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株の買占め

当社は株式を新興市場に上場しています。当社の浮動株は少ないので、ちょっとした商いでも株価はすぐ動きます。最近、これを利用して株価を吊り上げている暴力団関係者が現れました。当社としては、不自然に形成された株価につられて、安定株主の持株が、その者に移動するのではないかと危惧しています。どういう態度で臨めばよいでしょうか。

1.株価の急上昇による株主の不安定化

株価が乱高下していると、株式の売買をめぐって、提灯買いと売り逃げという状態が生じることになります。
浮遊株が少ない会社の場合、比較的少量の売買であっても、すぐに株価に影響が出ることがあります。また、買い気配があまりにも強くなると、安定株主が崩れてしまう可能性もあります。さらに、株価が不安定な状態になれば、暴力団関係者を寄せ付けるきっかけとなることもあります。

2.暴力団関係者の狙い

株主という立場で、暴力団関係者が経営の支配権を握っている会社は、暴力団に利用されるフロント企業として存在するか、暴力団関係者を敵に回して、潰されていくかのいずれかになると考えられます。
会社経営者であれば、一般的に暴力団関係者が自身の会社の株主として名を連ねることを望みません。
また、場合によっては、証券取引所の上場廃止基準に抵触することもありえます。

しかし、上場会社の場合、株式の譲渡に関しては自由であるとされているので、暴力団関係者を株主にしないよう完全に防御するということは難しいと思われます。

暴力団関係者が株主取得をする際の狙いとしては、短期間で会社の関係者にできるだけ高値で持株を引き取らせる、または総会屋として株主総会を荒らすような素振りをみせ、利益供与を受けるということが考えられます。暴力団はこのような目的を達成させるために暴力団株主の威力がどのくらい大きいのかをあの手この手を使って誇示してきます。会社としては、株主総会の糾弾や違法不正の発覚をおそれ、さらには株主に暴力団関係者がいることによるイメージダウンを嫌うことにより、たとえ高値であっても引取りたいという思いに駆られてしまうのです。

3.買占めの予防策と対抗策

暴力団による株の買い占めを予防するための対策としては、敵対的買収防衛策と一般的にいわれるものによく似ており、それに加え、コンプライアンス意識が強く、毅然とした姿勢で反社会的勢力に対する対応にあたる会社であるということを社会的に認知されることが重要となります。

仮に株の買占めが始まったとしても、関係機関と連携して、冷静に対応することを心がけます。
具体的には、①株価操縦の疑いがあるとし、証券取引等監視委員会に申告することができる、また、②グリーンメーラーによる企業恐喝のおそれがあるとして、警察や弁護士に相談することができるということが挙げられます。

このことに関しては、蛇の目ミシン株主代表訴訟事件がよい事例となっています。
これは、暴力団関連企業に自社株を売却するなどの脅しを仕手筋からされ、売却をとりやめてもらうことを目的として約300億円の金員を融資金の名目で交付した役員に対する善管注意義務が問われた事案に対して、高裁が善管注意義務違反を否定したものです。
しかし、平成18年4月10日に行われた最高裁での判決は、警察に届け出るなどの適切な対応は期待できない状況であったとされ、やむを得ず起こった過失であったという判示が出され、役員に対する善管注意義務違反が認められるという結果が出されました。
また、会社的に好ましくないと判断される株主が議決権等の株主の権利を行使することを回避する目的で、当該株主から株式を譲り受けるための対価を何人かに供与する行為は、利益供与として商法違反にあたることも判示しました。
このように、役員が善管注意義務違反をしないように、関連機関との連携とともに冷静な対応をするよう心がけることが重要です。

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