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無価値の担保提供

宅地を担保提供するから商品仕入れの信用を供与してほしいといわれ、登記簿上もきれいな土地なので、申出を承諾して商品を納入しました。後日調べると、その土地の現況は道路であり、しかも、相手方が暴力団関係者であることが分かりました。どうしたらよいでしょうか。

1.現地や相手方の調査

登記簿上の記載のみから担保価値があると判断することは危険であるといえます。不動産に担保権を設定する場合、必ず現地を見分し、担保評価を行うことが大切です。これは、登記簿上では存在していることになっていても、実際に現地を訪れると所在の確認ができないことや、また登記簿上の表示と現況が異なっているということはよくあることです。
このことより、現地を見分することは、相手が誠実な取引先であるかを確認するよい手段であり、さらに好ましくない相手であれば、未然に取引を避けることができるので、トラブルを防止するという意味でも重要なことです。

2.代金の請求か商品の取戻しか

本事案の場合、現況が道路である土地を目的として成立した、相手方との担保権設定契約であるといえます。しかし、担保提供時に相手方が土地の現況において実際とは異なる虚偽の説明をし、当方に対して十分な担保価値があると誤信させるような事情があれば、詐欺罪にあたることから、これを理由に商品の売買契約を取消すことができます(民法96条)。

また、契約上相手方に与信額相当の担保を提供する義務を負うという旨の定めがあるならば、担保提供義務の不履行を理由として契約解除または損害賠償請求を行うことも可能です。

当方の対応としては、相手方に対して代金の請求を続けるか、または契約を解除した上で商品の返還を求めるかの方針を定める必要があります。
ただし、代金を請求する場合、相手方が無資力または無資力を装っていることがあり、この場合、代金の回収は困難を伴うことがあります。相手方の財産が見つかった時点で仮差押え手続をとり、代金請求権を保全しておくことも一つの手段です。

3.商品を取り戻す方法

商品の代金を回収することが困難である場合、商品を取り戻すしか方法がありません。
しかし、商品の取り戻しにおいて、詐欺による取消しや契約の解除を行うことは可能ですが、騙されたとはいえ実際に納入をした商品には違いないので、取り戻すことは困難であるといえます。
さらに本事案のように商品が納入されて直ぐに転売し、換金しているケースは多く、この場合、転売先を調べることは事実上困難であるといえ、仮に転売先が確認できたとしても、民法192条の善意取得を転売先から主張されれば、当方は転売先が悪意または有過失であることを証明しない限り、取戻しは難しいといえます。
幸い、相手方の手元に納入した商品があると判明した際には、商品の返還を求める訴訟を起こすことになるので、訴訟を起こす前に占有移転禁止・執行官保管の仮処分を申し立てておくとよいと思われます。

4.まとめ

新規の相手と取引をする際には、相手方が信用するに値する相手かを確認することが大切です。相手が、支払能力に不安を感じる者であったり、また暴力団関係者等に関係がある可能性があり、将来トラブルに巻き込まれるおそれがある相手との取引は、最初から断ることが重要です。
また、相手方の行為が刑事上の詐欺罪にあたると思われる場合には、告訴し、被害弁償を要求することもできます。

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