ネットトラブルを抱えている有事対応に関するトラブル

東京都内の老舗高級ホテルである
『東京ホテル』の総支配人の
ネットトラブルに関する悩みです

従業員の情報漏洩でネット大炎上

当ホテルのレストランに勤務する男子大学生のアルバイト従業員が、食事に来ていた男性芸人Aと女性アナウンサーBについて、当時二人の交際は公には知られていなかったにもかかわらず、こともあろうことか「東京ホテルのレストランでバイトなう、AとBがきてる、これからここのホテルでお泊りするらしいよ」とツィートしてしまったのです。
このツィートに対しリツィートが繰り返し行われ、二人の交際は即日世間に知られ、新聞やワイドショーで取り上げられるまでの騒動となりました。


ネット上ではこのアルバイト従業員の行為や当ホテルの従業員の採用・教育に対する批判が相次ぎ投稿され、収拾がつかなくなっています。


【まとめ】今後の対処法

・不祥事による二次的損害(顧客離れ・取引拒否など)を最小限に食い止めるため、事前に弁護士に相談の上、早急に緊急記者会見を開催し、また、会見後に事件に関する誤報が発見された場合は、誤報であると世間が認識する方法にてこれを指摘する。

1.従業員等の言動によるネットトラブル

本件は、アルバイト、正社員その他内定者などにより社会的に許容されない言動により、企業がインターネット上での誹謗中傷などに巻き込まれる類型のネットトラブルです。
昨今、このようなネットトラブルは急増しています。
このような問題の背景には、問題となった従業員が、情報漏洩行為を単に友達とのメールのやりとり程度としか認識していない、すなわち「個人の問題」であるとの認識しか持ち合わせておらず、「企業の問題」にもなり得ると想定できないことにあります。
しかし、いくらアルバイトの大学生がやったこととはいえ、お客様や世間からすれば、ホテル従業員がやったことと見られ、教育不足・対策不足などホテルの責任が追及されますので、ホテルのレピュテーションの毀損や信用の喪失につながり、ホテルの売り上げにも大きな影響を与えます。
そのため、ホテルの重大な問題として捉え、早急に対処をすべきです。今回は、その対処法について紹介します。

2.今後の対処法について

ここでは、本件を題材に、情報漏洩による被害拡大を防止するために、企業が当初とり得る措置について紹介します(従業員の不正・不祥事に対する対処法一般については、後述の『社内で発生した不正・不祥事を調査する必要がある』の【社内横領】をご参照ください)。

(1)緊急記者会見の実施

既に不祥事の内容が公となっており、社会の関心度も高く、また、会社経営に対する影響度も計り知れないことから、重大事件であると言わざるを得ません。
また、不祥事の内容がマスメディアに取り上げられ、ネット上でも拡散しており、ホテルに対する批判・誹謗中傷による二次的損害(顧客離れ・取引拒否など)が生じる可能性が考えられます。
そのため、企業としては、二次的損害を最小限に食い止めるために、事件発覚後、早急に緊急記者会見を開くことが考えられます。
緊急記者会見の公表内容や発言によっては、二次的損害を防止するはずの記者会見が逆に、会社の誹謗中傷を招き、損害を拡大させることにもなりますので、事前に当所弁護士にご相談ください。その他、記者会見の方法については、後述の『記者会見でネット大炎上!』にてご確認ください。

(2)緊急記者会見後の対応

緊急記者会見後に、今後の対応のためにマスメディアやネット上における論調を分析します。
また、事件に対する誤報を発見した場合は、それを放置せずに、例えば記者クラブに対し誤報部分を指摘したり、プレスリリースやHP上にて誤報であることを公表したりするなどの措置を取ります。
仮に、そのまま放置すると、世間がその誤報内容が真実であると誤認識して、更なる二次的被害が生ずる可能性がありますのでご注意ください。
なお、誤報部分の指摘方法や指摘文章の内容については、世論やネット上の反応などを考慮して慎重に判断しなければなりませんので、記者の経歴をもつ弊所の弁護士に是非ご相談ください。

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【記者会見でネット大炎上!】

上記のツィート事件が公になった後、事件の重大さから、取り急ぎ記者会見を開きました。ホテル側からは私のみが出席して、ツィートされたお二人、ホテルを利用されるお客様、世間に対し、懸命に謝罪・反省の意を示そうとしました。
その記者会見の場で、記者から「老舗ホテル、老舗ホテルと言われるのに慣れて、努力を怠り、ホテルも従業員も質が落ちたのではないのですか?」などと自慢のホテルと他の優秀な従業員までもけなされたと思い、カーッと頭に血が上り、「うちのホテルは歴史ある由緒正しいホテルだ、そんなことはない!」と大声で逆切れ発言をして、席を立ってしまいました。この記者会見での私の言動がインターネット上の動画サイトに投稿されたあと、インターネット上の掲示板やブログにて当ホテルや私個人への誹謗中傷が相次ぎ投稿されました。その後、予約客のキャンセルが相次ぎ、また新規の予約が激減し、非常に困った事態となりました。

【まとめ】今後の対処法

・ネット上での大炎上を静観・放置せず、失った信用を取り戻すため、弁護士に相談のうえ、早期に記者会見やプレスリリースといった情報発信などを行う。

1.謝罪の記者会見について

本件は、謝罪・反省を示し事件を収束させようと開いた記者会見が、一歩間違うと、更なる世間からの批判等を招く危険性があるということを示しています。特に、ソーシャルネットワークが発達した現在、不特定多数のネットユーザーが企業や個人を攻撃する「ネット炎上」がその威力を強め、大企業の命運をも揺るがすまでになっています。そのため、ネットユーザーを単なるマイノリティのように扱うのではなく、「こう発言したら、ネットユーザーがどう反応するのか」といったインターネット世界の空気を読み、ネットユーザーの反応も考慮した対応が求められているのです。例えば、既にネット炎上している事件での反省・謝罪の記者会見の場では、ネット炎上を拡大させないためにも、記者からどのような発言を受けても、謝罪・反省の姿勢を崩さず、謝罪・反省以外のことを話さない冷静かつ慎重な対応が肝要です。謝罪・反省の言葉の他に、本件のような逆切れ発言をしてしまうと、ネットユーザーはその逆切れ発言の方に敏感に反応します。その結果、謝罪反省を示すはずの記者会見が逆効果となり、ネット炎上は手を付けられないほどに大きくなり、会社、代表者個人への誹謗中傷が拡大し、会社が社会的に不評を買うことになるのです

2.今後の対処法について

【ポイント】記者会見

・謝罪の記者会見は企業の命運を左右するものだと認識し、これに臨むにあたっては、事前に弁護士に相談したうえで十分な準備・リハーサルを行ない、1人で出席せずに、必ず専門家を同席させる。

(1)今後の対処法について

まず、総支配人の悩みに対する今後の対処について検討します。
本件のようにネット上にて大炎上したとしても、これを静観したり放置したりせず、何らかの対処をすべきです。
特に、総支配人や社長といった社会的地位の高い人への攻撃的なネット炎上は、その方が所属する企業のイメージに強く結びつき、その評価等に大きな影響を与えます。
ネット炎上に対して何らアクションをせず放置すると、ネット上の書き込みが真実だと認識され、企業イメージが地に落ち、間違ったイメージで捉えられてしまいます。インターネット上では、「人の噂も七十五日」だから、放置しておけばいずれ元に戻る、とはならないのです。
誹謗中傷をリカバーし、一度失ってしまった信用、顧客を完全に取り戻すことは難しいかもしれませんが、早期に再度の謝罪の記者会見を開催するなど対応をすべきです。

(2)記者会見への対処について

次に、再度開催する記者会見への対処について、問題となった記者会見の際に総支配人は本来どのように対処すべきだったかを指摘しつつ、紹介します。
お客様の信用・信頼・安心の上に成り立つホテル業界において、お客様のプライバシー情報の漏えい事件は、お客様の信用を失い、経営を揺るがす大事件であり、ホテル側に対して、情報漏えい防止対策の不備やアルバイトに対する教育の不十分など、責任追及することは当然予想されます。
そして、記者からの質問も当然想定できますので、総支配人は、どのような質問されても冷静な対応ができるように、事前に質問に対する回答を用意しておくべきでした。
例えば、本件のような記者の質問に対しては、「従業員の軽率な行動により、お客様にご迷惑をかけ、また、他のお客様の信用・信頼を損なうことになり、大変申し訳ございません。心からお詫びいたします。ホテルの従業員としてあってはならない気の緩みとのお叱りをきわめて重く受け止めて、企業としての責任を痛感しております。今後、責任の所在を明確にするとともに、再発防止策を早急に策定、実施いたします。」といったように、謝罪・反省の姿勢を崩さない回答をすることが考えられます。
また、総支配人は、1人で出席せず、総支配人の回答を補助し、間違った対応をしないよう注意し制止する人を同席させることを検討すべきでした。仮に、そのような補助者が同席していれば、記者の質問に対する回答の際に、総支配人を制し、ネット大炎上を未然に防げたかもしれません。
以下、謝罪の記者会見にあたって、主な注意点を紹介します。

項  目説  明
謝罪の記者会見では、
必ず企業のトップが出席
企業のトップが出席しないと、「会社は事態を重く考えてない、軽く見ているのか」と捉えられ、批判の対象となりかねません。
回答補助者の出席事案によって、問題部署の最高責任者や社内原因調査の責任者であった弁護士など、記者の質問に答えられる人を回答補助者として同席させます。
プレスリリースの準備記者会見にあたり記者団に配布するもので、事実経過、被害の状況、原因解明状況、再発防止策、事態の受け止め方に関する企業の公式見解を簡潔にまとめます。その際、プレスリリースの記載事項に関する参考資料を付けておくと望ましいです。
会見場レイアウトの作成記者によるぶら下がり取材や会見者の手元資料等の撮影などを想定し、会見場レイアウトを作成します。
直前リハーサルの実施記者会見は社運を左右する場になりますので、リハーサルを必ず行うべきです。
なお、記者からの質疑応答のリハーサルの際は、質問者は、トップが回答に窮するような質問をしなければならないため、社員より、弁護士やコンサルタントなど外部の人間が担当した方が効果的です。
質問事項の見直し直前リハーサルに際して、ポジションペーパー※・Q&A集を使って質問事項の見直しを行い、回答のポイントを押さえておきます。
※ポジションペーパー(PP):関連部署からの情報を集約し、その事案全体を文章化して整理し評価を加えたものです。時系列に情報を整理したもので、その後の様々な書類を作成する際の一次資料になります。ポジションペーパーを作成した上で、これに基づき記者会見時の冒頭に読み上げる文書、記者会見での質疑応答、監督官庁向けの報告書、取引先・消費者団体などへの報告書、社内通達文書などを作成します。
タブーの最終確認記者会見場に入る前に、言ってはいけないことや、やってはいけないことをチェックしておきます。

総支配人は、記者会見前に、時間がなくとも面倒がらずに弁護士に相談し、また、少なくとも記者会見場で臨機応変に対応するために弁護士を近くに待機させるといった措置を講ずるべきでした。
記者会見、プレスリリースといった外部への発信を行う際は、不要なネット炎上等を招かぬように当所弁護士がお手伝いさせていただきますので、事前にご相談ください。
以上のような、企業不祥事における記者会見その他情報発信・プレスリリースに関しては、ネット世界までも考慮した、迅速かつ慎重な対応が求められ、その対応方法は事案によって異なります
それぞれ事案に適した記者会見等の時期、内容、方法などについては、記者の経歴をもつ弊所の弁護士に是非ご相談ください。

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ネットトラブルに関する悩みです

【火がないところにも煙は立つ】

ある日、インターネット上のホテル口コミに関する掲示板において、匿名で明らかに当ホテルであるとわかる写真と情報を書き込んだうえで、当ホテルのレストランについて「賞味期限切れの材料を使ってるよ」「調理場の裏のごみ箱に賞味期限が1か月前に切れた食材の包装が捨てられてたぞ」「調理場は本当に不潔」「料理が臭い、腐ってるんじゃない?」「腐敗臭」「ここの肉、●●産っていってるけど、絶対に産地偽って安い肉使ってるよ!」といった書き込みされています。早速調査しましたが、当ホテルのレストランにおいて、上記のような事実はありませんでした。
他の口コミサイトでも、この掲示板へのリンクが張られていたことから、客足が激減し、非常に困った事態になりました。

【まとめ】今後の対処法

・誹謗中傷による実害が大きいことから、投稿者の特定、投稿の削除、投稿者等への損害賠償請求、刑事告発を行う。

企業側に非がある事件であった場合でも、そのような事実がない場合でも、特定の個人や一定の集団から、インターネットを介して、故意に執拗な誹謗中傷行為、迷惑行為を受けるときがあります。 企業側に非があるか否かを別にして、本件のように、通常の営業活動を行う全くの一般企業や個人すら、いつでもネットトラブルに巻き込まれる可能性がありますので、まず、この事実を認識しておく必要があります。
そして、ネットトラブルによる被害を最小限に止めるために、即座に対応できる危機管理体制を整えておかねばなりません。

1.害意あるネットトラブルへの対処法

本件のような害意あるネットトラブルの対処方法について、紹介します。

手続き
  1. ① 被害に関する証拠収集・保存
  2. ② 投稿者、プロバイダ等の特定
  3. ③ 書き込み・投稿の削除請求
  4. ④ 損害賠償請求
  5. ⑤ 刑事告発

(1)被害に関する証拠収集・保存

【ポイント】証拠収集・保存

・誹謗中傷が拡散しネット炎上した後、元凶となった誹謗中傷箇所が削除される可能性があるため、
 早急に該当箇所の保存行為を行う
・訴訟・仮処分の申立てでも利用可能な方法での証拠の収集を行うため、事前に弁護士に相談する。

被害を受けた者が、誹謗中傷行為、迷惑行為を行った投稿者・書き込み者、ホームページの作成者、掲示板の管理者(以下「投稿者等」)の法的責任を追及する場合、被害を受けた者が被害の内容・態様、法的に保護されるべき利益が侵害されたことを証拠によって具体的に証明する必要があります。
また、侵害された権利・利益、侵害の程度によって法的な救済方法が異なります。
そのため、被害を受け、その救済を求めようとする場合は、冷静に被害の内容・態様を認識したうえで、該当箇所の情報のプリントアウトまたは記録媒体への記録等によって、証拠として保存しなければなりません。
また、該当箇所が削除される可能性もあるため、早急に保存行為を行ってください。
そのとき、今後の司法手続(訴訟・仮処分の申立て)でも利用可能な方法で行う必要があります。例えば、該当箇所の情報をプリントアウトしたものを公証役場にて確定日付を付してもらったり、該当箇所の情報のログを法的に保存するため証拠保全手続を行ったりする証拠収集方法もあります。
適切な証拠収集方法は、案件により異なりますので、まずは当所までご相談ください。

(2)投稿者、プロバイダ等の特定

投稿者等の情報を得るために、ホームページやインターネット上の掲示板等を管理しているインターネットサービスプロバイダ、インターネット上の掲示板の管理人、ソーシャルネットワークサービスの運営者など(以下「プロバイダ等」)に、その情報の開示を請求することになりますが、まずは、請求先となるプロバイダ等を特定しなければなりません。
例えば、ホームページであれば、ドメイン登録業務を行っている企業の検索システム(「WHO IS」など)を利用して、ホームページのURLのドメイン名で検索すれば、プロバイダ等の情報を得ることができます。
プロバイダ等を特定できた場合、次に、投稿者等の情報(IPアドレス、住所、氏名等)を入手する手続きを行います。入手方法としては、主に2つあります。

① 弁護士を通じて開示請求(裁判外の手続)

プロバイダ等に対する開示請求は、被害者自身が電話、手紙を利用して請求したり、弁護士に依頼し、内容証明郵便を利用して請求することもあります。
請求にあたっては、プロバイダ等に対して任意の開示を要求したり、いわゆるプロバイダ制限責任法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限および発信者情報の開示に関する法律)に基づき請求(同法4条)する方法があります(プロバイダ制限責任法による場合、開示請求の条件がありますので、詳細は当所弁護士までご相談ください)。
しかし、一般的に、プロバイダ等は、開示請求を拒絶し、投稿者等の情報が開示されません。そのため、裁判上の手続きによる開示要求を行うことになります。

② 裁判所を通じた開示手続(裁判上の手続)
②-1 発信者情報開示訴訟の提起

ロバイダ等に対し、裁判所を通じて、発信者の住所・氏名の開示を請求する場合は、発信者情報開示訴訟を提起し、プロバイダ等から書き込み者等の情報を開示させます。もっとも、勝訴し開示させるまでに時間がかかります。
実名登録する会員サイトの場合であれば、サイト管理者が任意の開示請求に応じないときは、すぐに訴訟を提起できますが、投稿先や書き込み先が匿名の掲示板・ブログである場合は、サイト管理者が投稿者等の個人情報を有していません。そのため、先に、②-2の仮処分の申立てを行います。

②-2 発信者情報開示仮処分の申立て

投稿先や書き込み先が匿名の掲示板・ブログである場合、その管理者は、投稿者等の個人情報を有していないため、投稿者が利用しているプロバイダ等を特定したのち、プロバイダ等を相手に発信者情報(住所氏名)の開示請求を行うことになりますが、そのプロバイダ等の特定のためは、投稿者等のIPアドレスが必要となります。
一方、管理者は、投稿者のIPアドレスなどのアクセスログを、通常3~6か月ほどで削除してしまうことが多く、②-1の訴訟を提起していたのでは、勝訴前に削除されかねません。
そこで、発信者情報開示仮処分の申立てを行い、匿名掲示板等の管理者に、IPアドレスの記録を保全させ、仮に開示させます。

通常の開示請求プロセス

通常の開示請求プロセス

匿名の掲示板・ブログである場合

通常の開示請求プロセスにおける裁判外の手続前に、
掲示板管理者に対し、IPアドレスの開示を請求し、プロバイダ等を特定

匿名の掲示板・ブログである場合の開示請求プロセス

(3)投稿・書き込みの削除請求

投稿者等が特定された後は、これ以上の投稿・書き込みによる被害を防ぐために、問題の投稿・書き込みの削除請求を行います。
問題の投稿・書き込みがそのまま放置され、インターネット上に残っていると、それを見たネットユーザーが同様の投稿・書き込みを行い、または、問題の投稿・書き込みをリンク付することで、更なる被害の拡大につながるおそれがあるからです。

① 投稿者等本人への直接請求(裁判外の手続き)

投稿者等本人に対し問題の投稿・書き込みの削除を請求することが考えられます。
ネット攻撃は、一般的に、投稿者等がその高い匿名性に安心するがゆえに生じるものですが、投稿者等本人が直接削除請求され、その匿名性がなくなったことに気づくと、自主的に問題の投稿・書き込みを削除することも考えられます。

② プロバイダ等への削除請求(裁判外の手続き)

投稿者等本人が削除に応じない場合は、プロバイダ等に対し、問題の投稿・書き込みの削除を請求することが考えられます。
ただ、一部のプロバイダ等では、通常のネガティブ情報や名誉を毀損するような書き込み・投稿に関する削除請求であっても応じないポリシーを掲げているところもあり、削除請求に応じるかどうかはプロバイダ等次第となります。

③ 削除請求訴訟・仮処分の申立て(裁判上の手続き)

投稿者等本人やプロバイダ等が削除請求に応じない場合は、問題を強制的に解決するために、削除請求訴訟や削除仮処分の申立てという手段を取らざるを得ません。
ただし、訴訟は結果が得られるまで、莫大な時間と費用を要するため、その利用に当たっては、慎重を期す必要があります。

削除請求訴訟・仮処分の申立て裁判上の手続き

削除請求訴訟・仮処分の申立て(裁判上の手続き)

(4)損害賠償請求

投稿者等が特定できた後、その投稿者等に対して、問題の投稿・書き込みにより被った損害の賠償を求めることができます。
また、プロバイダ等には、問題となった投稿・書き込みをホームページや掲示板から削除する義務が課せられていますので、その義務に違反し削除しなかった場合には、削除せずに放置したことにより被った損害を請求することも可能です。
なお、損害賠償にあたっては、民事訴訟を提起する前に、交渉により賠償を求めることも考えられます。しかし、特にプロバイダ等への損害賠償については、元々削除請求に応じなかった者ですので、交渉により損害賠償に応じるとは考えにくく、民事訴訟によるしかないと思われます。
これら交渉、民事訴訟においては、相手に対して心理的圧迫を与え、損害賠償請求を効率的に行う上でも、交渉・訴訟に精通した当所弁護士をご利用いただく方が効果的です。

(5)刑事告訴

被害の程度、投稿者等本人の態度、行為の悪質性などから必要に応じて、収集した被害の証拠をもって、最寄りの警察署に相談した上で、告訴状を提出することを考えます。
例えば、ネット炎上の事件では、名誉棄損罪(刑法230条)、侮辱罪(同法231条)、信用毀損罪(同法233条)、偽計業務妨害罪(同法233条)、威力業務妨害罪(同法233条)、脅迫罪(同法222条)といった犯罪に該当するケースが考えられます。
告訴状は、企業が独自に作成して警察署等に提出するよりは、弁護士が作成する方が受理されやすい傾向にあるため、刑事事件の経験豊富な当所弁護士にご相談ください。
なお、企業に危害を加える旨の犯行予告がなされているケースでは、傾向として、警察としても動かざるを得ないと判断し、告訴状の受理後に比較的早く対処してもらえるようです。

2.今後の対処法

次に、総支配人の悩みに対する今後の対処について検討します。
投稿者等の特定から問題の投稿等の削除に至るまで、非常に多くの時間と労力とコストを要することになります。
そのため、投稿・書き込みによる、誹謗中傷の拡散の範囲と程度、誹謗中傷に対する顧客・ネット・マスメディアの反応、レストランやホテルの経営への影響を考慮し、対処の実施を検討することになります。
本件の場合、客数が激減しており、経営への影響が甚大であることを考えると、投稿者等の特定から問題の投稿等の削除、さらに、損害賠償、刑事告訴まで行わざるを得ないと考えられます。
また、上記の法的措置以外にも、誹謗中傷が真実に反する情報であるとして、積極的にプレスリリースを行うことが考えられます。
その際、誹謗中傷のどの部分が真実と反するのか、投稿・書き込みがなされるにいたった理由や事情に関する見解、今後の対応方針などを明確にし、ネット攻撃に対する断固たる態度を示すことが重要です。
また、このような態度を示すことにより、将来的なネット攻撃の予防にもつながります。
なお、プレスリリースを行う際には、中途半端な態度を示したり、曖昧な反論にならぬように注意が必要です。このような態度や反論は、逆に、世間に誹謗中傷が真実かもしれないと思わせる危険があり、また、将来のネット攻撃の予防にもなりません。
そのため、プレスリリースの内容が適切なものなのかを含め、事前に当所までご相談ください。

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