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暴力団対策法の活用[POSTED]:2018-07-25
民暴被害にあった場合、暴力団対策法はどのように活用できるのですか。その対応はどのようにしたらよいのでしょうか。
1.暴力団対策法の概要
暴力団対策法(正式名称:「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」)において、都道府県公安委員会が一定の要件を満たした暴力団について、「その構成員が集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団」と指定することができるとされています(暴力団対策法3条)。
*平成20年2月28日現在 指定暴力団と指定されているのは22団体です。
また、暴力団対策法では、指定暴力団の構成員が、暴力団の威力を誇示し行う15類型の暴力的要求行為を禁止としています(暴力団対策法9条)。
2.暴力団対策法による民暴対策
暴力的要求行為では、暴力団員による金品の不当要求行為や債権取立行為が含まれていますが、従来の法制度ではこれらのことが犯罪と認識されていなかったため、警察による十分な対応ができていませんでした。
ex.
①口止め料の要求
②寄附金・賛助金の要求
③下請・物品の納入要求
④高利債権の取立
⑤不当な方法による債権取立て
⑥公共料金・商品代金の支払免除要求
⑦金銭の貸付要求
⑧交通事故等の示談介入等
このように、民事介入暴力の形態に当てはまるものが多く規定され、暴力団員によるこのような行為は、暴力団対策法によって、禁止とされています。
暴力団員がこのような行為を行った場合、この行為に対して都道府県公安委員会は中止を命じることができ、さらに、暴力的要求行為を繰り返し行う可能性があると判断されたときには、再発防止の命令を行うこともできます。
暴力団員がこの命令に違反した場合には、刑罰が科せられることになります。
また、暴力団を利用しようとする行為についても禁止とされています。誰であっても暴力団員に対して暴力的要求行為を行うことを要求、依頼、または唆してはならないとされています(暴力団対策法10条1項)。上記のような禁止行為をした者に対しても、再発防止命令を行うことができます。
平成9年には改正もされ、これによって、指定暴力団の業務に関して行われる暴力的要求行為の禁止・準暴力的要求行為の禁止が加わりました。
その中でも、準暴力的要求行為では、指定暴力団員が暴力団対策法9条で定められている規制から逃れることを目的として、規制対象外の者へ依頼するなどの手段で、目的を実現させるというような脱法的な行為を禁止としています。このような準暴力的要求行為を行うことが禁止されている対象者としては、「特定の指定暴力団員が行った暴力的不法行為(暴力団対策法第2条1号に定められている犯罪行為)もしくは暴力団対策法第7章の罰則規定に該当する違法行為の共犯者(共同正犯、教唆犯または従犯)」「特定の指定暴力団員が運営を支配する法人その他の団体の役員、従業員、または指定暴力団員の使用人、従業員」などが該当します(暴力団対策法12条の5)。
最近では、暴力団対策法に定められている規定から逃れるために、政治活動や社会運動を指定暴力団が標ぼうするなどし、不当に金品を得るといった行為が増えています。
しかし、準暴力的要求行為を禁止する規定が定められたことによって、場合によっては再発防止命令を発令することが可能とされています。
3.民暴に対する対応
市民、企業等が暴力団員から暴力的要求行為を受けた場合、すぐに要求に応じることはせず、相手の名刺をもらうなどして、相手の組織、団体名、指名、連絡先等出来る限りの情報を確認し、要求内容や要求の理由を明確にしてから速やかに警察などに相談することが大切です。
また、暴力団対策法では、「事業者に対する援助」について規定されており、暴力団から不当な要求を受けた際に、事業者が有効な措置をとることができるようにするため、都道府県公安委員会では、事業者に対して、暴力団員による不当な要求に関する資料を提供し、従業員に対する指導等に関する助言、従業員教育の機会に警察官を派遣するなどの援助を行っています(暴力団対策法14条)。
さらに、不当要求による被害の防止に努めるため、事業者に対する援助の一環として公安委員会による責任者講習が実施されています。
責任者講習では、事業者や暴力団員に対して、暴力団員が不当な要求を行うことを想定し、どのように対応するべきかなどを習得することが目的となっています。
うまく規定を活用し、民暴に対する対応を準備しておくことが必要です。
- 2018-07-25
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