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執行費用はいくらかかるか

明渡し断行の執行のためには、どのくらいの費用がかかるでしょうか。また、どれほどの手順や時間がかかるのでしょうか。

1.明渡し断行の特徴と手順

明渡し断行の手順としては、執行官に対して明渡し執行の申立てと、必要であれば建物内部の動産類を差押換価にするための動産執行の申立てをすることになります。
明渡し執行の実務では、従来、債務者に対して執行官が断行予定日を告げ、任意に明渡しを促すことになります(明渡しの催告)。
この方法を使うと、債務者からすれば、期限の猶予が得られるという利点がある一方で、債権者は任意の明渡しが行われると、断行にかかる費用が不要となるため、双方にメリットがあるといえます。
しかし、断行日までに猶予ができることによって、占有の移転ができるため、これが行われてしまえば明渡し執行はできなくなり、さらに債権者は承継執行分の付与手続きを再度行うことになるおそれもあるため、危険性もあるといえます。
このようなことを防ぐため、平成15年の法改正において、実務慣行上の明渡し催告を法制度として認めることとし、さらに催告の後に占有者が入れ替わるようなことがあれば、承継執行分の付与を受けることをせずに明渡しの断行をすることが可能となりました(民事執行法168条の2)。
定められた催告期間内に任意に明渡さないのであれば、一定の期間が経った後、占有者を実際に排除等するため、明渡し断行の執行手続に着手することとなります。これらの期間がどれくらいの間隔で定められるかは、地域によって異なるので、執行官に事前に確認をし、打ち合わせをしておくとよいかと思われます。
なお、動産執行の申立てをしていた場合、断行執行終了後に競売が実施されます。

2.執行の費用

執行を申立てる際には、執行官に対して手数料が発生することになります。この手数料は一定の基準で定められているため、事案によって多少の異なりはありますが、10万を超えることは少ないといえます。
また、この手数料に関しては差押財産の売却代金から差し引くなどの方法が取られるため、相手方に負担してもらうことが可能です。
催告期日には、明渡期限が定められることになるので、その期限内に相手方が任意に明渡しに応じれば、その後は費用がかからず搬出の際に起こり得るトラブルも回避することができます。
ただし、明渡しについての交渉を行うようにみせ、引延しの手段として利用されることもあるため、慎重に応じなければならず、時間を空費することがないよう見切りをつけながら手続を進めていくことも必要となります。
仮に断行執行が必要となった際に相手方の残置物があったとしても、前もって相手方から残置物に対する所有権放棄の書面を催告期日に取りつけておくことで、直ちに放棄することが可能となるので、費用に対する負担を軽減することができます。

また、明渡し断行が必要となった場合、鍵を開けてもらう解錠業者や家財道具等の物件の搬出・分類・梱包・運送を行ってくれる業者、およびこれらの物件を保管してもらうための倉庫業者などの手配が必要となり、さらに建物の解体が必要であれば解体業者への手配、相手方が残置物を引取りに来ないようであれば、売却処分することとなるので、それに伴う業者への手配を行うなどが加わってきます。

業者の手配に関しては、立会業者によっては一括して手配してくれる業者もあり、特に暴力団が占拠する建物に対しては、明渡し断行の際は、搬出の際にトラブルが起こる可能性もあるので、執行官は警察上の援助を求めることができるため、事前に執行官が警察に対して援助要請を行うか、または、搬出や運搬等をこのような状況の経験が豊富である業者に委託することが望ましいといえます。

時間的にスムーズに手続を進行させ、かつ、費用の予算を立てておくためにも、事前に業者と打ち合わせを行い、仮処分の執行時や催告期日等にはできる限り業者を同行させ、搬出する物件の量等を下見させた上で、搬出等における準備(作業員の確保等)や費用の見積もりをしておくことが大切です。

なお、相手方が暴力団関係者であるときには、搬出の際に、傷がついたなどのクレームが付けられることが考えられるので、組長の写真など相手方にとって重要な物は自身で梱包してもらい、傷がついたとしてもクレームをつけることはしないなどの確認証を用意しておくとよいかと思われます。
鍵に関しては、相手方から直接受け取ることが望ましいですが、予備の合鍵を所持している可能性もあるので、早急に鍵の交換をするべきであると思われます。

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