危機管理における職業別対応策 危機管理・不祥事対応の弁護士相談は永田町法律税務事務所へ|危機管理.com

    [CATEGORY]:危機管理における職業別対応策

公務員の場合[POSTED]:2018-07-19

(1)勤務先による懲罰について

公務員は国家公務員法・地方公務員法によって欠格事由が定められています。欠格事由に該当した場合には、絶対的欠格事由といって、有無を言わさずに公務員となることができません。公務員の欠格事由は禁錮以上とされています。執行猶予がついたとしても、禁錮以上であることには変わりがありませんから、欠格事由に該当してしまいます。
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者は、欠格事由に該当するのです(国家公務員法38条2号)。
また、国家公務員法82条1項各号のいずれかに該当する非違行為を行った場合に、懲戒処分が科せられます。

そこで刑事事件になった場合には、罰金以下で終結させることが絶対条件になります。

さらに罰金以下で終結させても、職場にばれないようにすることが重要です。

よくあるパターンは、警察が職場の人間を身元引き受けに要求することです。最初から職場に発覚してしまっているので、発覚阻止が達成できません。中には直属の上司だけで留めてもらうケースもあるようですが、幸運な事例です。
もっとも事件がばれても、職場に居続ける方もいます。
以前に重傷交通事故を起こしてしまった公務員の方がいました。交通死亡事故・重傷の事故は、禁錮以上になることが必至。
被害者の容態が悪い公務員の交通傷害事故において、検察官に交渉して異例の罰金求刑にしてもらったことがあります。
公務遂行中の交通事故により、禁錮以上の刑に処せられその執行を猶予された公務員に対して、情状により職を失わないものとすることができる内容のいわゆる分限条例が制定されていることがあるのですが、当該公務員の勤務する自治体には条例がありませんでした。

労働組合が働きかけ、議会が条例制定に向けて動きだしました。しかし、その前に判決が確定してしまうと条例の適用ができなくなり、失職してしまう。
できるだけ時間を稼ぎ、最高裁判所まで上告をして、条例制定前に判決が確定しないように頑張ったことがあります。
結果、無事に条例の適用対象事件となり、職員は公務員の立場を失わずに済みました。

(2)服務上の義務

以下の義務に違反すると、懲罰処分の対象となります。
1.ストライキの禁止/2.秘密を守る義務/3.政治的行為の制限/4.アルバイト等の制限/5.その他の服務義務(服務の宣誓・法令や上司の命令に従う義務・職務専念義務・信用失墜行為の禁止)

(3)懲戒事由について

懲戒事由は以下のように定められています。
1.国家公務員法若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合/2.職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合/3.国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合

(4)懲戒処分の種類及び効果

1.免職/2.停職(1日以上1年以下の期間、職務に従事させず、給与は支給されない)/3.減給(1年以下の期間、俸給の月額の5分の1以下に相当する額を給与から減ずる)/4.戒告(その責任を確認し、将来を戒める)
国家公務員の懲戒制度における
処分量定について詳しくはこちら

※総務省のサイト内の該当ページを別ウインドウで開きます。
これらの懲戒処分を受けると、処分の種類に応じて、昇給・昇格や期末・勤勉手当、昇任、退職手当などで不利益な影響を受けます。

(5)平成29年の懲戒処分

  • ・一般職の国家公務員は328人。※前年より65人増加
  • ・処分数を府省等別にみると、多い方から順に、厚生労働省:73人(全体の22.3%)、法務省:55人(16.8%)、 国税庁:53人(16.2%)、国道交通省:37人(11.3%)、海上保安庁:27人(8.2%)となり、
    この5省庁で、全体の74.7%を占めます。

事由別・種類別処分数(平成29年 単位:人)

処分事由処分の種類
免職停職減給戒告
一般服務関係
(欠勤、勤務態度不良等)
2
(9)
3253
(22)
22
(9)
97
(40)
通常業務処理関係
(業務処理不適正、報告怠慢等)
1
(1)
3
(1)
12
(15)
3
(8)
19
(25)
公金官物取扱関係
(紛失、不正取扱等)
3
(1)
20
(4)
18
(1)
41
(6)
横領等関係3
(3)
1
(2)
5
(5)

(3)
9
(15)
収賄・供応等関係
(倫理法違反等)
4
(2)
2
(3)
1
(1)
1
(1)
8
(7)
交通事故・交通法規違反関係1
10
(4)
25
(16)
13
(12)
49
(32)
公務外非行関係
(窃盗、暴行等)
3
(2)
17
(34)
70
(70)
12
(16)
102
(122)
監督責任関係
(4)
2
(12)
3
(16)
12
(10)
58
(54)
187
(137)
71
(62)
328
(263)

※1 処分事由が複数ある事案については、主たる事由で分類
※2 ( )内の数字は、前年の処分数

ページトップへ戻る

公務員』のその他の記事

医師・歯科医師の場合
(1)医道審議会による処分 刑事事件で罰金刑以上を受けた場合には、医道審議会にかけられ免許取消等の行政処分を受ける可能性があります。 医道審議会制度とは厚生労働省の審議会で、医師、歯科医師、理学療法士・作業療法士などの免許取消・停止などの行政処分とその手続きを行います。処分対象は刑事事件に限らず、医師の不祥事一般に対して医道審議会が処分を下します。刑事事件で責任を問われなくても、医道審議会による処分が下されることはあります。富士見産婦人科病院事件では刑事裁判で起訴されませんでしたが、民事訴訟で医…...
[ 医師・歯科医師 , 危機管理における職業別対応策 ]
    スポーツ選手の場合
    (1)球団などの所属団体による懲罰について 巨人を不祥事で解雇された人間を、通常、西武はとりません。以前、大洋ホエールズの投手が幼女に対する性犯罪で逮捕され、一回は野球選手を辞めましたが、再度、中日で活躍した例があります。しかしながら、球団とこじれてしまうと、別の球団との間で円満な関係を築くことは一般的に難しいのです。 (2)業界団体による懲罰について ボクシングの亀田兄弟のように、コミッショナーとの問題が起きてしまうと、業界での活躍が難しくなります。国際ボクシング連盟(IBF)スーパーフライ…...
    [ スポーツ選手 , 危機管理における職業別対応策 ]
      タレント(芸能人)の場合
      所属事務所による懲罰について 所属事務所との関係は非常に重要です。事務所との紛争を抱えて、芸能界から追放されてしまう方もいます。事務所と対立関係にならずに、かつ事務所からトカゲのしっぽ切りにされないことが重要です。 テレビ局による懲罰について テレビ局は外注の製作会社抜きには語れないほど、今や外部に番組制作を任せています。そのため、外注の製作会社の人間と局のサラリーマン、タレントなどと、立場や所属の異なる人間関係が入り混じって複雑な状況です。在京キー局は5つしかないことから、テレビに出る者とし…...
      [ タレント(芸能人) , 危機管理における職業別対応策 ]
        政治家の場合
        国会議員には、議院で行った演説・討論・表決について、院外で責任を問われないという特権(免責特権)が、憲法上認められています(日本国憲法51条)。ただし、「院外」での免責を認めるものであって、院内においては懲罰事犯の対象となりえます(日本国憲法58条2項)。 議院による懲罰について ア 日本国憲法58条2項 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要…...
        [ 政治家 , 危機管理における職業別対応策 ]
          ページトップへ戻る

          他にはないサービス。無料相談は原則、受け付けません。

          無料相談を掲げる法律事務所とは一線を画し、価格競争はせず、報酬に見合う良質なサービスを提供しています。他の弁護士事務所にできないミッションを達成し、紛争解決に集中してリソースを割くために、相談対象を紛争性がある危機管理事件に限定しています。
          「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している方は無料電話相談(初回15分)・無料メール相談(1往復のみ)・土日夜間の電話無料相談(初回15分)で対応します。

          来所ビデオ通話電話・メール・土日夜間
          内容証明が届いた事件1時間:
          12,000円税別
          ※来所困難な方に限り、
          1時間30,000円税別にて
          電話相談に応じます。
          1時間:
          62,000円税別
          電話:初回15分
          メール:初回1往復
          土日夜間:初回15分
          無 料
          対立当事者に弁護士が就いた事件
          調停・裁判中、調停・裁判目前の事件
          弁護士を替えることを検討中の事件
          その他、紛争性がある事件
          (潜在的なものも含めて)
          非対応
          来所ビデオ通話電話・メール・土日夜間
          内容証明が届いた事件1時間:
          12,000円(税別)
          ※来所困難な方に限り、1時間30,000円(税別)にて電話相談に応じます。
          電話:初回15分
          メール:初回1往復
          土日夜間:初回15分
          無 料
          対立当事者に弁護士が就いた事件
          調停・裁判中、調停・裁判目前の事件
          弁護士を替えることを検討中の事件
          その他、紛争性がある事件
          (潜在的なものも含めて)
          非対応

          ※お電話やメール、土日夜間の電話相談は、「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している危機管理事件に限定して、簡略なアドバイスを差し上げる限度で提供しています。メール相談電話相談または土日夜間の電話相談よりお問い合わせください。

          ※一般的な法律知識については、お電話やメールでのお問い合わせを受け付けておりません。
          一般的な法律知識に関する情報は危機管理大全でご案内していますので、こちらをご利用ください。

          来所予約・お問い合わせ
          03-5532-11129:00~19:00 土日祝日除く※お電話又は予約フォームにて法律相談のご予約をお取り下さい。
          ※小さなお子様の同伴はご遠慮ください。