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    [CATEGORY]:反社会勢力・クレーマー対応

システム金融[POSTED]:2018-07-25

私は自動車修理工場を経営している者ですが、月末の資金繰りが苦しいため、新聞の折込み広告のチラシをみて、金融業者から最初に100万円を借りました。そのとき、期日を15日後、20日後、30日後とする各50万円の小切手3枚を交付させられました。これをきっかけに2回、3回と繰り返し、さらに脅しと不渡りがこわくて数社の業者をぐるぐる回って、あっという間に総額1,000万円以上の小切手を数社に振り出してしまいました。どうしたらよいでしょうか。

1.「システム金融」とは

「システム金融」とは、ダイレクトメールやファックスなどで事業者に貸付けの勧誘を行い、電話やファックスで申込みを受け、小切手や手形を郵送させることにより貸付けを実行できることをいいます。しかし、このような金融業者は簡単に貸付けができる代わりに「トイチ」以上の高金利をとるという特徴があります。
また、返済に関しては、原則として手形や小切手による決済であることが多いですが、担保として預かるのみで、あとは振り込みによって返済させることもあります。
2週間から1月の間に3回位に分け、高金利を加えた分の返済を迫られるので、まともな方法による返済はできないに等しいです。さらに一度手を出してしまうと次から次へと金融業者から貸付けの勧誘があり、前に借りた分の決済をするためにあらたな借入れをすることになり短期間で借入金額は膨れ上がってしまいます。

2.システム金融の被害対策

システム金融業者の多くは貸金業の登録をしていないので、この点においても違法(貸金業法11条)であるといえますが、出資法に定められている上限金利をはるかに超えていることは明らかであり、これについても違法となるため、いずれも罰則となります。システム金融業者は登録していないことで氏名・会社名・住所等を偽ることができるため、正体が特定されにくいことをよいことに、違法を承知の上で暴利行為を行っているといえます。

しかし、貸金業を営む者が金銭消費貸借契約を締結した際に、利息が年109.5%を超えるような契約であれば、消費貸借契約は無効となります(貸金業法42条1項)。
つまり、システム金融との間で締結された貸借契約が超高金利であった場合、この契約は無効となり、借主については、貸金契約によって借りた金銭においては返還する義務が発生しないといえます。これは、借主が受領した金員においては、一般的には不当利得にあたりますが、貸主の悪質性等を考慮した場合、不法原因給付(民法708条)を理由に法律上は返還義務がないと判断されるからです。このような場合、既に返済した金銭を相手方の不当利得として返還を要求することもできます。

以上のことから、本設問においては、こちら側にシステム金融に振り出した小切手を決済する法的な義務はないため、相手方に対して小切手の返還を要求することが可能です。
ただし、このような交渉を個人で行おうとしても、相手方がなかなか応じてくれないことが多いと思われます。なので、このようなときは、弁護士に依頼をして交渉をしてもらうことがよいです。
業者の多くは、弁護士から返還請求を受ければ、たいていの場合は応じて手形や小切手を返還してくると思われます。しかし、中には手形や小切手を取立てに回してくる者もいるので、このような状況に備えて、異議申立提供金を預託する上での資金をある程度準備しておくことが必要です。異議申立金が準備できず、仕方なく不渡りに至る場合もあります。

システム金融問題を根本から解決し、かつ金融業者との交渉においてこちらが有利に事を運ぶためには、過払い金の返還請求や刑事告訴といった手段を利用することが最も有効ですが、相手方の正体を特定することが困難であるため、なかなか思い通りにいかないというのが実情です。
なので、システム金融の被害にあった際には、早期に弁護士へ相談し、破産や民事再生手続などの負債全体の整理も視野に入れた上で対策を考えることがよいと思われます。

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