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暴力団対策法の一部改正

暴力団対策法は施行後、何回か改正されていますが、主な改正内容を教えてください。

1.平成5年暴力団対策法の一部改正

平成5年には暴力団対策法の一部が改正されました。これは暴力団対策法を運用したことにより明らかとなった指定暴力団員による不当な行為の実態や暴力団情勢の変化等に対応させるため、基本的な枠組みは変更せずに、暴力団対策法に一部に対して必要な改正を行いました。

Ⅰ.暴力的要求行為の規制等の改正

暴力団対策法9条では暴力的要求行為についての11類型が列挙されており、指定暴力団員が暴力団対策法の制定当時に広く行われていた不当な要求行為およびその全体をカバーできるものでした。
しかし、その後に新たな資金獲得活動を行うようになり、現行では対応しきれなくなったため、暴力団員に対する対処を行うため、9条の改正が行われました。

9条改正点
(1)不当信用取引要求行為(9号 新設)

証券会社が拒絶しているにもかかわらず、指定暴力団員が証券会社に対して、信用取引を行うように要求をしたり、証券会社側が提示した条件よりも暴力団員にとって著しく有利な条件で信用取引を行うよう要求することに対して禁止をしたものです。

(2)不当株式買取要求行為(10号 新設)

株式会社またはその子会社に対して、指定暴力団員がみだりに会社の株式の買い取りあるいは斡旋を要求する行為や、株式会社の役員または株主に対して、拒絶をしているにもかかわらず、株主会社の株式を買い取るあるいは斡旋することを要求、または役員や株主が提示した買取りの条件より暴力団員が著しく有利になるような条件で株式を買い取るあるいは斡旋するような要求をすることに対して禁止したものです。

(3)不当明渡し料等要求行為(12条 新設)

指定暴力団員が建物を占拠するなどの行為を行い、この行為をやめることに対する代償として、土地等の担保権者等に対して、金品等の供与を明渡し料等の名目で要求することを禁止したものです。

(4)用心棒料等要求行為(5号 従来の規定に追加)

指定暴力団員が、日常業務に関してスポーツ観戦の入場券やディナーショーのチケット等の購入を飲食店等の営業者に対して要求することを禁止したものです。

(5)不当貸付け等要求行為(8号 従来の規定に追加)

金銭の貸付と法律形式では異なるものだが、経済的機能の観点から見れば、同様であるといえる手形の割引等によって、金銭の交付や金銭の貸付、またはこれらに類似する行為の媒介を行うことに対して要求することを禁止したものです。

(6)因縁をつけての金品等要求行為(14号 従来の規定に追加)

自らが購入した有価証券に対して因縁をつけ、金品等を要求する行為、または本来は自らが負担すべき損失を有価証券や商品の取引において補てんするような行為を要求することに対して禁止したものです。

Ⅱ.暴力的要求行為の要求等の規制

暴力団対策法では、もともと指定暴力団員に対して、暴力的要求行為を行うことを要求、依頼または唆すことをし、暴力団員を利用することについての行為は禁止されていましたが、指定暴力団員が暴力的要求行為を行っている場に立ち会った際、これを助ける行為を禁止する内容が追加されました。
この行為は、たとえ指定暴力団員ではない一般人であってもこれに該当します。

Ⅲ.その他の改正点
(1)暴力団からの離脱を阻害する不当な行為の規制のための規定の整備

暴力団対策法が制定された後、脱退妨害行為に対する中止命令が多く発出されていました。これらの命令の運用過程の中で、暴力団からの離脱を阻害しているのは、指詰めや入墨の強要等であることが明らかとなり、それらの不当な行為を禁止するため、平成5年5月の改正の中で新たに規定を設けることになりました。

禁止された行為
①指詰めの強要等の禁止(暴力団対策法20条)
②指詰めの強要の命令等の禁止(暴力団対策法21条)
③少年に対する入れ墨の強要等の禁止(暴力団対策法条24条)
④少年に対する入れ墨の強要の要求等の禁止(暴力団対策法条25条)

(2)暴力団への加入強要等の行為に関する規制強化のための規定整備

暴力団対策法が施行された後、脱退妨害や加入強要の対象となる者の親や妻などの近親者に対して、暴力団員が恫喝する行為が目立ちました。このような行為を禁止するために改正が行われました。

改正された点
①人を威迫して行うその密接関係者に対する加入の強要の禁止(暴力団対策法16条3項)
②加入の強要の命令等の禁止(暴力団対策法17条)

(3)暴力団からの離脱および社会復帰を促進するための規定整備(暴力団対策法28条)

暴力団対策法が施行されたことにより、暴力団の内部に動揺が生じました。それにより、暴力団員の離脱化傾向が進み、さらに離脱を阻害する不当な行為の規制が整備されたことで、暴力団からの離脱が容易となり、一層離脱化傾向が進むことが予想でき、暴力団からの離脱を望む者、および暴力団から離脱した者に対する支援が、暴力団対策をする上で重要な課題の一つとなっています。

このようなことから、平成5年5月の改正において、暴力団からの離脱を望む者に対する措置を公安委員会が定め、都道府県暴力追放運動推進センターと公安委員会が役割分担を行うことで、離脱者援護および社会復帰対策にあたることとなります。

これに伴い、関係行政機関や民間団体と連携をし、暴力団員の離脱促進および社会復帰対策に講じ、平成5年11月までの間に全国に社会復帰対策協議会等を設立するなど、暴力団員の離脱と社会復帰を推進しています。

2.平成9年暴力団対策法の一部改正

平成9年に暴力団対策法の一部改正がされました。この改正では、指定暴力団等の業務に関して、みかじめ料の徴収料等の不当な要求行為が繰り返し行われる事例、また指定暴力団員と一定の関係を有するものが指定暴力団員の威力を誇示し、不当な要求行為を行う事例が多く見られ、現行であった暴力団対策法ではカバーしきれなくなりつつあったので、新たに4項目を追加されました。

新たに追加された項目

①暴力団的要求行為として規制する行為の追加
②指定暴力団等の業務等に関し行われる暴力的要求行為の防止
③準暴力的要求行為の規制
④指定暴力団員の集団相互間の対立抗争時における事務所の使用制限に関する規定の整備

Ⅰ.暴力的要求行為として規制する行為の追加

改正に伴い、暴力団対策法9条に暴力的要求行為の一つとして、「不当な態様による債権取立行為」が追加されました。
これは、第三者から依頼を受け、報酬を得るなどによって暴力団の威力を誇示し不当な態様で、飲食代金や建築工事代金等の取立を行う行為に対して規制するものです。
対象となる債権は、高利債権を除いた金品その他の財産上の利益を目的とするものがすべて含まれるとされています。

Ⅱ.指定暴力団等の業務等に関し行われる暴力的要求行為の防止

当時の暴力団対策法9条および11条のおける暴力的要求行為の禁止および違反行為に対する中止命令または再発防止命令の対象とされているのは、特定個別の指定暴力員に限られています。よって、複数の配下にいる指定暴力団員が組長の指示により、みかじめ料の徴収や用心棒の役務の提供受入れを要求する行為であっても、指定暴力団員の個々に対し、中止命令を行うことでしか手段がありませんでした。

そこで平成9年の改正法では、民法715条の使用者責任と類似した方法を利用することにより、上位指定暴力団等の業務の中で行われる暴力的要求行為について、業務主に相当する指定暴力団に対して、再発防止命令を行うことができるようにすることで、暴力団対策法9条および11条を潜脱するような方法によって効果的に暴力的要求行為を抑制することができます。

Ⅲ.準暴力的行為の規制

準暴力的行為とは、暴力団対策法2条8号により「一の指定暴力団等の暴力団員以外の者が当該指定暴力団等またはその9条に規定する系列上位指定暴力団等の威力を示して同条各号に掲げる行為をすること」と定められています。 平成9年に行った改正では、準暴力的要求行為に対して規制する規定が追加されました。
しかし、この規定が定められた背景には、暴力団の構成員が減少傾向にある一方で、準構成員が増加傾向にあるという現象によるものであるといえます。

暴力団構成員が減少傾向となった理由としては、
①暴力団対策法が施行されたことにより、指定暴力団およびその構成員の違法・不当な行為の規制が強化されたことで、指定暴力団の威力を利用することによる資金獲得活動などが困難となったこと
②暴力団対策法が成立して以降、暴力団排除気運が高まってきたこと
③暴力団員が係る犯罪に対する摘発を警察が強化したことにより、暴力団の構成員としての活動を行うことが困難とであり、かつ不利となったこと
などがあります。

一方、暴力団の準構成員が増加傾向になった原因として考えられることは、
①暴力団対策法の規制から逃れるため、暴力団の構成員ではないという形式をとりつつ、暴力団の威力を利用して、資金獲得活動を行う暴力団員が増加したこと
②暴力団から離脱した形式をとりながら、構成員が行っている行為と同じ活動をする者は増加したこと
が指摘できます。

Ⅳ.指定暴力団員の集団相互間の対立抗争時における事務所の使用制限に関する規定の整備

暴力団対策法15条1項では、指定暴力団等の間において対立抗争が発生した場合、事務所の管理者に対して公安委員会は、3か月以内の期間を定めた上で、事務所に対する使用制限の命令を行うことができ、1回に限り、3か月以内の期間を定め、命令の期限を延長することが可能です。

さらに、平成9年の改正法において、
①暴力団事務所等に対して、暴力行為を行う者が指定暴力団等の指定暴力団員であると判明していなかったとしても、他の要件について満たしていれば、敢行した者の暴力団事務所の使用を制限することができるように取り決められたこと
②同一の指定暴力団員等に属する指定暴力団の集団相互において、内部抗争が生じた場合であっても、対立した指定暴力団等において問題が生じたときと同様に、事務所の使用制限を命ずることが可能となるよう取り決められたこと
が規定として整備されました。

3.平成16年暴力団対策法の一部改正

平成16年の暴力団対策法の一部改正では、対立抗争や内部抗争による被害者の救済はもちろん、暴力団の違法・不当な収益等の剥奪を促進し、不法行為の発生を抑えることを目的とし、指定暴力団の代表者等に対して損害賠償責任を負わせることに関する規定を新たに定められました。

対立抗争および内部抗争による被害に対して回復を行うためには、被害者自身が損害賠償請求訴訟を提起することです。
これまでは、民法715条(使用者責任)および民法719条(共同不法行為責任)等の規定を活用することによって、直接加害行為を行った指定暴力団員の上位に対する損害賠償責任の追及を行ってはいましたが、被害者は原告に対して、その指定暴力団の組織および活動実態等に関する立証について大きな負担が課せられることとなり、被害者救済という観点で見た場合、必ずしも納得のいく判決内容が得られるとは限りませんでした。

そこで平成16年の暴力団対策法の改正法では、指定暴力団相互間または指定暴力団内部の集団相互間における対立に伴う指定暴力団員の凶器を使用した暴力行為によって生じた損害に関しては、指定暴力団を代表する者または運営を支配する立場にある者が、その損害を賠償する責任を負うものであると規定されました。
このことにより被害者は、
①指定暴力団相互間または指定暴力団内部の集団相互間に対立が生じていること
②対立に伴い、行われた凶器を使用しての暴力行為が不法行為にあたること
③指定暴力団員によって暴力行為が行われたこと
について立証することができれば、指定暴力団の代表者等に対して損害賠償を求めることができるようになり、被害者の立証に対する負担が軽減されたといえます。

4.平成20年暴力団対策法の一部改正

平成20年4月に国会によって暴力団対策法の一部改正案が可決され、成立しました。

改正概要
Ⅰ.許認可、入札参加に係る暴力的要求行為の追加

指定暴力団等の威力を誇示し、指定暴力団員が以下の行為を行った場合、暴力的要求行為とします。

(1)法令上の要件に該当しないにもかかわらず、自己あるいは関係者が行った申請について許認可等すること、または要件に該当するにもかかわらず、特定の者が行った申請について許認可等しないことを行政庁に対して要求すること。
(2)国、地方公共団体等に対して、当該が行う公共工事の入札に関して、入札参加資格を持たないにもかかわらず、自己あるいは自身の関係者を入札に参加させるよう要求を行ったり、または入札参加資格を持っているにもかかわらず、特定の者に対して入札に参加させないよう要求すること。

Ⅱ.対立抗争等に係る暴力行為の賞揚等の規制

対立抗争等での暴力行為によって、指定暴力団員が刑に処された際に、同指定暴力団に所属の指定暴力団員が暴力行為の慣行に対して、賞揚または慰労をする目的で、指定暴力団員に対して金品等の供与があることが考えられるようであれば、他の指定暴力団員あるいは当該指定暴力団員に対して、金品等の受取りあるいは供与をしてはならないという旨の命令を行うことができるとされています。

Ⅲ.損害賠償請求等の妨害の規制

(1)指定暴力団員は、威迫、つきまといその他の相手を不安にさせるような方法によって、アまたはイの請求に対して妨害を行ってはならないとします。
ア.指定暴力団等に所属する指定暴力団員が行った不法行為によって受けた被害を回復するための損害賠償等の請求
イ.指定暴力団員が所属する指定暴力団等の事務所使用の差し止め等の請求

(2)指定暴力団員が上記のことに対して違反する行為をした場合、その行為の中止のため、また、被害者の生命・身体・財産に対して指定暴力団から危害を加えるために上記に違反する行為を行う可能性が考えられるようであれば、公安委員会は行為に対する中止および防止の命令を行うことができます。

Ⅳ.威力利用資金獲得行為に関する指定暴力団の代表者等の損害賠償責任

指定暴力団員が威力を利用し、資金獲得行為(指定暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成もしくは事業の遂行のための資金を得、または資金を得るために必要な地位を得る行為をいう)を行う際に、他人の生命・身体・財産を侵害するようなことがあれば、一定の場合を除き、指定暴力団の代表者等はこれによって生じた損害を賠償する責任を負うことになります。

Ⅴ.暴力排除活動の促進

国および地方公共団体では、事業者・国民等による暴力排除活動(暴力団員による不当な行為を防止し、これにより事業活動または市民生活に生じた不当な影響を排除するための活動をいいます。)の促進に努め、情報の提供・助言・指導その他の必要な措置をとるものです。

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