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競売物件から暴力団を立ち退かせる

競売物件を競落するため入札したところ、買受人となりました。物件を占拠している暴力団がいるようですが、これを速やかに立ち退かせるには、どうしたらよいでしょうか。

1.買受人の権利

買受人が不動産競売手続において代金を納付した場合、その不動産の権利が取得されたものとなります(民事執行法79条)。
ただし、不動産における権利を取得し、所有権の移転登記が完了していたとしても、裁判所が居住者を退去させて、自動的に不動産の引渡しがされるものではないです。
つまり実際に不動産を占有および利用している者が、任意の明渡しに応じないようであれば、買受人は、別に占有の引渡しを受けるための手続を行わなければなりません。
また、買受人は不動産競売手続の際に代金の納付が完了していることのより、所有権を取得しているので、この所有権に基づいて明渡請求の本裁判を起こすことも可能です。

しかし、競売手続によって不動産を落札し、代金の納付も完了しているにもかかわらず、さらに明渡しを求める訴訟まで起こすことは、買受人にとって大きな負担になるといえます。
法では、このような買受人の便宜を考慮し、一定の場合に限り「引渡命令」という簡易的な引渡し制度が設けられています(民事執行法83条1項、188条)。

2.引渡命令の要件

引渡命令とは、簡易的に明渡しを求める手段の一つですが、この方法を使用する上で時期に制限があり、引渡命令の申立てを行うには、代金を納付した日から6か月以内と定められています。
引渡命令における相手方とは、事件の記録上買受人に対抗するための権原を有しない第三者であることです。つまり第三者が、前の所有者との間で結んだ賃貸借契約に基づき、使用していたとしても、この契約が抵当権設定登記の後に結ばれたものであれば、引渡命令の対象となるのが原則です。

以前までは、競売物件を占有している者から、短期賃貸借の主張をされ、競売手続きを妨害されることは多々ありました。しかし、平成15年に民法の改正が行われたことにより、短期賃貸借制度が廃止となり、その代わりに競売建物の明渡し猶予制度が新たに定められました(民法395条1項)。
この明渡し猶予制度の対象は、抵当不動産となっているものが建物であり、さらに当該建物が競売手続の開始前から使用または収益されていたときに限られます。
つまり土地に関してはこの制度の対象とはならず、さらに建物においては賃貸借契約が締結しているが、実際に使用や収益をしなかった者については、明渡し猶予制度の保護を受けることはできないとされています。

なお、本事案において明渡し猶予が認められる場合には、引渡命令を申立てるための期間が代金納付日から9か月に延長されます(民事執行法83条2項)。

3.設問の事例における対処法

本事例では、相手方が暴力団という属性が明らかになっている上に、短期賃貸借制度が既に廃止となっていることから、相手方が正当な権原に基づく占有ではないと思われるので、引渡命令が適用される可能性があります。
よって、引渡命令の申立てを早急に行い、仮に引渡命令を申立てる期間が過ぎているようであっても、本裁判による明渡請求ができるので、安易な妥協をせず、解決策を考えるべきです。

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