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    [CATEGORY]:反社会勢力・クレーマー対応

マンションの一室が暴力団の組事務所に使用されている[POSTED]:2018-07-25

マンションの一室が最近暴力団の組事務所に使用されていることが判明しました。組員が大勢立ち入り、住民が困惑しています。以前のような平穏なマンション生活をするために出ていってもらうことはできないでしょうか。

1.分譲マンションの住民の権利

憲法13条によって、何人も、その生命、身体を害されることなく安全で平穏に暮らす権利(人格権)を持っているとされています。このことから、暴力団活動における拠点ともいえる暴力団事務所が近隣にあるという状況は、住民にとって平穏に暮らす権利を侵害されていることと同じことといえます。よって、住人は、平穏な生活を侵害されたという理由から、暴力団の事務所としての使用禁止および明渡しなどを求めることになります。また、分譲マンションの場合では、建物の区分所有等に関する法律に基づき、使用禁止および組関係の退去、競売を求めることが可能となります。

2.区分所有法に基づく権利と組事務所排除

区分所有法の6条では、建物の管理または使用に関して「区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と定められています。
しかし、暴力団事務所に関しては、他の区分所有者の平穏で安全な生活を脅かす可能性があることから、共同の利益に反する行為であるとされます。

区分所有者や占有部分の占有者が区分所有法6条に違反とみなされるような行為を行った場合、他の区分所有者あるいは管理組合法人は違反とみなされる行為に対する差止めを請求することが認められ(区分所有法57条)、また共同生活上における障害が著しく、差止め請求では共同利益の維持が困難である場合には、相当期間の使用禁止を要求することが認められます(区分所有法58条)。

さらにこのような方法では、他の区分所有者の共同生活における利益を図ることが困難である場合は、他の区分所有者全員あるいは管理組合法人が訴えることにより、共同利益を害する区分所有者の区分所有権ならびに敷地利用権を競売することに対する請求をすることができるとされています(区分所有法59条)。

競売を申立てられた場合、区分所有者は買受けを申出ることができないため(区分所有法59条4項)、マンションから区分所有者を排除することが可能となります。
区分所有法上の使用禁止請求および競売請求を行使するための訴えを提起するには、管理組合集会の特別決議が必要であるなど、いくつかの要件を満たす必要がありますが、どちらも暴力団組事務所を区分所有マンションから排除するという点では、効果的であるといえます。

3.人格権に基づく使用禁止請求

最近では、区分所有法に基づく手段に限らず、人格権(憲法13条)の侵害によるものを直接の根拠として、人格権に基づいた暴力団組事務所の使用禁止を求める方法もとられるようになり、このような認める裁判例も多くなってきています。
また、抗争などによる切迫性など人格権侵害の度合いが強い場合では、暴力団から組事務所の占有を剥奪し、執行官に保管を認める裁判例も過去に存在します。

区分所有法の適用がされない物件の場合、区分所有法上の請求をすることはできず、人格権に基づく明渡請求の方法をとるほかありません。

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