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- [CATEGORY]:反社会勢力・クレーマー対応
水増し損害の請求を受ける[POSTED]:2018-07-27
私はスーパーを経営しています。暴力団員風の者から、買った刺身で食中毒を起こし医者にかかり死ぬ思いをし、挙句の果てに巨額の商談の機会を失い大損害を受けたから賠償せよ、と怒鳴り込まれました。どう対処すべきでしょうか。
1.事実関係の確認
まず、売主としては、お店で購入した刺身によって食中毒になったという客の主張が本当であるかを確認することが重要です。この確認方法としては、客にレシートまたは商品のシールを提示するよう求めたり、店員の中にその客が刺身を購入したところを見ていないかの確認などです。また、客に対して医者の診断書の提示や他の客の中に同じ商品を買って同様のクレームがきていないかを調べることも確認手段の一つです。
さらに販売の過程において、買主の生命および身体等の侵害をするような過失がないように、売主側が十分な注意を怠っていないかなどの点においても調査する必要があります。
2.客の主張が真実である場合の対応
様々な観点から調査をし、客の主張が正しいということが判明した場合、売主には客の被った損害を賠償する義務があります。ただし、ここでいう損害賠償の範囲は、原則、治療費および慰謝料等の通常生ずべき損害に限られています。それ以外の損害に関しては、そのような損害が生じるということをあらかじめ予想することができたかということが判断の基準となり、予想出来得ることに限り、損害賠償に対する責任が認められます。
本事例では、問題の客が、食中毒により巨額の商談の機会を失うことになり、大損害を受けたから賠償するよう要求をしていますが、一般的にこのような損害を通常の損害とみなすことはなく、また予想ができたといえるものではないので、損害と認められることはないといえます。つまり、売主が賠償する損害は、治療費や慰謝料などの通常の損害の範囲内でよいということになります。
売主は、客に対して損害の明細や領収書、請求書などの損害を立証することのできる証拠の提出を求め、それを確認した上で、損害額についての交渉を行うことになります。
仮に、売主側の要求に応じることがない、また不当な要求を繰り返されるのであれば、裁判所に対して売主から債務額確定の民事調停を申立てる、あるいは一部債務不存在確認の訴訟を提起するなどの法的手段を検討することが必要です。
3.客の主張が真偽不明の場合の対応
様々な調査を行ったにもかかわらず、客の主張を証明する証拠がなく、真偽の判断ができない場合には、売主が、客の損害賠償に対する要求を受け入れる必要はありません。
しかし、相手が本事例のように「暴力団員風の者」となれば、法外な要求を執拗に繰り返してきたり、脅迫的な態度・言動をしてくることも考えられます。このような場合には、早急に弁護士に相談し、法的措置を取れるように対策を講じることが必要です。
また、客が暴力的または脅迫的な手段を取るようであれば、売主側は客に対して、面談の強要を禁止する面談強要禁止の仮処分や店舗への立入りを禁止する立入禁止の仮処分を申立てることができます。
さらに相手が指定暴力団員であり、相手の行為が暴力的要求行為(暴力団対策法9条14号)に該当することも考えられ、たとえ指定暴力団員でなかったとしても、恐喝罪に当たる場合もあるので、警察への相談を検討するべきです。
- 2018-07-27
- [CATEGORY]:民暴対策Q&A, 企業編(内勤事務), 反社会勢力・クレーマー対応
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