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断る理由(5) ホテルの宿泊

当ホテルは、一流ホテルであるという評価を受けています。私はそのホテルの支配人をしていますが、最近、暴力団員が宿泊するようになり、他のお客様もこわがってフロントへ苦情がきており、大変困っています。宿泊を断ってもよいのでしょうか。また、暴力団員が宴会場の予約申込みをしてきたときにはどうでしょうか。

1.契約自由の原則と宿泊させる義務

ホテルが宿泊場所および宿泊に伴う一定のサービスを提供し、それに対して宿泊客はホテル側が設定した対価を支払うことに合意することによって、宿泊予約は成立します。この合意とは、宿泊客がホテルに申込みをすることに対して、ホテル側がその申込みに応諾することによって成立するものですが、ホテル側には契約自由の原則があるので、宿泊客からの申込みに対して応諾するかは自由に判断することができます。
しかし、旅館業法では、契約自由の原則に例外を設けています。これは、宿泊強制といい、一定の理由が該当する場合以外では、原則、宿泊の申込みを拒否することはできないと定められています(旅館業法5条)。
ただし、宿泊強制の理由としては、宿泊施設は公共的な性格を持つことにあるので、宿泊強制が適用される場合としては、宿泊申込者がホテルにおける公共性を主張することができる正当な当事者であるであるということが前提となります。

ホテル側が、宿泊を拒否することができる一定の事由はこのような立場にあることから定められており、宿泊しようとしている者が賭博あるいはその他の違法行為または風紀を乱すおそれがあると判断された場合(旅館業法5条2項)、またその他の都道府県が条例として定めている一定の事由(他の宿泊客に迷惑を及ぼすおそれがある、あるいは迷惑を及ぼす言動)が認められるときに限り、宿泊を拒否する理由があると認められます。

また、宴会場の使用については、宿泊強制の条項を適用することはないので、契約自由の原則に則り、ホテル側は自由に予約申込みの応諾を拒否することができます。

2.暴力団員に対する宿泊拒否

(1)暴力団員が、宿泊をするときに組織的な規模あるいは多人数である場合、一般的に言動や服装(ヤクザ風)により、他の宿泊客に対して威圧を加えることで迷惑を及ぼすおそれがあることや、風紀を乱す可能性もあります。場合によっては、ホテルが抗争事件の場となることも考えられます。

(2)暴力団員が、犯罪行為や風紀を乱す行為を行う場としてホテルを利用する場合、薬物使用や密売、売春や恐喝を行う場所として、ホテルが使用されることが考えられます。このような場合には、暴力団員に限らず宿泊の拒否をすることができますし、また申込者が一人であっても宿泊を拒否することができます。

以上の理由により、宿泊拒否条項を適用することが可能となるので、宿泊を拒否することができます。

3.法的対応策

宿泊の申込みに対して拒否をしたにもかかわらず、暴力団員が押しかけてきたり、あるいはフロントやロビーに居座りを続けている場合、住居侵入罪あるいは不退去罪(刑法130条)、もしくは威力業務妨害罪(刑法234条)に該当するといえるので、警察の被害届を出すことができます。また、弁護士会にある民暴委員会に通達し、ホテルへの立入りを禁止を求める仮処分を裁判所に対して申立てをすることも可能です。裁判所は仮処分命令を数日以内に出すことになります。仮に暴力団員が仮処分命令を無視するようであれば、警察が刑事事件として立件することになります。

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