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反社会的勢力と絶縁するための組織づくり[POSTED]:2018-07-27
当社は、暴力団等の反社会的勢力と絶縁し、不当な要求に対処する組織づくりをしたいと思っています。組織づくりの要点などを教えてください。
1.反社会的勢力排除の社会的要請
企業側が反社会的勢力との関係において絶縁することの必要性は、相当以前から強調されています。
企業側が反社会的勢力の威力に屈する、あるいは癒着するなどの状況になり、金員を支払うようなことがあれば、不法な集団ともいえる暴力団員に対して、企業側が自ら資金を提供および援助していることになるため、企業の姿勢としてみれば認められるものではないといえます。
反社会的勢力との対決および絶縁においては、日本の主要企業間で構成されている日本経済団体連合会における企業行動憲章の中で述べられています。
そもそも企業行動憲章は平成3年に策定されたもので、その後改定が繰り返し行われ、現在の企業行動憲章第5版および実行の手引きにおいても、「市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力及び団体とは断固として対決する」という内容が記載されています。
また、政府犯罪対策閣僚会議によって、平成19年6月に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を公表しています。その中でも、反社会的勢力に対する資金の提供や裏取引を行うようなことは絶対にしてはならないと強調されています。
2.トップ以下企業全体での意思統一を
暴力団などの反社会的勢力と絶縁をするために必要なことは、問題に関わっている者だけでなく、企業全体また全社員が、反社会的勢力のような集団とは関わりを持たない、そして絶縁するという意思を持つことです。
これまでは、企業側が「揉めごとに巻き込まれたくない」「企業の信用を失うことは避けたい」などの考えから、「少しの金銭を支払って回避する」といった姿勢で対応していました。
しかし、一度でも暴力団からの要求に応じ、関わりを持ってしまえば、エスカレートしていく新たな要求を受け続けることになるおそれもあり、さらに反社会的勢力に対して資金を提供しているような状態になるため、社会的に信用を失い、非難されえることも考えられます。
つまり反社会的勢力と絶縁するためには、企業のトップが相手方との対決を宣言し、その企業の全従業員が反社会的勢力と絶縁するという意思で一致した上で、不当な要求に適切に対処するための組織をつくることが必要となります。
3.具体的方策
では、具体的にはどのような準備が必要なのかということになります。
(1)専門家との連携、専門部の設置・強化
常日頃から、弁護士や警察、暴追センター等の専門家、専門機関などに携わる人との繋がりを持っておくといざという時に有効になります。繋がりをつくるためにも、これらの専門家による講習や暴排活動等に企業の幹部や担当部署の社員が参加をし、指導を受けることが大切です。
このように繋がりができれば連携の体制も整い、専門家の力が必要になった際に、すぐに相談することが可能となります。
また、企業の中に反社会的勢力に対する対応を行う窓口となる法務部やその他の専門部を設置することもよい方法の一つです。このような部署を設置することで反社会的勢力に対する対応の強化を図ることができます。
このような専門部では、正確な法的知識を使わなければならないので、ときには弁護士やその他の専門家に相談しながら、マニュアルの作成・研修・情報管理・外部機関との連携・社内への指導など反社会的勢力に対する対策の全般を担う立場となります。
反社会的勢力へ対応するにあたり、担当者個人にすべてを任せるようなことはせず、組織として対応していくことが重要となります。
専門部では、不当な要求が行われた場合に、当該部署からの相談を受けたり、専門機関との連携における窓口となって、担当部署を支援するなどが行われます。
(2)社内規則の整備・マニュアルの作成・研修
反社会的勢力とのトラブルが起こった際の社員の対応を統一するためにも、社員の行動基準を決めておくことになり、これは倫理規定、行動規範、反社会的勢力への資金提供の拒否、また一切の取引の拒否などの内容を、根拠を設けた上で明文化し、反社会的勢力の排除を徹底することが大事です。
反社会的勢力とのトラブルの際に、実際にどのように対応するのかを具体的なマニュアルとして作成し、また社員に対しても研修などを実施することで、企業としての対応を周知にすることができます。
(3)情報収集・情報管理
反社会的勢力と対峙するにあたり、相手方がどのような集団であるのかを知る必要があります。そのためにも情報収集および情報管理をしておくことが大切です。相手方が反社会的勢力であることに気づかず、安易な対応をとってしまえば、相手に付け入る隙を与えてしまうことにもなりかねません。
このような点からも、日頃から他の企業や暴追センター、警察などと情報交換および連携を強化しておくことが必要であるといえます。
また、個人情報保護法の問題についてですが、このような場合のときには、認められることになるケースが多いです。
(4)一切の関係遮断
反社会的勢力との取引を前もって遮断することは大切なので、そのためにも契約条項等の整備をしておくことも必要といえます。
具体的にどのような対策を取るかということですが、契約書や契約約款の中に、反社会的勢力の者が契約の相手であるときには、拒絶するという条項や、契約後であっても相手方が反社会的勢力の者であることが判明した際には、解除が可能であるなどの条項を記載しておくことが重要です。
(5)警備体制の確立
反社会的勢力と対峙する際には、毅然とした態度で対応し、不当な要求に関しては絶対に応じないという固い決意を持ってきっぱり断ることが重要です。
そのためにも反社会的勢力の対応にあたる者は、暴力団や反社会的勢力に対して恐怖心を持たないということが求められます。
しかし、一般的にみても、暴力団の存在は一般人にとって恐怖や脅威の対象となることは明らかであり、場合によっては交渉の過程の中で相手方が担当者に対して危害を加えることを想像させるような脅しをかけてくることも予想できます。そのような状況になれば、どんなに強い決意で対峙していても、怯んでしまうこともあり得ます。
このような事態を避けるためにも、担当者には直接的な危害を加えられることはないという安心感を持たせる必要があります。
この対処法としては、企業側が警察と連携の体制を整えるか、または企業内で警備体制を強化することです。これはどのような事態になっても適切な対応ができるようになるので、担当者の負担を軽減するという面でも重要となります。
- 2018-07-27
- [CATEGORY]:民暴対策Q&A, 企業編(法務総務), 反社会勢力・クレーマー対応
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