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役員と従業員の連携プレー(3) 従業員の立場

私は、建設会社の現場責任者です。暴力団関係者が「マンションができると日照権が阻害される」と難癖をつけ、工事を妨害しています。上司は、「カネで解決せよ」というのみで、直接交渉に当たってくれません。どうしたらよいでしょうか。

1.建設会社は最大のターゲット

暴力団は、隙さえあればどのような企業であっても攻撃を仕掛けるものですが、その中でも建設業界は最大のターゲットとされています。

毎年、法務省人権擁護局が実施している「えせ同和行為実態把握のためのアンケート調査結果」において、えせ同和行為の被害を受ける業種の中で、建設業が最も多いという結果がでています。これは、えせ同和行為だけではなく、他の反社会的勢力による民事介入暴力の場合であっても同様の傾向がみられます。
このような傾向となる理由は多数ありますが、大きく分ければ3つに分類することができます。
まず第一は、建設業界が、他の業種に比べ攻撃しやすい業態であるということです。これは、業者数が多いため、攻撃する相手が多いということや、現場事務所においては暴力団に抵抗する力が弱い、妨害されることによって工期が遅れるため信用を失うことになる、公共工事が多いため監督官庁に圧力をかけられると弱いといった特長があります。
第二に、取引高が大きいため、攻撃する対象としての魅力が大きいこと。
第三に、建設業界が暴力団に対して、これまでに毅然とした対応を十分にしてこなかったことから、かえって暴力団の攻撃を助長する結果となっている。
つまり、設問における上司の態度は、稀なケースというわけではなく、旧来の悪習を踏襲している例の一つといえます。

2.時代は変わった

現在では、建設業暴力追放協議会が各都道府県ごとに設置されているので、建設業界においても暴力団と対峙する姿勢がみられるようになりました。平成4年に施行された暴力団対策法では、暴力団が寄付金や賛助金の要求をする行為や下請への参入を強要するする行為など、様々な暴力的不当要求をおこなうことが禁止され、このような行為が実際に生じた場合、公安委員会によって、中止命令を発出することが可能となったため、多くの中止命令が出されているという事実があります。

本事例では、弁護士に依頼して、工事の妨害を禁止するための仮処分命令を裁判所に提出してもらうことで、妨害を排除することができます。また、場合によっては、脅迫罪や強要罪、恐喝罪あるいは威力業務妨害罪により、刑事告訴することができることもあります。さらに、暴力団の行為によって工期に遅れが生じ、損害を被った場合には、損害賠償請求を求める裁判を起こすことも可能です。

よって、弁護士や警察の援助を得て、会社側が毅然とした対応を行うことで、安易にお金を支払って解決するということはないのです。
万一、上司が弱腰な態度をとるようであれば、暴力団関係者は都合のよい獲物が見つかったと思い、様々な要求を今後もしてくるものであると思われます。

さらに、これを機に暴力団との付き合いが始まるようであれば、癒着が重ねられることとなり、いざ縁を切ろうとしても切れないような仲になってしまいます。暴力団との癒着といった関係が社会に知られることがあれば、社会的に非難を受けることとなり、関係者が刑事処分を受けるという状況に陥りかねません。

3.上司への説得 「暴力団には勝てる」

上司が弱腰でいるならば、それは民暴対策がいかに効果的かということを知らず、「暴力団には勝てない」と思い込んでいるからであるといえます。よって、上司に対して周りが「今は、泣き寝入りする必要はない」ということを説明し、自信を持って民暴事件に立ち向かう決意を持ってもらうことが重要です。また、上司を連れて、弁護士や警察、暴追センターに相談することも効果的であるといえます。
それでも上司が弱腰な姿勢を続けるようであれば、上司以上の立場にいる役員に対して直訴してみることも一つの手段といえます。

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