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特殊株主への接待行為[POSTED]:2018-07-27
株主総会が近づいています。株主には暴力団関係者等の特殊株主がいるので、総会でおとなしくさせるため、ときどき接待をしています。どのような問題が生じますか。
1.利益供与の禁止
会社法では、株主の権利の行使について、会社は財産上の利益の供与をしてはいけないと定められています(会社法120条)。この規定に違反し、接待その他の利益の供与を行えば、「株主の権利行使に関する利益の罪(会社法970条)」に該当することとなり、3年以下の懲役あるいは300万円以下の罰金に処せられます。
また、会社に対して、利益供与を要求した者に対しても、利益供与要求罪に罰せられることになります(会社法970条3項)。
2.会社としての対応策
会社が利益供与に関する行為を行い、会社法違反として摘発を受けるようなことがあれば、総会を順調に進めようとすることで、かえって逆効果になってしまうことがあります。
これは、暴力団関係者が、自己の背景に存在する暴力団という看板を利用することで、不当な利益を得ようとしているため、接待をする行為は暴力団関係者の思うつぼとなり、自己の威力が相手方に伝わったとみなし、よりその行為を助長させる結果となります。このような状況になれば、会社のイメージは損なわれることに繋がります。
暴力団関係者に対して、下出に出るようなことをしても、よい結果が生じることはなく、暴力団関係者の行為をかえって助長させることになります。総会関係の担当者は、株主の中にこのような関係者が存在するということは、非常に好ましくなく、なんとかして株主総会を無事に切り抜けたいと考え、接待を考えがちですが、接待行為は絶対に行うべきではありません。
本事案において、接待行為はきっぱりとやめることが望ましく、これは会社の将来を考えた上でも、必要なことであるといえます。暴力団関係者と手を切らなければ、いつまでも悪い関係が継続することとなり、暴力団関係者からの要求がますますエスカレートしてしまうと思われます。
暴力団関係者は、そもそも法律やルールを守ることをしない者の集団なので、問題を起こしたところで、受ける障害は大きくないといえます。
一方で、会社が悪いイメージを社会に与えることによって被ると考えられる損害は、とても大きいと思われるので、できるだけ早い段階で暴力団関係者などとの関係を絶縁しておくことが重要となります。
暴力団関係者であるからといって、必要以上におそれることや、警戒をする必要はないので、堂々と総会を実施してよいです。
3.利益供与よりは適正な総会運営を
もしも、接待を行う以前に暴力団が総会を混乱させるような行為があるということや、接待を中止されたことにより、暴力団関係者が総会屋と結託をし、議事運営において妨害を受ける可能性が生じるなどの場合には、総会対策を考えることが必要となります。そのためにも、総会において、議長(一般的には社長や会長)が適切な議事進行を行うことが重要ですが、自信を持って進行するためのリハーサルなどを行っておけば、なにも問題はないと思われます。
また、必要があると判断した際には、警察官に相談して現場で待機してもらえるよう要請することも一つの方法です。
株主権の行使に関して暴力団関係者から利益供与を要求された場合は、利益供与要求罪として、警察に被害届を出すなどの対応をとるべきです。
- 2018-07-27
- [CATEGORY]:民暴対策Q&A, 企業編(法務総務), 反社会勢力・クレーマー対応
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