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株主総会における退場命令

暴力団等の違法な要求には、日頃から断固とした応対をするように社員に教育しています。しかし、そんなことをしていると株主総会に乗り込んできて大混乱になると聞きました。総会屋等が株主総会に出席してきた場合の心構えと対処法について教えてください。

1.議長は毅然たる態度で

株主総会の運営の正常化を目指すために定められた会社法が定着しつつあり、総会屋を締出すという世論が高まるなかで、冒頭から意図的に些細な手続論によって議事進行を混乱させる行為や議長の制止を無視して不規則な発言をする行為、ヤジや怒号を飛ばし、総会出席者を威圧する行為などのような議事妨害手段をとるケースは少なくなっています。
これは、これらの行為が威力業務妨害罪や名誉毀損罪、侮辱罪などの刑法犯に該当することも考えられ、取締当局によって厳しく追及されることが考えられるからです。

総会において正常な運営を行うためには、会社側の意志を伝える意味でも、総会議長が毅然とした態度で不法な行為を認めないという主張をすることが求められています。議事妨害の被害者は会社だけとは限らないため、議長は、混乱している戯場の中で、多くの真面目な出席株主が被害者とならないように配慮し、さらに被害者になり得る者が議長の味方であることを信じて、毅然とした態度を貫くことが重要です。

2.議長による退場命令

通常、社長が株主総会の議長に就任するということが定款の中で定められています。なお、定めがない場合もあり、その場合は総会の中で選任することになります。
また、議長の職務権限においては、「議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する(会社法315条1項)」とし、秩序維持権限と議事整理権限の双方について規定されており、株主総会の開会から閉会までの間、総会での議事の進行、採決、議事の整理および秩序維持等に関する一切の事項に関して指揮する権限を持っているとされています。

さらに、議事妨害者に対して、議長は議場からの退場を命じることも認められています(会社法315条2項)。つまり議場において議事の進行を妨害する行為であると認められる場合、議長は、その妨害者に対して注意および警告、ないしは行為の中止を求める権限を有し、これらの要求に応じないときには、退場を命ずることが許されています。退場の実現については、場外へ連れ出すこととなります。ただし、警備員によって連れ出す場合、妨害者の衣服や身体をつかむことや引っ張るという行為を行うと、トラブルのもととなるので、退場を促す際の対応には十分注意が必要です。
なお、退場を命じられているにもかかわらず、株主が応じないようであれば、不退去罪が適用されることになります。

退場を命じる際の議事妨害の程度については、妨害者の発言内容や行動等を慎重に見極め、社会通念上から考えて、明らかに議事妨害の意図が見受けられるものである必要があります。
些細な不規則発言に対して、議長が動揺し、冷静さを欠いた中で、無駄に繰り返すようなことは避ける必要があります。もしも、無駄に繰り返すことで、退場措置が公正を欠くようなことになれば、株主の基本的な権利でもある総会参加権を奪うことになりかねず、決議の取消原因となること(会社法831条1項)も考えられるので、注意が必要です。

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