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フロント企業であることを知ったので契約解除したい

当社は、自社所有ビルの一室をX社がフロント企業(暴力団組長の妻が役員)であることを知りました。何とか賃貸借契約を解除して追い出したいのですが、どうしたらよいでしょうか。

1.フロント企業とは

平成4年3月に暴力団対策法が施行されてから、指定暴力団員が暴力的要求行為を行えば、中止命令や再発防止命令が出されることとなり、またこれらに違反するようであれば、罰則が科されるようになりました。そして、暴力団組事務所から組看板や名札、代紋や提灯などが消えていきました。
暴力団やこれらの関係者は暴力団組織名を隠し、市民社会に正当な経済取引を装って介入し、さらに利権を漁り、行政または企業対象暴力や民事執行妨害を行うことにより、違法な不当利益を得るようになりました。
このように合法行為性を装うことを主体とした暴力団側を「企業舎弟」といい、これを警察庁では「暴力団関係企業」と呼ばれています。これが「フロント企業」といわれるものです。

2.契約の解除

フロント企業とはいえ、暴力団組織との関連性は幅広く、親交がある程度のところから暴力団組織の運営を維持することに積極的に関わっているところまでケースは多岐にわたります。よって、フロント企業であるというだけでは、賃貸借契約を解除する理由としては、不十分であり、契約の解除は困難であるといえます。

また、賃貸借契約を解除したいのであれば、フロント企業であるという証拠収集をするよりも、店舗賃貸借契約の解除事由として、フロント企業側の賃借人に違反がないかを確認することが先決です。賃借人には、①用法遵守義務、②善良な管理者としての保管義務、③賃料支払義務、④賃貸人に損害や迷惑を与えない信義則上の義務、⑤約定に基づく義務(暴力団排除条項等)など、多くの義務を負っています。
つまり、契約内容では使用目的が政経事務所となっているにもかかわらず、暴力団組事務所として使用されている場合であれば、用法遵守義務違反に該当するので、これを理由に契約解除ができますし、また、現実の使用占有者が暴力団組長あるいはその組員であった場合、無断転貸がなされていると解釈することができるため、無断転貸を理由に契約の解除を行うこともできます。さらに、店舗周辺に不法駐車を継続的に行う行為や、深夜に大きな声を出して威嚇または喧嘩をするなどの生活妨害行為に対する近隣からの苦情が絶えなければ、信義則上の義務違反に該当すると考えられるので、これを理由として契約を解除することも可能です。

3.明渡請求

契約解除事由が認められると、内容証明郵便によって、相手方に対して、賃貸借契約の解除及び明渡請求の通知を行います。
そのような場合、フロント企業では、たいてい明渡しの執行妨害を行うため、店舗の占有を第三者へ移転することや、また別の会社の看板を掲げることで、占有移転を偽装することがあります。これに対する対応策として、提訴する店舗明渡請求訴訟を行う前に、契約解除後すぐに裁判所に対して占有移転禁止の仮処分の申立てを行い、決定を得る必要があります。
これは、仮に店舗の占有が移転されることがあったとしても、判決によって明渡の強制執行を行えるようにしておくためです。
また、仮処分執行の際には、相手方の車内に入り、契約違反事由となり得る賃借人の義務違反の証拠を収集および発見する必要があります。ここで得た有利な証拠は、店舗明渡請求の勝訴判決を得るために使われます。

4.暴力団等排除条項

フロント企業などの反社会的勢力と賃貸借契約しないことが第一ですが、仮に契約をしてしまっても容易に解除をすることができるようにあらかじめ賃貸借契約の中に排除条項を入れておくことは有効であるといえます。これは、排除条項がコンプライアンスの宣言といえるからです。

建物賃貸借契約では、居住用と事業用に分類することができますが、どちらの場合であっても効果的である排除条項は、
①建物の使用目的を制限しておく
②契約書に無催告解除条項を設けておく
③禁止事項および解除事由を多くかつ詳細に列挙しておく
④暴力団とは一切関係ない旨、暴力団との関係を疑われた場合には、即退去するというような内容の誓約書を契約書とは別にあらかじめ作成しておく

などがあります。

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