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- [CATEGORY]:反社会勢力・クレーマー対応
使途不明金の処理を命じられる[POSTED]:2018-07-27
私は経理担当者です。領収書をもらわないのに、示談金を支払うように上司から指示されました。相手は暴力団員です。上司は、これを使途不明金として処理するから心配無用といっています。あとで私の責任は生じないでしょうか。相手方が株主かどうかで、責任に違いが生ずるでしょうか。
1.基本的な考え方
示談金は、正当な支払であれば、通常、示談書を作成し、領収書の交付を受けることになります。なので、この事案における示談金は、相手が暴力団であること、また使途不明金として処理するといっていることから、正当な支払ではないと思われます。
本来であれば支払う必要のない示談金を支払うということは、会社に損害を与える行為にあたるとして、(特別)背任罪の共犯として(刑法247条、会社法960条1項)、刑事上で処罰される可能性があります。また、民事上においては、会社から損害賠償を請求されることや、懲戒処分による解雇などを受けることが考えられます。
2.相手方が株主である場合
上記に述べた場合いおいては、相手方が株主かどうかは関係ないですが、使途不明金が株主の権利の行使に対して供与されたものであれば、利益供与罪(会社法970条1項)にあたることもあります。
3.どう対応すべきか
では、設問のような場合に、経理担当者はどのような対応をとるべきなのかということになります。
本設問における金銭の支出は、利益供与罪(会社法970条1項)に問われる可能性だけにとどまらず、他にも税法上の問題をはらんでいることや、この件に関与した取締役の行為によって、会社に大きな損害を生じさせた(会社法423条1項)として株主代表訴訟(会社法847条)の対象になり得ることを訴え、上司に対して経理担当者の立場から、支出をやめるよう説得するべきです。
また、その上司が営業担当等であるならば、直接の経理担当の上司に対して詳細を報告し、判断を仰ぐことが必要です。
会社によるコンプライアンス規定に基づいて、各社における制度を利用し、報告をするべきです。
4.専門的なアドバイスを
このような方法をとったにもかかわらず、上司が考えを変えないようであれば、弁護士や税理士等の専門家に相談をして、アドバイスを受けるべきであると思われます。
各地の弁護士会では、民事介入暴力被害者救済センターが設けられているので、最寄りの弁護士会を訪れ、こちらで民事暴力介入についての専門相談を受けることも一つの手段です。
また、各都道府県では、暴力追放運動推進センターが存在するので、こちらで専門的な相談をすることもできます。適切なアドバイスを受け、上司の暴力団に対する対応方法は間違っているということを粘り強く説得することが重要となります。
5.暴力団等への対応
会社として不当な金銭に対しては拒否するという方針が固まるのであれば、その後の対応策も専門の弁護士に相談し、刑事事件になるおそれがあれば、警察の専門部署へ行き、相談することがよいです。
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- [CATEGORY]:民暴対策Q&A, 企業編(内勤事務), 反社会勢力・クレーマー対応
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