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    [CATEGORY]:反社会勢力・クレーマー対応

公共事業からの暴力団排除[POSTED]:2018-07-27

私は○○市建設局に勤務する者ですが、公共工事に関し、同和関係団体の事務局長と名乗る者が、ある建設業者とともに市役所を訪れ、入札業者に対し当該建設業者を下請として採用するよう行政指導をしてほしいと要請しております。どう対応したらよいのでしょうか。

1.暴力団等の公共事業への関与

公共工事の発注では、莫大な資金が請負業者に対して支払われることや公共施設の指定管理者として採用された場合には、継続的な収入源になるということから、最近では暴力団関係者が様々な理由をつけ、公共事業に関与しようと目論んでいます。

ここでいう暴力団関係者とは、暴力団であることを名乗るのではなく、暴力団員または構成員、もしくは暴力団と関係を有する者が一般企業や社会運動団体、NPO法人などの公益団体を名乗り、様々な要求を行ってくるので、外観だけで不正な利益の獲得を目的とした団体であるかを判別することは困難であるといえます。

さらに関与の仕方としては、公共工事の入札指名や下請に関する便宜供与、公共工事についての情報提供、公共工事の受注業者に対する行政指導などの直接行政機関に対して圧力をかける行為や他方建設業者に対して下請参入の要求をする、建設業者間における親睦団体または教会等の職に収まり、公共事業を取り仕切る者として建設業者から手数料や挨拶料名目で金井の交付を受けるなど、様々な手口が使われています。
近年談合に対する摘発強化の流れで、標的は企業にとどまらず、行政担当者へと向けられることが増えています。

2.対応策

このような不当な要求は、特定の者の利益を図るものではなく、住民全体の利益を図るもので公平かつ正当であるべき行政に対しての重大な脅威であることを認識する必要があります。
つまり入札業者に対して「円満に解決するように」や「そちらで処理するように」などと伝えるだけで処理しようとする行動は、対応として間違っているといえ、このような行動をとったがために、反社会的団体の利益に荷担する結果になりかねません。さらに圧力から逃れるためとはいえ、業者に対して下請として使うよう指導することがあれば、一担当者の問題ではすまなくなります。とはいえ、相手は不当要求のプロであり、これまでにも様々な手口を使って圧力をかけてきた団体なので、個人で対応にあたることは非常に危険であるといえます。
このような状況を日頃から想定し、窓口の一本化や対応の統一化を図り、対応マニュアルの作成および職員に対する研修など役所全体で対応にあたれる体制を整えるなどの危機管理をしておくことが重要です。

実際に対応にあたる際には、あわてず、マニュアルに従って複数名で役割分担をして聞き取りを行い、相手方の要求に対する本来の目的を把握することが必要です。
また、相手方が「責任者を出せ」や「市長に会わせろ」などといった不当な要求や大声を上げるなどの行動をとるようであれば、毅然とした姿勢で対応することが求められます。

公共事業に対する不当要求が増加していることで、最近では、各自治体において公共工事や公共施設の運営に関して、暴力団の介入を排除する項目などを加えた合意書を警察との間で締結するというケースが増えてきています。
また、警察が暴力団の情報を把握した場合、市に通報などして情報の共有化を図ることで、不当要求排除の実効性を高めていくという動きもみられます。
詳しいことについては、都道府県警や暴力追放運動推進センター、弁護士会に相談することになります。

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