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競売物件を改装された

一戸建ての土地建物に対し、抵当権に基づく競売を申し立てた後になって、それまで空家であった建物に突然大がかりな内装工事が始まり、何者かが入居するとの情報が入りました。ちょうどその頃、その土地建物の登記簿にはいわゆるフロント企業A社の賃借権設定仮登記と代物弁済を原因とする所有権移転仮登記が設定されていました。工事をやめさせ、入居を阻止することはできないでしょうか。

1.不動産利用型執行妨害

本事案では、執行妨害者が競売対象物件を支配し、債権者から明渡し料などの不当な利益を取得しようとした上、当該物件を自らが利用しあるいは第三者に利用させることによって、第三者から不当な利益を取得しようとする、執行妨害性の強い事例です。

2.民事施行法上の保全処分

本事案においては、民事執行法188条(民事執行法55条)における保全処分を利用することができますが、民事執行法55条による保全処分を発令させるためには、債務者もしくは不動産の占有者によって、「不動産の価格を減少させ、または減少させるおそれがある行為」を実際に行っているという証拠を示すことが重要になります。

民事執行法55条における保全処分の対象とされる不動産の価格を減少させる行為とは、物理的な方法によって、目的の不動産の価格を減少させる行為や、不動産の買受希望者に対して入札の意欲を削ぎ、買受希望者を激減させることによって適正な売却価格の成立を妨害する行為が該当するとされていますが、行為の内容に関しては特に限定はないです。

これにより裁判所では、債権者が証明した執行妨害行為に対して、事案に応じて「価格減少行為を禁止し、又は一定の行為をすることを命ずる」とすることができます(民事執行法55条1項1号)。

つまり債権者は、具体的な執行妨害行為との関連によって必要となる命令を考案することになります。
本事例においては、占有移転禁止や退去命令だけでなく、改装工事の続行の禁止や動産等の搬入禁止を出すことができ、さらに動産等が既に持ち込まれている場合には、当該動産の撤去命令等が出せるようになります。

3.執行官保管命令

債権者の目的としては、占有移転禁止や退去命令、工事続行の禁止などの命令を考案することのほかに、執行官保管命令の発令を受け、執行官保管による占有を確保することによって、最終的には執行妨害行為を排除することです。

なお、民事執行法55条2項が改正する前は、執行官保管命令を発令するための要件として、①民事執行法55条1項の保全処分命令に違反していること、または②命令違反を待っているだけでは、不動産価格の著しい減少を防止することができない特別な事情があることという内容が定められていましたが、平成15年の民事執行法の改正に伴い、このような要件が削除されています。
つまり、目的不動産に対する価格減少行為が行われた場合、債権者がするべきことは、執行官保管命令の申立てをどのようにするかの選択肢に幅が広がりました。

4.設問の対処法

このような事案の場合、民事執行法上の保全処分においては、執行妨害の態様がどのようなものかにかかわらず、有効となるので、利用することがよいと思われます。

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