労働者とのトラブルで悩んでいる危機管理に関するトラブル

東京都内の老舗高級ホテルである『東京ホテル』の総支配人は、労働者に関するトラブルも抱えて、悩んでいます。

【モンスター従業員】

当ホテルで事務作業を行うある男性社員Dは、日頃から社員同士のコミュニケーションに消極的で、孤立していることが多い社員なのですが、上司が仕事のミスを指摘したり、仕事がうまくいかなかったりすると、ムスッとして口をきかなくなったり、離席したまま長時間帰ってこなかったり、無断途中退社や翌日無断欠席をしたり、会議の時間に遅れてきたり、周囲に聞こえるような大きな声でため息をついたり、周囲の人を睨んだりなど、毎日このような態度で反抗してきます。
また、就業中に、会社のPCを使って、自分のブログに会社や上司の悪口を実名入りで頻繁に書き込んでいたことが発覚しましたが、指導しても、本人にはまったく反省の色が見えません。
職場の秩序を乱し、また、他の社員にも悪影響が出るため、できれば辞めさせたいと思っています。

【まとめ】今後の対処法

・訴訟にまで発展することを前提とした対応が求められるため、対応方針を決める段階から弁護士に相談する。
・特に、解雇したいが職務懈怠の程度が比較的軽微な場合は、所属部署、人事部、総務部、法務部など
 関係部署が一致協力して、懲戒解雇に向けて必要なステップ・段階を踏む。

近年、いわゆる「モンスター従業員」と呼ばれる従業員の問題をよく耳にします。
モンスター従業員とは、一般に、常識外れの態度で周囲を振り回し、会社や上司などが対応に苦慮する従業員のことを指し、反抗傾向にある者、パワハラ傾向にある者に限らず、何かと親や配偶者が介入してくる者など、その種類は様々です。
総支配人のところにも、反抗傾向にあるモンスター従業員がいるようです。
以下その対処法について紹介します。

1.対処の概要

労働者は、雇用契約に基づき使用者の指示に従って労務を提供すべき義務を負っています。
したがって、無断欠勤はもとより、遅刻・早退・私用外出・職場無断離脱、その他勤務不良といった職務懈怠は、労働契約上の義務違反(債務不履行)に該当するため普通解雇事由となり、また、職場秩序維持の観点から懲戒解雇事由にもなり得ます。
ただ、職務懈怠による懲戒解雇が有効と認められるためには、懲戒事由に該当することの他に、客観的に合理的な理由と社会通念上相当と認められる事情が必要です。
そして、職務懈怠の回数・程度・期間・態様(やむを得ない理由の有無等)、職務に及ぼした影響、使用者からの注意・指導と当該労働者の改善の見込ないし改悛の度合い、労働者の過去の非行歴や勤務成績、過去の先例の存否などを総合的に考慮して懲戒解雇の有効性が判断されます。
例えば、労働者の重大な職務懈怠行為によって、会社に積極的に多大な損害や信用失墜をもたらした場合は、懲戒事由に該当し懲戒解雇の有効性が認められやすいといえます。
問題なのは、欠勤、遅刻、早退の回数が少ないなど、職務懈怠の程度が比較的軽微な場合です。
その場合、いきなり懲戒解雇してしまうと、その有効性について争い(調停・訴訟)となる場合が多く、仮に不当解雇と判断されると、解雇権の濫用として解雇そのものが無効となり、そのモンスター従業員をそのまま雇用し続けなければならなくなったり、賠償金を支払うことになったり、企業側にとって非常に受け入れがたい結果となってしまいます。そのため、懲戒解雇にあたっては、非常に慎重な対応が求められます。

例えば、①まずは、直接指導・注意を行い、②再三注意したにもかかわらず、改善されないため、軽い懲戒処分(譴責・戒告など)を科し、③さらに改善がみられないため、所定の懲戒手続きのうえ重い懲戒処分(懲戒解雇など)を科すといったステップを踏む必要があります。そして、懲戒解雇のための適正手続を行ったという事実について証拠を残し、仮にのちのち不当解雇として労働者から訴えられても、裁判所に対し企業側の正当性を主張できるだけの準備をしておきます。
このとき、職務懈怠の継続的な証拠収集のためには、現場の所属部署だけでは限界がありますので、人事部、総務部、法務部など関連部署が一致団結してこれに取り組む必要があります。
以上のように、将来労働訴訟で不当解雇であったと言われても適切に反論できるよう、将来の訴訟を意識した慎重かつ冷静な対応が求められますので、是非、当所弁護士までご相談ください。
なお、懲戒解雇後にモンスター従業員が、処分に対して不当なクレームを言ってきた場合には、企業が直接対応するのではなく、第三者である弁護士が窓口となって対応すべきですので、その際も当所にご相談ください。

2.今後の対処法

本件でも、少なくとも、無断欠席、職場無断離脱、勤務時間中にPCを私的に頻繁に利用するなどの勤務不良が認められますので、懲戒解雇に向けて、上記のように、指導・注意→軽い懲戒処分→懲戒解雇といったステップを踏むことが考えられます。
なお、訴訟を想定した証拠資料の収集活動を並行して行うようにしましょう。
懲戒解雇後に訴訟となった時点で収集しようとしても、問題の従業員のブログの記載が削除されるなど、資料が廃棄されていたり、記録が抹消されていたりと証拠収集が困難な場合があるからです。
経験豊富な当所弁護士が、モンスター従業員の解雇へ向けた取り組みをサポートさせていただきますので、是非ご相談ください。

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東京都内の老舗高級ホテルである『東京ホテル』の総支配人は、労働者に関するトラブルも抱えて、悩んでいます。

【セクハラ従業員】

当ホテルの40代の男性社員Eは、有能で仕事もできる管理職の従業員なのですが、部下の20代の女性社員Fに対して、コミュニケーションを図り女性が働きやすい環境を作るためと称して、勤務後にたびたび2人だけの食事に誘っていました。
Fは、不快に思っていたようなのですが、Eは彼女の上司であるから逆らえなかったようです。
5度目の食事後に、会員制クラブに誘われ、その個室内で、Eは、Fに身体を近づけ、手や体を触わり始めました。
Fは、懸命に手で振り払っていたようですが、それでもかわしきれず、そのうちEは、抱きつき衣服の中に手を入れ、胸を触り、キスを執拗に迫ってきたので、Fは、Eを突き飛ばし、個室を飛び出して逃げ帰ったようです。
その後も、Eは、Fにメールや内線電話で執拗に食事に誘っていたようです。
なお、現在、Fは、このセクハラ行為により精神疾患を患っています。

【まとめ】今後の対処法

・セクハラ事件では、企業は、自らに課された安全配慮義務や環境配慮義務を果たすため、事実調査、
 被害者への手当には最大限の配慮をもって行い、セクハラ従業員の処分には慎重かつ冷静に判断し対処する。
・セクハラ従業員が将来性のある有能な従業員であっても、甘く緩い処分を行わず、
 客観的に見て適切な処分を行う。

いわゆる「セクハラ従業員」によるセクハラ(セクシャルハラスメント)問題が顕在化した後の対処法などについて、紹介します。

1.企業の責任・リスク

まず、対処法を説明する前に、セクハラに関する使用者側の責任とリスクについて確認しておきます。
使用者は、男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保等に関する法律)や裁判例などから、セクハラを防止しまたは適切に対処し、労働者にとって働きやすい職場環境を保つよう措置する注意義務(安全配慮義務・職場環境配慮義務)を負い、セクハラ行為を認識した場合には速やかに適切な措置をとらねばなりません。
例えば、セクハラ従業員に対し、事案の内容や状況に応じて、懲戒処分、配置転換等の措置を講じるとともに、被害者への謝罪、被害者の労働条件上の不利益回復を行うなどの措置を講じる必要があります。
また、セクハラ行為が真実であった場合、企業による安全配慮義務や職場環境配慮義務の懈怠があったと捉えられる可能性があるため、セクハラ被害の申告や内部通報などがあった場合には、被害者であろう従業員に対し、最大限の配慮をもって対応しなければなりません。
例えば、実際にセクハラを受けていた女性従業員から企業にセクハラの被害申告があったにもかかわらず、企業がそれを信じず、調査もそこそこにセクハラに該当するほどの行為はなかったとして何ら適切な処置を講じなかった場合、企業はその被害女性従業員に対し損害賠償責任等を負う可能性があります。
また、被害女性従業員が加害者に対してセクハラ訴訟を提起された場合は、組織内でセクハラ行為があったことが世間に知られてしまうため、レピュテーションの毀損や企業の信用失墜も避けられないでしょう。
一方、セクハラ従業員の処分に関して不適切な対応を行った場合も、企業側が訴えられる可能性が十分に考えられます。
例えば、セクハラ行為を行った男性従業員の事情を聴取せずに、単にセクハラ被害を受けたと申告している女性従業員の供述だけに基づき、当該男性従業員懲戒解雇した場合、「解雇権の濫用」として解雇無効を求めて、男性従業員側から調停や訴訟の提起がなされることがあります。
以上のような企業にとって不利な事態を回避する上でも、セクハラ事実の有無の確認や対処については慎重かつ最大限の配慮が必要となりますので、速やかに当所弁護士までご相談いただき、サポートを受けることをおすすめします。

2.対処の概要

では、セクハラ行為を行った従業員の処分について、紹介します。
セクハラ行為が、強制わいせつ罪など刑罰法規違反の行為に該当する場合は、職場の風紀秩序を著しく乱し、会社の名誉・信用を著しく傷つけるものとして、懲戒解雇が可能な場合といえるでしょう。
一方で、刑罰法規違反に当たらない程度の性的要求・交際強要の場合は、懲戒解雇その他懲戒処分が可能か否かは事件の内容によって異なりますので、個別に判断せざるを得ません。
その際、加害行為、従業員の地位、企業の取り組み、反省の態度などを総合的に勘案した上で、懲戒処分が可能か判断することになります。
場合によっては、①軽い懲戒処分(譴責・戒告など)や配置転換などの処分を行い、②さらに改善が見られない場合に所定の懲戒手続きのうえ重い懲戒処分(懲戒解雇など)を科すといったステップをとることも必要になると考えられます。

3.今後の対処法について

本件でのEに対する処分について検討すると、Eのセクハラ行為は強制わいせつ罪に該当する可能性が高いといえます。仮に、調査の結果、強制わいせつ罪に該当する行為であった場合は、懲戒解雇処分を行うことを検討します。
このとき、企業側が、Eが有能な従業員であることを考慮し、明らかに懲戒解雇とすべき場合であるにもかかわらず、懲戒解雇をせずまた適切な処分を行わなかったとき、被害女性従業員の怒りに触れる可能性があります。その場合、被害女性従業員から企業に対し損害賠償訴訟など提起されるおそれがあります。
このような事態になると、上記のとおり、レピュテーションの毀損や企業の信用失墜を招きます。
Eの処分に関しては冷静かつ適切な対応が求められますので、是非当所弁護士にご相談ください。
他方、被害を受けた女性従業員については、セクハラ行為により精神疾患を患っていることから、最大限その回復に向けた配慮を行うべきでしょう。配慮を欠いた対応を行うと、上記のとおり、訴訟リスクがありますのでご注意ください。

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東京都内の老舗高級ホテルである『東京ホテル』の総支配人は、労働者に関するトラブルも抱えて、悩んでいます。

【労災トラブル】

今年5月に、当ホテルの地下にあるボイラー室で爆発がありました。幸い爆発はそれほど大きくなかったため、宿泊中のお客様にお怪我はなく、また他のホテル施設にも被害がなかったのですが、その当時、入社2か月目の新人社員Hがボイラー室にいて、その爆発に巻き込まれ、ひどいやけどで重傷、その後運ばれた病院で息をひきとりました。
原因調査の結果、Hの操作ミスによる爆発だとわかり、また、その当時Hの傍で指導しているはずの指導員がボイラー室におりませんでした。
Hの遺族は、当社に対し、今回の事故に関する慰謝料等を請求する損害賠償請求書を送付してきました。

【まとめ】今後の対処法

・損害賠償請求書に対する回答書の作成にあたっては、裁判前の和解の可能性を探りつつ、
 仮に訴訟となっても企業が不利に扱われない内容とするために、まずは、弁護士に相談する。

「労働災害」に付随した損害賠償トラブルに関する悩みです。

1.労災トラブルについて

労働災害の場合、労災保険法上の「労災保険」による保険給付がなされますが、被災者や遺族がこれに満足せず、さらに企業側に損害賠償を求めてくることがあります。
つまり、企業側に過失があり、①民法の定める不法行為責任(民法709条、710条、715条など)、②自動車損害賠償保障法に基づく運行供用者責任(自賠法3条)、③安全配慮義務違反による債務不履行責任(労働契約法5条、民法415条)が発生する場合は、保険給付でカバーされない損害(例えば、慰謝料等)について、企業はなお損害賠償責任を負っていることになりますので、被災者や遺族は、企業に対して損害賠償請求できるのです。
昨今、企業に対して重い安全配慮義務を課す判決が下されています。労働運動の影響もあり、被災者や遺族から高額の損害賠償請求がなされることも増えています。
そこで、以下、遺族が損害賠償請求書を送付してきたときの対処法を紹介します。

2.今後の対処法について

本件では、既に損害賠償請求書が届いておりますが、まずは事故原因など情報整理をし、必要であれば、再調査を行ったうえで、企業側の対応方針を決定します。
その一方、損害賠償請求書に対する企業側の回答書を作成するにあたっては、裁判前の和解の可能性を探る意味から、遺族の感情を逆撫でするような刺激的な文書を送付するのは避けるべきです。
また、仮に訴訟となっても手を縛られないような文書にする工夫が必要となりますので、賠償の内容に深く言及することは避けた方が無難です。

上記の対応方針の決定では、どの範囲まで損害賠償責任を認めざるを得ないのかなど、専門的な知識、経験、ノウハウが必要となりますし、回答書については、訴訟をも想定した文書作成が必要となりますので、経験豊富な当所弁護士までご相談ください。
なお、仮に裁判前の和解・示談が成立しない場合には、遺族と民事訴訟にて争うことになりますが、指導員が不在であったという企業側の過失が認められる事情があることを考慮すると、本件は、民事訴訟で争う前に、和解・示談にて解決する方が得策のようにも考えられます。

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