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株主代表訴訟の濫用対策

総会屋が、取締役である私を被告として株主代表訴訟を提起してきました。しかし、この訴訟提起は明らかに脅しを目的としているように思えます。私から逆に総会屋に対してとるべき手段はないでしょうか。

1.会社法の濫用対策

会社法847条1項ただし書では、株主代表訴訟の濫用的な提起を防止するため、「責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り(図利目的)又は当該株式会社に損害を加えること(加害目的)を目的とする場合に」会社に対して株主からの提訴請求自体ができないということが明記されました。

不正な図利目的とは、訴訟に基づいていないにもかかわらず、会社または取締役から金銭や便益などを要求するというのを目的としているのが典型例といえます。また、加害目的とは、会社や取締役に対し、名誉毀損的な主張を行うことにより、社会的信用を傷つけることを目的としていることが典型といえ、本事例はこれに該当すると考えられます。

本事例においては、株主(総会屋)が会社に対して提訴請求することはできず、仮に提訴請求ができたとしても有効とはならないので、株主代表訴訟を提起することはできないといえます(会社法847条5項)。株主代表訴訟が提起されても訴訟要件を欠くとして、却下されることになります。

2.対抗手段
(1)担保提供を要求すること

会社法には、濫用的な株主代表訴訟に対応するための規定がありますが、株主代表訴訟が実際提起されることがあれば、これを放置してもよいということではありません。
被告は裁判所に対して、株主代表訴訟が原告株主の悪意によるものであることを弁明し、原告株主に対して、相当の担保を立てるよう命ずる申立てをすることができます(会社法847条7項)。

ここでいう悪意とは、被告の責任において事実的・法律的根拠がないということを原告株主が知っており、または不当な目的を持って被告を害することを知るということになります。

さらに「相当の担保を立てる」とは、原告株主による株主代表訴訟追行が不法行為であった場合、被告が被った損害の賠償を受けるため、支払を担保するために必要な相当額をあらかじめ提供させることを指します。
なお、原告株主が担保を提供できないのであれば訴えは却下されることとなります。

(2)不法行為責任を追及すること

元来、国民は憲法32条により裁判を受ける権利が保障されているので、たとえ原告株主が敗訴した場合であってもすぐに違法な訴えの提起であったとはいえないのが通常ですが、原告株主が「悪意」を持って行った場合などでは、株主代表訴訟の制度の趣旨に対して逸脱していると思われるので、訴え自体を不法行為とみなすことができます。
本事案は明らかに脅し目的で提起された株主代表訴訟は、訴えの提起自体が不法行為に当たると思われます。なので、被告は原告株主に対して、訴訟にかかった弁護訴費用および慰謝料を損害とした賠償請求ができることになります。

(3)刑事罰

訴訟外に総会屋から接触があっても、毅然とした態度で応じ、不正な金銭や便益の要求に一切応じる必要はありません。
総会屋による金銭等の要求に関しては、脅されるようなことがあれば、恐喝罪が該当しますし、また、株主代表訴訟についてされたことであれば、会社法上の贈収賄罪(会社法968条1項4号)もしくは利益供与要求罪(会社法970条3項)が成立することがあるので、対抗手段の一つとして刑事告訴をする方法もあります。

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