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    [CATEGORY]:対マスコミ危機管理

報道の際に考慮される点[POSTED]:2018-07-20

(1)容疑者の写真の使用について

ア 容疑者の写真掲載の必要性

容疑者の写真は、事件の重要な情報の一つであり、掲載することで読者により豊富な情報を提供し、事件への関心を高めてもらうことにもつながります。

イ 写真掲載の可否の判断基準

事件の重大性や対象人物の公人性、リスク・コミュニケーションの必要性などを踏まえて判断します。
残虐性が強かったり被害者が複数に及んだりする殺人や、無差別殺傷事件、被害の大きな強盗や詐欺、連続強制性交など悪質な犯罪、誘拐事件などが、掲載の一つの目安になります。また、公開手配の場合は積極的に掲載します。ただし、逮捕時に物証が乏しく、本人が否定している場合などは慎重な判断が必要とされます。
政治家の犯罪や公務員の汚職事件、企業犯罪の容疑者や、芸能人など公人や公的人物の場合には、私人よりもプライバシーの範囲は狭いと判断され、掲載に積極的な判断がなされるようです。

ウ 連行写真について

容疑者の連行写真を掲載するか否かは、事件の重大性も判断材料に慎重に検討されます。
掲載する場合にも、手錠や腰縄姿の写真は、読者により強く「逮捕された犯罪者」としての姿を印象付けるため、手錠・腰縄部分について見えないように加工するなどの配慮がなされているようです。

(2)呼称について

ア 刑確定後の報道について

①服役中や禁錮などで拘置中の有罪確定者

原則として「受刑者」と呼びます。

②拘置中の死刑確定者

「死刑囚」と呼びます。死刑の執行を報じる際は実名で報道し、呼称は「死刑囚」とします。

③罰金刑や執行猶予付きの有罪判決確定者

原則として肩書呼称とします。適当な肩書がない場合は敬称を使用します。

④刑期を終えた人や仮釈放された人

原則として匿名での報道となります。

必要に応じて実名とする場合は肩書呼称か敬称、または「元受刑者」「元死刑囚」とします。
報道の際に前科・前歴には触れないのが原則です。
ただし、新たな事件の容疑が持たれ、前科・前歴と内容に関連がある場合は報じることを検討します。
また、前科の対象となった過去の事件が歴史的、社会的意義を持っている場合や、政治家や候補者ら公的立場にある人の前科で、公職に就くことの判断材料に資する場合は報じられます。

イ 任意取り調べ、参考人聴取の際の報道について

①私人の場合

任意の取調べや参考人聴取の場合は原則匿名とし、逮捕された時点で実名・容疑者呼称とします。ただし、逮捕状が出ることを確認した段階で実名・容疑者呼称とすることもありえます。
また、書類送検、在宅起訴となった際などにも実名での報道となります。ただし、肩書き呼称が原則です。書類送検の段階から容疑者呼称を用いていた場合には、引き続き容疑者呼称とされます。
逮捕や書類送検などを報じた後に、結果的に不起訴処分となった場合は、できるだけ記事にして名誉回復を図る努力が行われます。私人の場合は本人の意向を確認し、実名を出すときは、肩書呼称か敬称をつけます。

②公人・公的存在の場合

その立場や権限と容疑の内容との関係を考慮しながら、任意の取調べや参考人聴取の段階でも実名・肩書呼称とすることを検討します。
政治家や裁量権の大きな公務員の場合には、実名・肩書呼称で報じられる場合が多いでしょう。
嫌疑をかけられたこと自体で、政治家などとしての資質に疑念が生じるためです。
容疑内容がその立場や権限と密接に関わっているとみられる場合は、任意の取調べ段階であってもより積極的に実名・肩書呼称を選択します。
逮捕や書類送検などを報じた後に、結果的に不起訴処分となった場合は、できるだけ記事にして名誉回復を図る努力が行われているようです。政治家等の公人や公的存在は原則実名で肩書呼称とします。

③参考人聴取について

被害者や目撃者、その他事件に関係する容疑者以外の人を「参考人」と呼びます。
私人の場合は原則匿名ですが、汚職事件が起きた事自体の首長や幹部、選挙違反事件で選対幹部・運動員らが逮捕された場合の政治家・候補者など、公人や公的存在で、管理・監督の責任や道義的責任が問われるケースは、基本的に実名・肩書呼称とされています。

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[ マスコミ対応 , マスコミに対する事件化阻止 , 対マスコミ危機管理 ]
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