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フロント企業の見分け方

当社の出入り業者の中にフロント企業があるのではないかと心配しています。フロント企業はどのように見分けるのでしょうか。

1.フロント企業の実体

「フロント企業」とは、経営に暴力団が関与し、また資金の面において暴力団を支えている企業のことをいい、「暴力団関係企業」ともいわれています。
フロント企業では、暴力団とは無関係であることを表向き装い、合法的な企業の形態をとっていますが、バブル経済の時期を通じて活動の活発化は顕著なものとなっており、暴力団対策法の成立および施行に伴い、暴力団の実態を隠蔽する動きが見られ、一層助長されてきています。
つまり、フロント企業は、一見普通の経済活動をしているようにみえますが、一方で得た利益を暴力団に流すというパイプの役割を担っているにすぎず、結局は暴力団の資金獲得活動をしているのです。
以上を踏まえると、フロント企業と取引をするということは、暴力団の資金運用に加担することと同じこととなり、さらには企業倫理の遵守にかかわる重大な問題になりかねないので、その辺を理解しておく必要があります。

2.履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)で確認する

フロント企業をどう見分けるかということになりますが、相手会社に関する内容(素性)を知る上で、履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)を取り寄せることが基本となります。
履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)には、会社の名称、本店所在地、会社の目的、役員に関する事項などが記載されています。このとき役員登記の欄を確認し、そこに暴力団員ないし著名な事件屋またはその親族の名が記載されていれば、この会社には注意する必要があります。ただし、最近では、役員に名前の知らない人物を置き、仮装している会社も多々存在しています。

また、役員、本店所在地、会社の目的(営業目的)が不自然に変更されていることもあるので、このような場合も警戒が必要です。これは、暴力団がどこかの企業を乗っ取り、そこをフロント企業としている場合に多く、本店所在地や目的をすべて変更など、会社組織としての不自然な変更がみられます。

さらに登記簿上に記載されている本店所在地と実際に活動している拠点が一致していない場合や会社の名称と実際に行っている営業の内容が一致していない場合、会社の目的の欄に多様な目的(貸金業、土建業、コンサルタント業などが同時に目的となっているなど)が記載されているなどにも注意が必要となります。

現在では、履歴事項全部証明書がコンピュータ化されているため、登録事項しか判明することができませんが、過去の履歴を調べることによって分かることも多々あるので、登録事項だけでなく、現在では閉鎖されている登録事項についても調べてみることが大切です。

3.不動産登記簿謄本、自動車登録事項証明書の調査

履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)だけでなく、不動産登記簿謄本や自動車登録事項証明書も調べてみるとよいと思われます。 フロント企業の場合、所有の不動産が信託登記や差押え、仮登記であるケースが多く、さらに名義変更が頻繁に行われていれば少し警戒する必要があります。
登録事項証明書には記載されていないとしても、不動産の抵当権者や仮登記権者、受託者の欄に暴力団員または著名な事件屋、あるいはその親族が記載されていれば、関連性がみえてくることもあります。

また、自動車登録事項証明書では、出入りしている車両のナンバーから所有者や使用者を確認することができます。

4.少し雰囲気が違うぞ

履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)などの公簿からは注意すべきかを読み取れなかったとしても、相手方の行動などを注意深く観察してみれば、普通の企業とは異なる雰囲気を感じることもあります。

(1) 会社の規模や内容の割に、明らかに豪華な応接や異様な調度品がある場合
(2) こちらから連絡を取ることは難しいが、相手方からはすぐに連絡が入る場合
(3) 電話の取り方が威圧的であるなど、電話での対応が不自然な場合
(4) 責任者の顔をあまり見ず、その上担当者がよく代わる場合
(5) 名刺を何種類か持っており、会社の規模や内容と比べると肩書きが大げさな場合
(6) 従業員や出入りしている業者、または客が異様である場合
(7) 取引に関する公的規制(国土法違反、廃棄物の不法投棄、建築基準法違反など)あるいは労働関係法(労働基準法、労働安全法、派遣業法など)についての知識が乏しく、その上、それについて無視をしている(コンプライアンス体制の不備)場合
(8) 取引が急激に増大している場合
(9) 高額な取引であっても、現金を要求してくる場合
(10) 安価な代金であり、かつ短い納期と常識では考えられない場合
(11) ビルの同居人が同業のような人物もしくは会社の場合
(12) 商談時に過剰な接待をしてくる場合
(13) 同一の事務所であるにもかかわらず、数社の表札がある場合
(14) 説明を受けた事業内容にしては、従業員数が明らかに少ない場合
(15) 商談中に政治家や団体との関係をことさら強調している場合
(16) 高額な賃料の建物に入居しているにもかかわらず、設立は最近である場合
(17) 正体不明の関連会社がある場合
(18) 代表者など役員の履歴が不明である場合

などがあります。

5.要はできる限りの情報収集と観察

フロント企業を見分ける上でのポイントはいくつかありましたが、決定的に見分ける方法はないといえます。ですが、相手方を訪問し、自身で注意深く観察すれば、何かしらの特徴がみえます。
平成19年6月19日には、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」が犯罪対策閣僚会議申し合わせとして示され、さらに指針において、反社会勢力からの被害を防止するための基本原則の一つとして、「取引を含めた一切の関係遮断」を掲げました。

日頃からの企業の対応としては、反社会的勢力との関係を一切持たないためにも、取引を行う相手方について、反社会的勢力ではないか通常必要であると思われる点において注意を払い、また被害を防止するためにも、取引約款の中に暴力団排除条項を取り入れておくことが望ましいと思われます。
さらに、反社会的勢力による被害の防止に関しては、業務の適性を確保する上で必要な法令遵守・リスク管理事項として、内部統制の体制を整えるべきであるとされています。
日頃からの企業の対応としては、反社会的勢力との関係を一切持たず、取引の相手方について、反社会的勢力であるかを見極めるための通常必要な注意を払い、被害を防止するためにも暴力団排除条項を取引約款に導入することなどが求められています。
反社会的勢力による被害の防止については、業務の適性を確保するためにも必要な法令遵守・リスク管理事項として、内部統制システムに位置付けるべきであるといえます。
フロント企業の排除については、企業としての社会的責任および法的責任の問題となっているため、真摯に取り組んでいくべき問題といえます。

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