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不正行為の防止・危機管理システム

最近、他社で担当役員や担当社員が偽装や隠蔽を行うなど、不正行為が続発しているのを、マスコミ等でよく見聞きします。かかる事態を回避するためには、当社としてはどのような対応を取っておけばよいでしょうか。

1.過去の不正・不祥事事例
(1)後を絶たない企業不祥事

企業が不正を行う企業不祥事は、現在においても後を絶ちません。企業不祥事は、会社のトップが不正を行うこともありますが、上層部が知らないうちに担当の役員や社員が不正を行うというケースもあります。

トップが不正を行うことは論外となりますが、担当の役員や社員による不正を防止する対策は必要です。
このような問題を検討するにあたり、大和銀行事件大阪地裁判決と神戸製鋼所事件神戸地裁所見の二つの株主代表訴訟の事案は特に参考になるといえます。

(2)大和銀行事件

大和銀行事件とは、ニューヨーク支店の担当者が、無断かつ薄外の証券取引を行ったことにより、多額の損失を出した事案です。

この事案の判決において、裁判所では「健全な会社経営を行うためには、」「リスク管理が欠かせず、会社が営む事業の規模、特性等に応じたリスク管理体制(いわゆる内部統制システム)を整備することを要する」と述べています。これにより、会社における社員による不正を防止するための内部統制システムの体制を整える必要性が、一般的に強く認識されるようになりました。

(3)神戸製鋼所事件

神戸製鋼所事件とは、株主総会を取り仕切る総務部担当者が、総会の運営を円滑に行うための協力を求め、総会屋に対して多額の利益供与を行った事案です。また、内部留保していた裏金がその利益供与に当てられていました。

この裁判においては、判決ではなく和解などによる解決の形にはなっていますが、裁判所では異例の「所見」を公表しました。

裁判所は「所見」の中で、「企業のトップという立場にありながら、内部統制システムの構築等を行わず、放置してきた代表取締役が、社内での違法行為について、知らなかったという弁明をするだけで責任を問われないというのは相当ではない」として、企業トップの内部統制システム構築義務の重要性を強調したものです。

2.法整備の現状

このようなことから、現在では、大会社および委員会設置会社では、取締役会において内部体制システムの基本方針を決定することが会社法の中で義務付けられ(会社法362条4項および5項、416条1項および2項)、また、上場会社では、金融商品取引法により財務報告による内部統制の報告(金融商品取引法24条の4の4)および監査(金融商品取引法193条の2)が義務付けられるようになりました。
具体的にどのような内部統制システムを構築するかは、企業の規模や態様によって異なりますが、民暴との関係においては、平成19年に政府犯罪対策閣僚会議で公表された「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」によって、留意事項が示されています。

3.内部統制の考え方
(1)連邦量刑ガイドライン

アメリカ量刑委員会では、1991年に企業犯罪に対する刑罰について「組織体に関する連邦量刑ガイドライン」を制定しました。これは、企業犯罪に対して高額の罰金刑を課していますが、その一方で、適正なコンプライアンス・プログラムが実施されているようであれば、罰金額を軽減するというものです。このガイドラインでは、コンプライアンス・プログラムが適正であるかの要件について、七つの基準が定められています。

七つの基準(簡略化)

①社内規則やマニュアルの作成
②コンプライアンス責任者の設置
③社員の裁量権限を適切にチェックする
④研修等の実施
⑤監査の実施や内部通報制度の採用
⑥懲戒手続等の運用
⑦不正発覚後の適切な措置

(2)COSO報告書

一方で、アメリカトレッドウェイ委員会支援組織委員会が1992年に「内部統制の統合的枠組(COSO報告書)」を公表しました。 COSO報告書の中で、内部統制は「効果的・効率的な業務活動」「財務会計報告の信頼性」「コンプライアンス」を達成するにあたり、合理的な保証を提供する上で実施されなければならないプロセスとされ、その統合的枠組は、①統制環境、②リスク評価、③統制活動、④情報とコミュニケーション、⑤監視活動の相互に関連する五つの要素から成り立っています。
多くの企業では、現在でもこの考え方を参考にし、自社の内部統制・整備の実施に努めています。

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