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    [CATEGORY]:労働トラブル

モンスター従業員[POSTED]:2018-07-10

(1)モンスター従業員の実情

近年、いわゆる「モンスター従業員」と呼ばれる従業員の問題をよく耳にします。
モンスター従業員とは、一般に、常識外れの態度で周囲を振り回し、会社や上司などが対応に苦慮する従業員のことを指し、反抗傾向にある者、パワハラ傾向にある者に限らず、何かと親や配偶者が介入してくる者など、その種類は様々です。
たとえば、上司が仕事のミスを指摘したり、仕事がうまくいかなかったりすると、ムスッとして口をきかなくなったり、離席したまま長時間帰ってこなかったり、無断途中退社や翌日無断欠席をしたり、会議の時間に遅れてきたり、周囲に聞こえるような大きな声でため息をついたり、周囲の人を睨んだりなど、反抗的な態度を示す従業員もいます。就業中に、会社のPCを使って、自分のブログに会社や上司の悪口を実名入りで頻繁に書き込むというケースもあります。

(2)モンスター従業員への対処法

労働者は、雇用契約に基づき使用者の指示に従って労務を提供すべき義務を負っています。
したがって、無断欠勤はもとより、遅刻・早退・私用外出・職場無断離脱、その他勤務不良といった職務懈怠は、労働契約上の義務違反(債務不履行)に該当するため普通解雇事由となり、また、職場秩序維持の観点から懲戒解雇事由にもなり得ます。

ただ、職務懈怠による懲戒解雇が有効と認められるためには、懲戒事由に該当することの他に、客観的に合理的な理由と社会通念上相当と認められる事情が必要です。職務懈怠の回数・程度・期間・態様(やむを得ない理由の有無等)、職務に及ぼした影響、使用者からの注意・指導と当該労働者の改善の見込ないし改悛の度合い、労働者の過去の非行歴や勤務成績、過去の先例の存否などを総合的に考慮して懲戒解雇の有効性が判断されます。
労働者の重大な職務懈怠行為によって、会社に積極的に多大な損害や信用失墜をもたらした場合は、懲戒事由に該当し懲戒解雇の有効性が認められやすいといえます。
問題なのは、欠勤、遅刻、早退の回数が少ないなど、職務懈怠の程度が比較的軽微な場合です。

その場合、いきなり懲戒解雇してしまうと、その有効性について争い(調停・訴訟)となる場合が多く、仮に不当解雇と判断されると、解雇権の濫用として解雇そのものが無効となり、そのモンスター従業員をそのまま雇用し続けなければならなくなったり、賠償金を支払うことになったり、企業側にとって非常に受け入れがたい結果となってしまいます。そのため、懲戒解雇にあたっては、非常に慎重な対応が求められます。①まずは、直接指導・注意を行い、②再三注意したにもかかわらず、改善されないため、軽い懲戒処分(譴責・戒告など)を科し、③さらに改善がみられないため、所定の懲戒手続きのうえ重い懲戒処分(懲戒解雇など)を科すといったステップを踏む必要があります。そして、懲戒解雇のための適正手続を行ったという事実について証拠を残し、仮にのちのち不当解雇として労働者から訴えられても、裁判所に対し企業側の正当性を主張できるだけの準備をしておきます。職務懈怠の継続的な証拠収集のためには、現場の所属部署だけでは限界がありますので、人事部、総務部、法務部など関連部署が一致団結してこれに取り組む必要があります。

以上のように、将来労働訴訟で不当解雇であったと言われても適切に反論できるよう、将来の訴訟を意識した慎重かつ冷静な対応が求められますので、弁護士に相談して進める方がよいでしょう。
なお、懲戒解雇後にモンスター従業員が、処分に対して不当なクレームを言ってきた場合には、企業が直接対応するのではなく、第三者である弁護士が窓口となって対応すべきです。

(3)対処実施のポイント

無断欠席、職場無断離脱、勤務時間中にPCを私的に頻繁に利用するなどの勤務不良が認められる場合には、懲戒解雇に向けて、指導・注意→軽い懲戒処分→懲戒解雇といったステップを踏むことが考えられます。訴訟を想定した証拠資料の収集活動を並行して行うようにしましょう。
懲戒解雇後に訴訟となった時点で収集しようとしても、問題の従業員のブログの記載が削除されるなど、資料が廃棄されていたり、記録が抹消されていたりと証拠収集が困難な場合があるからです。

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