合わせください。

          ※一般的な法律知識については、お電話やメールでのお問い合わせを受け付けておりません。
          一般的な法律知識に関する情報は危機管理大全でご案内していますので、こちらをご利用ください。

          来所予約・お問い合わせ
          03-5532-11129:00~19:00 土日祝日除く※お電話又は予約フォームにて法律相談のご予約をお取り下さい。
          ※小さなお子様の同伴はご遠慮ください。