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- [CATEGORY]:反社会勢力・クレーマー対応
被害回復への援助[POSTED]:2018-07-25
指定暴力団員等の不当な要求行為を受け、公安委員会がその行為について中止命令や再発防止命令を出しました。しかし、その行為の相手方(被害者)は、暴力団に対する恐怖心から、被った被害の回復を請求するのに二の足を踏んでいる状態です。このような場合、被害者が被害回復のため、暴力団対策法に規定されている公安委員会に対して援助の申出をすると、申出人はどのような援助を受けることができるのでしょうか。
1.暴力団対策法に基づき援助が受けられる条件
被害者が、暴力団対策法に基づき公安委員会から援助を受けるためには、以下の条件を満たす場合に限ります。
①援助の申出人(被害者側)に対する不当な要求行為に対し、中止命令や再発防止命令が出されているということ。
②不当な要求行為により、被害者が実際に被害を受けているということ。
③被害者が加害者に対して被害回復を求めるに当たり、公安委員会に対して援助を受けたいという旨の申出を実際に行い、この申出に対して公安委員会が相当と認める場合。
2.公安委員会が行う援助
暴力団対策法で規定されている公安委員会が行う援助は、直接被害を返還させる(例えば、指定暴力団等から被害金品を直接取り戻すこと、契約を破棄させることなど)という民事関係に直接関与するようなものではなく、一般的な民事関係において、当事者間で円満に話し合いができるための場をつくることをいいます。
公安委員会が行う援助の内容
(1)交渉を円滑に行うための必要な事項を連絡すること
これは、援助を申し出た者が、命令を受けた指定暴力団員に対して交渉をしようとしていること、また希望する交渉の日時や場所を連絡しておくことなどをいいます。
(2)氏名・住所その他連絡先の教示をすること
ex.加害者の指定暴力団員の連絡先を申出人に教えることなど。
(3)交渉を行うにあたり、心構えもしくはその他の助言をすること
(4)暴力追放運動推進センターの救助事業について教えること
暴力追放運動推進センターでは、訴訟支援に必要な費用の貸付けや見舞金の支給などを行っています。このような事業があるという具体的な内容を知ってもらうことで、被害回復を容易にしようと考えています。
(5)暴力団員から受けた被害に対して、被害の回復のために共同で交渉を行うなど、役に立つ民間団体を紹介すること
(6)警察施設を利用するようにすること
被害の回復について交渉をする際に、安全に行えるよう、交渉場所として警察署等を提供することです。
援助の事例
指定暴力団傘下組織A組の暴力団員Xは、自宅の電気料金を支払わないため送電を停止されたことから、電力会社の社員に対し、「わしはA組のXや。家にもファックスを置いてあるんや。ファックスでの商売もあるんや。もし商談でも入っていたらどうするんや。」などと告げ、指定暴力団の威力を示して、電気料金等の免除または支払の猶予をみだりに要求した。
電力会社の社員の届出から、警察では、Xに対して中止命令を発出するとともに、暴力的要求行為による被害の回復を促進するため、
・被害回復交渉を行う場所として警察施設の利用
・Xに対する必要事項の連絡
を内容とする援助の申出を受理し、交渉を行う上での助言を行うとともに、申出に基づく援助の措置を行った結果、暴力団員は電気代等滞納額を全額支払い、被害が回復された。
以上のことが公安委員会が行う援助に関する大まかな内容です。
援助を受けるための要件に該当しないものに関しても、警察は積極的に援助を行っています。
暴力団の被害にあったとしても諦めるのではなく、被害回復のためにもこのような援助を受けることがよいと思われます。
- 2018-07-25
- [CATEGORY]:民暴対策Q&A, 基礎知識編, 反社会勢力・クレーマー対応
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