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    [CATEGORY]:反社会勢力・クレーマー対応

断る理由(2) 入院の強要[POSTED]:2018-07-26

私は病院の事務長をしていますが、暴力団員が組の対立抗争から難を逃れるため、風邪程度で、入院させろと強要してきています。断りたいのですが、後日、嫌がらせを受けても困ります。どうしたらよいでしょうか。

1.医師法上の義務

診療に従事する医師であれば、正当な理由がない限りは、診療治療の求めを拒むことはできないとされています(医師法19条1項)。医師とは、免許制度によるものであり、医業を独占し、従事する者なので、業務の性格上、病気で苦しんでいる者が診療を求めているのであれば、治療を拒むことはできず、最善を尽くして診療にあたる義務があります。
つまり、たとえ病気で苦しんでいる者が暴力団員であっても、その者が病気の治療を求めている限り、暴力団員ということは正当な理由とはならず、よって診療を拒むことはできないのです。

2.不法な入院要求への対応

入院治療の必要性に対する判断は、「入院が治療にとって有益であるか、また必要なのか」という医学的な根拠に基づいてなされるべきです。
今回のようなケースの場合、相手が入院をさせろと要求していることから暴力団の対立抗争から難を逃れ、病院を隠れ場所として利用しようとする意図が明らかです。このような場合には、風邪程度の症状では入院治療をする必要性がないことをしっかり説明し、毅然とした態度で断ることが必要であるといえます。

しかし、一般的に患者さんを見ただけでは、患者さんが暴力団員であるか、また対立抗争から難を逃れるためだけに入院を要求しているのかは分からないことが多いです。なので、このような場合では、診療行為を行う過程の中で、患者と接触し、患者が入院治療を要求する理由や意図、および交渉の態度などから判断するしか方法はありません。
医学的見地から入院の必要性を判断し、もし入院の必要性がないと判断されるようであれば、入院は断るべきです。

万一、このような患者の入院を受け入れてしまえば、病院の中が抗争の場となるおそれがあり、さらには、病院が暴力団のいいなりになるところであると暴力団仲間の間で噂を立てられ、何かがある度に入院患者を装って暴力団員が潜り込むようになるということも考えられます。

他にも、偽装交通事故を起こし、自動車保険金の不正請求に利用されるおそれもあり、さらに毛冊の逮捕状から逃れるための駆け込み入院など、様々な不正目的及び不正利用にかかわる危険性があります。

たとえ医師であっても、社会的に認められる正当な理由があれば、入院の拒否が認められると思われます。

3.どのように断るか

医師が毅然とした態度で患者に入院の必要性がないということを説明し、断るしか方法はないと思われます。
しかし、断られたことを口実として要求がエスカレートすることも考えられます。様々な口実から病院を攻撃の対象とする事案も少なくはないので、そのような事態が生じたときに備え、日頃から対応を考えておく必要があります。

また、暴力団員の要求の内容によっては、刑事事件として告発することができるものや、裁判所へ「立ち入り禁止」「面談禁止」「架電禁止」「街宣禁止」などの仮処分を得ることが可能となります。そのためにも、暴力団とのやりとりや交渉の内容はメモや録音テープを証拠として残しておく必要があるといえます。

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