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競売物件を占拠された

債務者が倒産したため、当社が抵当権の目的たる土地について競売の申立てをしました。ところが、更地であったこの土地上にいわゆるフロント企業である「A社の管理」という表示の看板が掲げられ、鉄柵まで設けられました。当社がA社に連絡をとると、A社はこの債務者に対して多額の債権を有し、かつ賃借権も設定しており、占有を解くためには莫大な明渡し料が必要であるといってきました。どのような対応をすればよいでしょうか。ある程度の明渡し料を出さなければいけないのでしょうか。

1.抵当権と賃借権との優劣

賃借権が抵当権の設定登記よりも遅れて設定された場合、抵当権が競売により実行されることで、原則、当該賃借権は消滅することになります。
なお、平成15年改正前民法395条によって定められていた短期賃貸借制度については、同年の改正により削除され、新たに競売建物の明渡し猶予制度が定められました(民法395条1項)。
ただし、この明渡し猶予制度により賃借人が保護されるためには、抵当不動産が建物であることに限られるので、本事案のように抵当不動産が土地である場合には適用されません。

2.民事執行法上の保全処分

執行妨害に対する迅速な対処を行う場合、民事執行法上の保全処分を利用することになります(民事執行法188条、55条)。
本事案の場合、当該会社としては、裁判所に対してA社が「不動産の価格を減少させる、あるいは現象させるおそれのある行為」を実際っている証拠を示す必要があります。なので、執行官の現況調査報告書、執行妨害者との事前のやりとりやまた、現場の占有状況などから「不穏な占有」を立証します。

なお、価格を減少させる行為について、以前は「著しく」が強調されていましたが、平成15年の民事執行法の改正によって、これが削除され、保全処分に関する要件が緩和されました。

3.55条の保全処分の効果

債権者側が最終的に目的としていることは、土地を占有している執行妨害者を排除し、抵当権の目的たる土地を執行官の管理下に置くことです。そのためにも、債権者がするべきことは、A社の占有が「不穏な占有」ということを理由に、執行官保管命令(民事執行法55条1項2号)を申立てることであるといえます。

なお、平成15年以前は、民事執行法55条2項では、執行官保管命令を命ずるためには、不動産の占有者が他の保全処分に違反しているということが要件とすることが原則でしたが、平成15年の民事執行法の改正に伴い、上記の要件は削除され、その他の保全処分と同様の要件により、執行官保管命令を命ずることができるようになりました。

保全処分を発令させるためには、通常、保証金の納付が必要(保証金は後日返還)とされますが、執行妨害者や執行妨害目的が暴力団に関係があると立証することができるのであれば、保証金の金額が減額されると考えられます。

4.設問の事例における対処法

執行妨害を対処するための様々な制度が法では定められているので、執行妨害者に対して明渡し料を支払う義務はなく、明渡し料に関する要求があった際には、断固拒否し、法に則って解決することが最良です。

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