反社会勢力・クレーマー対応 危機管理・不祥事対応の弁護士相談は永田町法律税務事務所へ|危機管理.com
- [CATEGORY]:反社会勢力・クレーマー対応
取引先が株主になった場合と利益供与[POSTED]:2018-07-27
取引関係にある某社が当社の株主になりました。取引関係を続けていると、違法の利益供与とされることはないでしょうか。その取引先が他の会社の株主として、株主総会で、その会社を非難・攻撃したとの噂もありますが、総会屋とまではいえないように思います。
1.不正な請託をしなくても利益供与になる
会社法では、会社が総会屋などに、株主総会での発言や議決権の行使に関して金銭の支払いなどの利益を供与することが禁じられています。このことについては、会社法120条1項で「株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない」と定められています。
会社法120条では、不正請託の有無を問わないというだけではなく、会社側が特定の株主に対して、無償で財産上の供与した場合、および有償で財産上の利益を供与した場合においても、供与した利益よりも会社の受けた利益のほうが著しく少ないといえるときには、株主の権利の行使に関し、これを供与したものであると推定され、違法の認定が容易であるとされています。
また、規定に違反した場合、利益供与を受けた者は会社に対して返還する必要があり(会社法120条3項)、さらに利益を供与した者が取締役であるときには、供与した利益を当該取締役が会社に対して弁済するよう義務付けられています(会社法120条4項)。
ただし、規定に違反するようなことがあれば、利益供与に関与した双方が処罰されることになります(会社法970条)。
さらに、この場合の注意点としては、会社に対して、株主権の行使に関して利益供与を要求しただけの者(株主に限らず)であっても、利益供与要求罪に問われ罰せられることになるということです(会社法970条3項)。
2.株主の権利の行使に関しているかが判断基準
利益供与の禁止規定については、総会屋だけが対象というわけではなく、一般株主に対しても適用することができます。つまり、利益供与であるかの判断基準は、供与した相手方が総会屋または総会屋と称される部類の者であるかということで判断されるということではありません。
また、供与の対象となる利益では、金銭や物品の交付だけとは限らず、債務の免除やゴルフ、旅行の接待などのサービスに対する享受も含まれるものとみなされるため、この禁止規定の適用事例は広範囲に及ぶものだと思われがちですが、適応を受ける対象はあくまで「株主の権利の行使に関して」利益給与が行われた場合に限られています。うまり「利益給与」と認定されるのは、株主権の行使または不行使の対価として利益供与が行われた場合に限られます。
3.株主となった取引先との取引継続
本事例についてですが、取引先が自社の株主になったとはいえ、この事実だけで継続中の取引関係を中断または縮小する必要はないと思われます。取引自体は株主となる前から続けられているものなので、継続することによってあらたに利益供与が行われたとみなす余地はありません。
ただし、株主になった後の取引条件において、特段の合理的な理由がなく、かつ以前よりも著しく有利となるような変更がなされていると問題となり、会社の意図を疑われる可能性もあります。その中でも、取引先が他の会社の株主という立場で、株主総会において非難や攻撃をしたという噂を聞き、このような攻撃等を回避する目的で取引条件を変更すれば、たとえ取引先が総会屋でなくても、禁止規定に該当することがあります。
- 2018-07-27
- [CATEGORY]:民暴対策Q&A, 企業編(法務総務), 反社会勢力・クレーマー対応
『企業編(法務総務)』のその他の記事
- 反社会勢力や暴力団への対応
- 反社会勢力や暴力団が現れたら トラブルの最中で、第三者が現れることがある。反社会勢力や暴力団が絡んできて、追い込みをかけられる。こうなってくると当初のトラブルにおける正当性などどこかに飛んでしまい、話がどんどん変わっていく。本来は正しいことをしていたはずなのに、あたかもこちらが悪いことをしているかのような心境になる。中には当事者がもともと反社会勢力や暴力団であることもある。反社会勢力や暴力団の定…
- 生活保護からの暴力団排除
- 暴力団員から、生活保護の申請がなされました。生活保護の申請は却下できるのでしょうか。 1.結論 生活保護の申請を行った者が暴力団員である場合、生活保護法4条1項によって規定されている保護の要件を満たしていないとし、急迫状況である場合を除き、申請は却下されるものとしています。 2.保護の補足性 生活保護法とは、憲法25条により定められている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)」の実現のため、「生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低…...
- 公共事業からの暴力団排除
- 私は○○市建設局に勤務する者ですが、公共工事に関し、同和関係団体の事務局長と名乗る者が、ある建設業者とともに市役所を訪れ、入札業者に対し当該建設業者を下請として採用するよう行政指導をしてほしいと要請しております。どう対応したらよいのでしょうか。 1.暴力団等の公共事業への関与 公共工事の発注では、莫大な資金が請負業者に対して支払われることや公共施設の指定管理者として採用された場合には、継続的な収入源になるということから、最近では暴力団関係者が様々な理由をつけ、公共事業に関与しようと目論んで…...
- 公立住宅からの暴力団排除
- 市営住宅、県営住宅、都営住宅等の公立住宅から暴力団員を排除することは可能でしょうか。公立住宅に居住申込をした者が暴力団員である場合、暴力団員であることを理由に入居を拒否することはできるのでしょうか。また、既に公立住宅に居住している者が暴力団員であったことが判明した場合、暴力団員であることを理由に公立住宅からの明渡しを請求できるのでしょうか。 1.結論 条例によって、「暴力団員でないこと」を入居者資格として規定することで、暴力団員の入居を拒否することは可能です。また、既に暴力団員が居住してい…...
- 機関誌・情報誌の購読を取りやめたい
- 私は、市役所の総務課長をしています。当市役所では長年にわたり幹部職員全員が政治団体等の発行する複数の機関誌・情報誌を購入させられています。機関誌・情報誌の発行者は、集金と称し、あるいは取材と称して市役所内を闊歩しています。このような関係を断ち切りたいのですが、どのように対処したらいいのでしょうか。 1.組織的対応が必要 行政対象暴力の類型の中で、機関誌等の購読要求は最も多いといえます。購入方法としては、職員の自費によって購入させられるケースや、公費を支出しているケースなど様々ではありますが…...
- 行政対象暴力とは
- 私は市役所の土木課長をしていますが、同和団体の名刺を持った者が、「A社の経営姿勢を正してほしい」と申し入れてきました。調査したところ、この人物はA社に対して下請工事に参入させることを強要していることが分かりました。どのように対処すればよいでしょうか。また、日頃から行政職員として注意することについても、教えてください。 1.行政対象暴力とその問題性 暴力団やえせ同和・えせ右翼の団体などが、市役所や県庁等の行政職員に対して、公共工事の受注および下請参入を迫る行為や、また各種許認可や随意契約にお…...
- 役員と従業員の連携プレー(3) 従業員の立場
- 私は、建設会社の現場責任者です。暴力団関係者が「マンションができると日照権が阻害される」と難癖をつけ、工事を妨害しています。上司は、「カネで解決せよ」というのみで、直接交渉に当たってくれません。どうしたらよいでしょうか。 1.建設会社は最大のターゲット 暴力団は、隙さえあればどのような企業であっても攻撃を仕掛けるものですが、その中でも建設業界は最大のターゲットとされています。毎年、法務省人権擁護局が実施している「えせ同和行為実態把握のためのアンケート調査結果」において、えせ同和行為の被害を…...
- 役員と従業員の連携プレー(2) 役員の心構え
- 私は、会社の総務部長兼務の取締役です。右翼団体を自称する者たちが会社に押しかけてきて、私との面談を強要してきたので、部下に対して「私のところまでこないように、君たちの責任で解決しなさい」と指示しています。部下たちは、私のことを弱腰であると非難しています。私の態度は間違っているのでしょうか。 1.大いなる間違い 設問者がとっている態度は、明らかに間違ったものであるといえます。いくら取締役であっても、部下に責任をすべて押しつけることは許されることではありません。部下だけで解決するのではなく、会…...
他にはないサービス。無料相談は原則、受け付けません。
無料相談を掲げる法律事務所とは一線を画し、価格競争はせず、報酬に見合う良質なサービスを提供しています。他の弁護士事務所にできないミッションを達成し、紛争解決に集中してリソースを割くために、相談対象を紛争性がある危機管理事件に限定しています。
「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している方は無料電話相談(初回15分)・無料メール相談(1往復のみ)・土日夜間の電話無料相談(初回15分)で対応します。
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
内容証明が届いた事件 | 1時間: 12,000円税別 ※来所困難な方に限り、 1時間30,000円税別にて 電話相談に応じます。 | 1時間: 62,000円税別 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 |
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
内容証明が届いた事件 | 1時間: 12,000円(税別) ※来所困難な方に限り、1時間30,000円(税別)にて電話相談に応じます。 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
|
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 |
※お電話やメール、土日夜間の電話相談は、「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している危機管理事件に限定して、簡略なアドバイスを差し上げる限度で提供しています。メール相談、電話相談または土日夜間の電話相談よりお問い合わせください。
※一般的な法律知識については、お電話やメールでのお問い合わせを受け付けておりません。
一般的な法律知識に関する情報は危機管理大全でご案内していますので、こちらをご利用ください。
- 来所予約・お問い合わせ
- 03-5532-11129:00~19:00 土日祝日除く※お電話又は予約フォームにて法律相談のご予約をお取り下さい。
※小さなお子様の同伴はご遠慮ください。