反社会勢力・クレーマー対応 危機管理・不祥事対応の弁護士相談は永田町法律税務事務所へ|危機管理.com
- [CATEGORY]:反社会勢力・クレーマー対応
総会屋が資料請求をしてきた[POSTED]:2018-07-27
当社は店頭登録をしていますが、このたび総会屋と思われる人物が当社の株式を取得した上、株主総会前に株主名簿等と計算書類及び附属明細書、監査報告書につき資料請求をしてきました。できれば拒否したいのですが、どのような場合に拒否できるのでしょうか。
1.名義書換請求との関係
たとえ総会屋であるとしても、それだけでは株主として認められる権利が行使できなくなるということは一般的にありません。
(1)株主名簿等(実質株主名簿・端株原薄を含む)について
会社では、株主名簿などを本社に備え置くことが必要とされており(ただし、名義書換代理人を置いた場合は、名義書換代理人の営業所に株主名簿を備え置き、会社には何も置かないやり方をとっています)、一方、株主は株主名簿等については、閲覧し謄写することを会社側に対して請求する権利を持っています(会社法31条2項の閲覧・謄写請求権)。ただし、謄本や抄本を交付することに対しての請求を行う権利はないです。
(2)計算書類(賃借対照表、損益計算書、営業報告書、利益処分案又は損失処理案)及びその附属明細書、監査報告書(会計監査人の監査報告書も含む)について
会社では、定時総会開催日の1週間前から、本店では5年間、支店では写しを3年間備え置くことが定められています(会社法442条1項、2項)。会社に対して、株主は計算書類等の閲覧請求権を持ち、さらに会社所定の費用を支払うことにより、謄本および抄本の交付請求権を持つことになります(会社法442条3項)。
2.閲覧・謄写請求・交付請求の拒否
コピーの実費を株主が支払わない場合、または計算書類等の交付請求において所定の費用を支払わない場合については、会社側は交付等の請求を拒否したとしても問題はないといえます。
ここで問題となることは、株主名簿や帳簿の閲覧・謄写等が正当な目的による権利行使ということができない場合になります。
なお、判例では権利乱用に該当するとして、これを拒否することができるとされています(最高裁平成2年4月17日判決)。
一般的に、総会屋だからとはいえ、すぐに閲覧・謄写請求権を持たないという解釈ではないです。しかし、閲覧および謄写権の行使においては、何かしらの意図が隠れて存在していることも多々あります。その中でも、とくに総会屋が過去の株主総会において不規則な発言をする行為や、交付請求をしつつ、暗に不当な利益を要求するような行為をしてくる場合には、何かしらの良からぬ意図が隠されていると疑うべきです。このような場合は、疑いが解消されるまで閲覧権の行使を拒否し、相手方が仮処分命令の申立てを行うか様子見をすることが必要です。この申立手続の過程の中で、相手方の真摯さなどを見極め、確認ができれば閲覧を認めるようにすることも方法の一つです。
会社側にこのような理解が浸透したとともに閲覧権を行使したところで苦労だけが多く、大した成果が得られないということが一般的に知れわたるにつれて、上場会社での閲覧権行使に関する事例は減少傾向にあるといえます。
3.閲覧権の不当許可
拒めるにもかかわらず、閲覧権の行使を拒まなかったのであれば、会社だけではなく、取締役や従業員の責任問題になりかねません。会社の営業内容などについては理由もなく開示すべきではないので、閲覧権の行使に関しては認めるかどうかを慎重に判断する必要があります。
ページトップへ戻る- 2018-07-27
- [CATEGORY]:民暴対策Q&A, 企業編(法務総務), 反社会勢力・クレーマー対応
『企業編(法務総務)』のその他の記事
- 反社会勢力や暴力団への対応
- 反社会勢力や暴力団が現れたら トラブルの最中で、第三者が現れることがある。反社会勢力や暴力団が絡んできて、追い込みをかけられる。こうなってくると当初のトラブルにおける正当性などどこかに飛んでしまい、話がどんどん変わっていく。本来は正しいことをしていたはずなのに、あたかもこちらが悪いことをしているかのような心境になる。中には当事者がもともと反社会勢力や暴力団であることもある。反社会勢力や暴力団の定…
- 生活保護からの暴力団排除
- 暴力団員から、生活保護の申請がなされました。生活保護の申請は却下できるのでしょうか。 1.結論 生活保護の申請を行った者が暴力団員である場合、生活保護法4条1項によって規定されている保護の要件を満たしていないとし、急迫状況である場合を除き、申請は却下されるものとしています。 2.保護の補足性 生活保護法とは、憲法25条により定められている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)」の実現のため、「生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低…...
- 公共事業からの暴力団排除
- 私は○○市建設局に勤務する者ですが、公共工事に関し、同和関係団体の事務局長と名乗る者が、ある建設業者とともに市役所を訪れ、入札業者に対し当該建設業者を下請として採用するよう行政指導をしてほしいと要請しております。どう対応したらよいのでしょうか。 1.暴力団等の公共事業への関与 公共工事の発注では、莫大な資金が請負業者に対して支払われることや公共施設の指定管理者として採用された場合には、継続的な収入源になるということから、最近では暴力団関係者が様々な理由をつけ、公共事業に関与しようと目論んで…...
- 公立住宅からの暴力団排除
- 市営住宅、県営住宅、都営住宅等の公立住宅から暴力団員を排除することは可能でしょうか。公立住宅に居住申込をした者が暴力団員である場合、暴力団員であることを理由に入居を拒否することはできるのでしょうか。また、既に公立住宅に居住している者が暴力団員であったことが判明した場合、暴力団員であることを理由に公立住宅からの明渡しを請求できるのでしょうか。 1.結論 条例によって、「暴力団員でないこと」を入居者資格として規定することで、暴力団員の入居を拒否することは可能です。また、既に暴力団員が居住してい…...
- 機関誌・情報誌の購読を取りやめたい
- 私は、市役所の総務課長をしています。当市役所では長年にわたり幹部職員全員が政治団体等の発行する複数の機関誌・情報誌を購入させられています。機関誌・情報誌の発行者は、集金と称し、あるいは取材と称して市役所内を闊歩しています。このような関係を断ち切りたいのですが、どのように対処したらいいのでしょうか。 1.組織的対応が必要 行政対象暴力の類型の中で、機関誌等の購読要求は最も多いといえます。購入方法としては、職員の自費によって購入させられるケースや、公費を支出しているケースなど様々ではありますが…...
- 行政対象暴力とは
- 私は市役所の土木課長をしていますが、同和団体の名刺を持った者が、「A社の経営姿勢を正してほしい」と申し入れてきました。調査したところ、この人物はA社に対して下請工事に参入させることを強要していることが分かりました。どのように対処すればよいでしょうか。また、日頃から行政職員として注意することについても、教えてください。 1.行政対象暴力とその問題性 暴力団やえせ同和・えせ右翼の団体などが、市役所や県庁等の行政職員に対して、公共工事の受注および下請参入を迫る行為や、また各種許認可や随意契約にお…...
- 役員と従業員の連携プレー(3) 従業員の立場
- 私は、建設会社の現場責任者です。暴力団関係者が「マンションができると日照権が阻害される」と難癖をつけ、工事を妨害しています。上司は、「カネで解決せよ」というのみで、直接交渉に当たってくれません。どうしたらよいでしょうか。 1.建設会社は最大のターゲット 暴力団は、隙さえあればどのような企業であっても攻撃を仕掛けるものですが、その中でも建設業界は最大のターゲットとされています。毎年、法務省人権擁護局が実施している「えせ同和行為実態把握のためのアンケート調査結果」において、えせ同和行為の被害を…...
- 役員と従業員の連携プレー(2) 役員の心構え
- 私は、会社の総務部長兼務の取締役です。右翼団体を自称する者たちが会社に押しかけてきて、私との面談を強要してきたので、部下に対して「私のところまでこないように、君たちの責任で解決しなさい」と指示しています。部下たちは、私のことを弱腰であると非難しています。私の態度は間違っているのでしょうか。 1.大いなる間違い 設問者がとっている態度は、明らかに間違ったものであるといえます。いくら取締役であっても、部下に責任をすべて押しつけることは許されることではありません。部下だけで解決するのではなく、会…...
他にはないサービス。無料相談は原則、受け付けません。
無料相談を掲げる法律事務所とは一線を画し、価格競争はせず、報酬に見合う良質なサービスを提供しています。他の弁護士事務所にできないミッションを達成し、紛争解決に集中してリソースを割くために、相談対象を紛争性がある危機管理事件に限定しています。
「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している方は無料電話相談(初回15分)・無料メール相談(1往復のみ)・土日夜間の電話無料相談(初回15分)で対応します。
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
内容証明が届いた事件 | 1時間: 12,000円税別 ※来所困難な方に限り、 1時間30,000円税別にて 電話相談に応じます。 | 1時間: 62,000円税別 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 |
来所 | ビデオ通話 | 電話・メール・土日夜間 | |
---|---|---|---|
内容証明が届いた事件 | 1時間: 12,000円(税別) ※来所困難な方に限り、1時間30,000円(税別)にて電話相談に応じます。 | 電話:初回15分 メール:初回1往復 土日夜間:初回15分 無 料 |
|
対立当事者に弁護士が就いた事件 | |||
調停・裁判中、調停・裁判目前の事件 | |||
弁護士を替えることを検討中の事件 | |||
その他、紛争性がある事件 (潜在的なものも含めて) | 非対応 |
※お電話やメール、土日夜間の電話相談は、「内容証明が届いた」「対立当事者に弁護士が就いた」「調停・裁判中」「調停・裁判目前」「弁護士を替えることを検討中」など、紛争性が顕在化している危機管理事件に限定して、簡略なアドバイスを差し上げる限度で提供しています。メール相談、電話相談または土日夜間の電話相談よりお問い合わせください。
※一般的な法律知識については、お電話やメールでのお問い合わせを受け付けておりません。
一般的な法律知識に関する情報は危機管理大全でご案内していますので、こちらをご利用ください。
- 来所予約・お問い合わせ
- 03-5532-11129:00~19:00 土日祝日除く※お電話又は予約フォームにて法律相談のご予約をお取り下さい。
※小さなお子様の同伴はご遠慮ください。