STEP 4公表その他関係各所への報告・開示ステップ

公表その他関係各所への
報告・開示

公表の方法としては、記者会見、プレスリリース、マスコミ取材など様々ありますので、ここでは、その代表的なもののポイントについて紹介します。

公表

企業は、原因調査の結果、不祥事等の事実、不祥事等の原因、被害者対応、再発防止策、関係者の処分など不祥事等の事の顛末を公表し、ステークホルダーおよび世間に対し説明しなければなりません。

(1)記者会見

記者会見その他プレスリリースの方法については、『STEP 2 2.緊急記者会見』をご確認ください。
そのほか、例えば、製造物責任(PL)をめぐる裁判で原告と和解する場合、公表する内容と表現に細心の注意を払わねばなりません。仮に「和解した」とだけ公表すると、ステークホルダーやマスメディアや世間は、「企業が製品の欠陥を認めて、原告が和解に応じた」と捉えてしまうからです。その結果、同様の製品に関し、PL訴訟が乱発される事態になりかねません。
そのため、消費者等への影響を考慮して明確に欠陥商品でないとの説明をする一方で、原告の心情を考慮して「原告のお気持ちを考え、早期に解決することが妥当との結論に達し、和解の路を選びました」といったような内容を表明するようにします。
このように、公表する内容の表現にも法的リスクが存在しますので、公表内容については、経験豊富な当所弁護士にご相談ください。

(2)マスメディアによるインタビュー

マスメディアのインタビューの申し込みの際は、相手の身分・媒体・連絡先、取材目的、取材対象者、取材日時を確認した上で、取材に応じるか否かは折り返し連絡することにし、その場で諾否を即答してはいけません。なお、断る場合には、その理由を明確に告げてください。
その後、インタビューを受けるにあたっては、ポジションペーパー、Q&A、ネガティブリスト、その他タブーを確認するなど、記者会見と同様の対応を行います。
なお、記者会見前の個別インタビューの申込みがあった場合は、応じなければならないように思うかもしれませんが、決してこれに応じてはいけません。
他の記者が記者会見の開催予定時間に記者会見に出席して情報入手しようとしているにもかかわらず、企業側がその前に個別の記者のインタビューに応じてしまうと、他の記者は、企業の「情報リーク」と捉え、「この企業は、公平に情報を開示するつもりがない」という悪印象を与え、記者の反発が予想されます。
そのため、事前のインタビューの申込みがあっても「記者会見を予定しておりますので、そちらで対応させていただきます。個別の取材は、記者会見が終了した後、広報にて承ります」と対応してください。

(3)お詫び広告・CM

お詫び広告・CMは、社会やユーザーその他ステークホルダーに対し、企業としてお詫びをし、その経緯や対応方法等を示すものであり、被害の拡大を阻止し安心を与えることを目的とするものです。例えば、製品リコール、情報漏洩などで、被害者が不特定多数である場合に利用されることが多いです。
まず、お詫び広告・CMの媒体については、一刻も早く対象者や社会に広く告知できる適切な媒体を選ぶことが肝要です。
また、その内容は、「お詫び」「目的」「対象者」「人体への影響」「発生頻度」「事実関係」「具体的対応」「原因」「要望」「改善の取り組み」などを記載しますが、内容についてはリリース前に一度リーガルチェックを受けてください。記載内容によっては、誤解を招き、株主代表訴訟など無用な訴訟に発展する可能性があるからです。
なお、被害者が存在する場合は、その広告内に被害者対応の受付窓口の電話番号・受付時間なども記載しておくと望ましいです。

関係各所への報告・開示

取引先、監督官庁、業界団体など関係各所に対し迷惑等を掛けていることを考えると、不祥事等の調査結果およびその後の対応を、インターネット上への掲載や記者会見での説明だけ終わらせるのでは不十分と言わざるを得ません。関係各所に対しては、訪問した上で、その内容について直接報告、開示、説明をしてください。
また、被害者が存在する場合は公表の前後で直接説明に伺ったり、被害者が大多数の場合は個別に書面を送付したりするなど誠意をもった対応が必要となります。

その他対応

(1)自粛の検討

不祥事等の被害状況、社会的影響などその重大性のレベルによっては、被害者、ステークホルダーやマスメディアなどに配慮し、自社の商品広告・CM・イベント・販促キャンペーン、社員旅行などの社内娯楽遊興を取りやめるなど社内外での活動の自粛を検討してください。

(2)株主代表訴訟への備え

不祥事等により企業価値が著しく減少している場合は、調査報告の公表後に、株主から、取締役の善管注意義務(会社法330条、民法644条)違反を理由に、株主代表訴訟(会社法423条、会社法847条)を提起されるおそれがありますので、取締役のための弁護士の確保など、これに備えておく必要があります。